書評
『街角のオジギビト』(筑摩書房)
オジギビトとは、工事現場の「ご迷惑をおかけしてます」の看板に、必ずついてくるマンガの人物像、あれに著者とり・みきさんが命名した造語である。 このオジギビト、どれも同じに見えて、実は実にさまざまにいろいろな、おどろくほどに多種多様の人々なのだった。そのそれぞれを分類し命名する著者の手際が素晴らしい。
八十年代からの収集だというから、もう二十年から三十年を経ているわけだ。同一のキャラクターにも変遷があるだろうし、オジギをしたまま、既に消え去ってしまったキャラクターもあるに違いない。
収集されたもの、というのは一定量を超えると、あらたな面白さを生むものである。個々の収集物を見る面白さより、その集合からひきだされる面白さ。コレクションという趣味の味わいに欠かせないものかもしれない。
もっとも、この味わい方で趣味のクオリティというのか、趣味の説得力というものが大きく違ってくると私は思う。
とり・みきさんの趣味の味わい方ふるまい方は絶品である。つまり、工事現場にある「お願い」「お詫(わ)び」の看板なんかにひとかけらの興味もない人を、話にひきこんで、十二分に楽しませ、味あわせる力がある。
いままで、見ていても見えていなかったもの、いままで少しも面白くなかったものが、ガラリと違って見えてくる。
これは、おそらく脳ミソの普遍的な楽しみだと私は思う。趣味のもつ力である。
八十年代からの収集だというから、もう二十年から三十年を経ているわけだ。同一のキャラクターにも変遷があるだろうし、オジギをしたまま、既に消え去ってしまったキャラクターもあるに違いない。
収集されたもの、というのは一定量を超えると、あらたな面白さを生むものである。個々の収集物を見る面白さより、その集合からひきだされる面白さ。コレクションという趣味の味わいに欠かせないものかもしれない。
もっとも、この味わい方で趣味のクオリティというのか、趣味の説得力というものが大きく違ってくると私は思う。
とり・みきさんの趣味の味わい方ふるまい方は絶品である。つまり、工事現場にある「お願い」「お詫(わ)び」の看板なんかにひとかけらの興味もない人を、話にひきこんで、十二分に楽しませ、味あわせる力がある。
いままで、見ていても見えていなかったもの、いままで少しも面白くなかったものが、ガラリと違って見えてくる。
これは、おそらく脳ミソの普遍的な楽しみだと私は思う。趣味のもつ力である。
朝日新聞 2007年2月25日
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