宗教学者、評論家。1931(昭和6)年、サンフランシスコ生まれ。1954年、東北大学インド哲学科卒業。国際日本文化研究センター名誉教授(元所長)、国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。著書に『髑髏となってもかまわない』『義理と人情 長谷川伸と日本人のこころ』『これを語りて日本人を戦慄せしめ…もっと読む
- 『蕨野行』(文藝春秋)山折 哲雄
死へ旅立つ年寄り、語りの威力ババ捨てジジ捨ての物語である。深沢七郎の「楢山節考」が世にあらわれてから、すでに長い歳月が流れている。あのころ…
書評 - 『王の身体 王の肖像』(筑摩書房)山折 哲雄
「歴史図像学」熱っぽく展開魅力的なタイトルである。「王」の身体への凝視を通してその精神的なあり方に迫る。「王」の肖像を鏡として、その権威の…
書評 - 『教皇庁の闇の奥―キリストの代理人たち』(リブロポート)山折 哲雄
“パンドラの箱”を果敢に開くローマのバチカン(教皇庁)は、たしかに世界の摩天楼だ。なぜならそこには、人類のあらゆる叡知(えいち)と狡知(こう…
書評 - 『評伝シーボルト―日出づる国に魅せられて』(講談社)山折 哲雄
難局に誠実に対した人間像本書の主人公シーボルトについては、その名が知られている割には、生涯や事蹟(じせき)はかならずしも明らかにされてはこ…
書評 - 『老年漂流―安住の地を求めて』(海竜社)山折 哲雄
たくましき「自立への曲折」にぎやかな老いである。元気のよい老年だ。そして苦いペーソスとの二人三脚……。 これは七十歳をとうに越した著者が、夫…
書評 - 『1年ネコ組のイヌ』(集英社)山折 哲雄
しあわせは種族を超えてぼくはイヌだ。あの漱石さんにならっていえば、わが輩はイヌである、ということになる。その上ことしはイヌ年、ぼくにとって…
書評 - 『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』(講談社)山折 哲雄
人間と表裏、周到な生態分析小松さんの「妖怪」とのつき合いは年季が入っているんですね。たとえば四国の山村に入って不気味な伝承に度肝を抜かれ、…
書評 - 『荻生徂徠―江戸のドン・キホーテ』(中央公論社)山折 哲雄
「尋常ならざる」学者の肖像荻生徂徠は江戸中期に活躍した学者。三十一歳で柳沢吉保に召し抱えられ、トントン拍子に出世して八代将軍吉宗の政治顧問…
書評 - 『辰吉丈一郎へ―30万燭光の興奮』(洋泉社)山折 哲雄
命がけの美 ボクサー応援歌「絶叫コンサート」で新境地を開いた歌人・福島泰樹の拳闘論である。子どものころからの熱狂的なボクシング・ファン、み…
書評 - 『騎馬民族は来なかった』(日本放送出版協会)山折 哲雄
畜産民的文化の希薄さ立証佐原さん、とうとうやりましたね。騎馬民族説という壮大なヴィジョンを戦後の日本人に提供した江上波夫さんの仮説を、こん…
書評 - 『蓮如―われ深き淵より』(中央公論新社)山折 哲雄
悲哀と苦悩の自立描く戯曲蓮如がついに芝居の主人公になった。蓮如は本願寺中興の祖といわれ、親鸞から数えて八代目の後裔(こうえい)にあたる。と…
書評 - 『士の思想: 日本型組織と個人の自立』(筑摩書房)山折 哲雄
個の自立が支えた武家社会サムライ・ニッポンの背骨をなしていたのは「個の自立」の思想であった。武士の生き方について、これまでのわれわれは忠誠…
書評 - 『中世に生きる女たち』(岩波書店)山折 哲雄
快く語る妻や尼の活躍ぶり中世が面白い、女たちの活動が新鮮だ、――そんな思いを存分に堪能させてくれる本だ。ときどき行間から、べらんめえ調(失礼…
書評 - 『魔女とキリスト教』(講談社)山折 哲雄
近代社会成立の根拠を問うヨーロッパの歴史を暗黒に染めあげる異端審問と魔女狩りは、ユダヤ=キリスト教社会が生んだ双生児である、――それが本書を…
書評 - 『疱瘡神 江戸時代の病いをめぐる民間信仰の研究』(岩波書店)山折 哲雄
はやり神信仰の生態えぐる疱瘡(ほうそう)神にとりつかれた著者が、江戸時代に盛んになったこのはやり神信仰の内側にわけ入り、その生態の明暗を縦…
書評 - 『涙の詩学―王朝文化の詩的言語―』(名古屋大学出版会)山折 哲雄
小町の袖濡らす歌ことば平安の貴族たちが流していた涙は、どうやら古代万葉人が流した涙とは性格を異にしているようだ。日常生活で流されていた涙は…
書評 - 『父殺しの精神史』(法蔵館)山折 哲雄
「師殺し」はなぜ失敗したかオイディプス王の父殺しは、いまでもにぎやかな話の種だ。父殺しとは、そもそも偶然のなせるいたずらなのか、それともわ…
書評 - 『カニバリズム―最後のタブー』(青弓社)山折 哲雄
人肉食への過程が赤裸々にカニバリズムといえば、ちょっとシャレた感じになるが、人肉食とあからさまにいうと、ヘドが出そうな気分になる。いま食事…
書評 - 『日本は自らの来歴を語りうるか』(筑摩書房)山折 哲雄
諭吉、蘇峰らに学ぶ外交術日本は外国とどうつき合ってきたか。つき合おうとしたか。つき合うために、どのようなリクツをつけてきたのか。それを福沢…
書評 - 『外法と愛法の中世』(平凡社)山折 哲雄
院政期に呪術が演じた役割日本で「古代」が流行るのはきまってロマンチックなルーツ探しであるが、それと並んで「中世」の人気もなかなかのものだ。…
書評