詩人。1974年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了(専攻は上代文学)。詩集に、『現代詩文庫・蜂飼耳詩集』『いまにもうるおっていく陣地』『食うものは食われる夜』『隠す葉』『顔をあらう水』。文集に、『孔雀の羽の目がみてる』『空を引き寄せる石』『秘密のおこない』『空席日誌』『おいしそう…もっと読む
- 『怪物君』(みすず書房)蜂飼 耳
[isbn:4865780696]虚実の間、捉える言葉を探る言葉で表された詩が「わかる・わからない」という判断と対面させられる場合、それは主に、意味や文脈…
書評 - 『独りでいるより優しくて』(河出書房新社)蜂飼 耳
不信と孤独の連鎖を凝視する解決しない事件が、それに関わった人たちの人生を変えてしまい、生き方を縛りつける。米国に住み英語で執筆を続ける、中…
書評 - 『レールの向こう』(集英社)蜂飼 耳
人生の足元、確かめ拡がる世界沖縄の歴史や文化を主題として執筆を続け、戦後の沖縄文学を牽引(けんいん)してきた大城立裕の作品集。表題作は、八…
書評 - 『日本文学源流史』(青土社)蜂飼 耳
新たな〈発生〉うながす視点藤井貞和は、独自の視点に立つこの文学源流史を描き出すにあたって、折口信夫の〈発生〉の考え方をこう解釈する。それは…
書評 - 『友は野末に: 九つの短篇』(新潮社)蜂飼 耳
困惑と屈託を味方につけて学校になじめずにグレて、博打(ばくち)にのめりこむ。ナルコレプシーという睡眠に関係する持病のため、幻覚に襲われる。…
書評 - 『私の消滅』(文藝春秋)蜂飼 耳
悪意に操られる記憶と人格記憶は、個人の同一性と結びつく。それなら、記憶が操作され、実際とは異なる記憶がはめこまれたら、人は別人格を生きるこ…
書評 - 『世界の果てのこどもたち』(講談社)蜂飼 耳
人生を支える「優しさ」の記憶ある場面の記憶が、その後の人生を通して残り続け、生き方を支える。中脇初枝『世界の果てのこどもたち』は、人の優し…
書評 - 『日本の食文化史――旧石器時代から現代まで』(岩波書店)蜂飼 耳
食材も作法も、驚きの変化たどる日本列島では旧石器時代から現代まで、何がどのように食べられてきたか。いまでは海外でも人気の高い日本食。本書は…
書評 - 『墨痕──書芸術におけるモダニズムの胎動』(森話社)蜂飼 耳
文字か形象か、本質捉える挑戦書は文字か、それとも形象だろうか。何という言葉が書かれているかを読もうとするならば、それは文学作品に通じる視点…
書評 - 『幕末の女医、松岡小鶴 1806-73 〔柳田国男の祖母の生涯とその作品 西尾市岩瀬文庫蔵『小鶴女史詩稿』全訳〕』(藤原書店)蜂飼 耳
風変わりな漢文ににじむ人生松岡小鶴(こつる)は、柳田国男の祖母にあたる人物だ。その漢詩や書簡を現代語訳し、生涯とともに紹介する内容としては…
書評 - 『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)蜂飼 耳
音楽への愛情伝える、展開の妙舞台は芳ケ江(よしがえ)国際ピアノコンクール。3年ごとに開催され、6回目を迎えるこのコンクールは、優勝者が世界屈…
書評 - 『香港パク』(講談社)蜂飼 耳
見えないもの暴く、精神の深層韓国の作家・李承雨の小説は、たたみかけるように重なる叙述がやがて未知の場を拓(ひら)いてみせるところに、無類の…
書評 - 『日本語のために』(河出書房新社)蜂飼 耳
祝詞から憲法までの言葉の姿思考と文体は相互に影響し合う。リテラシー(読み書き能力)は時代とともに変化する。日本語はどのように変遷してきたの…
書評 - 『颶風の王』(KADOKAWA)蜂飼 耳
馬と一族の宿命、体感的に描写馬との宿命的な関わりを、こんなふうに大胆且(か)つ体感的に描いた小説がかつてあっただろうか。河崎秋子『颶風(ぐ…
書評 - 『マティスとルオー 友情の手紙』(みすず書房)蜂飼 耳
間柄示す、彩り豊かな言葉の橋マティスもルオーも画家なのだから、後世の受け手はまずは作品だけ観ていればよい、とも言える。けれど、この書簡集に…
書評 - 『レモン畑の吸血鬼』(河出書房新社)蜂飼 耳
生の断面鮮やか、奇想天外な物語カレン・ラッセル『レモン畑の吸血鬼』は、一作ごとにまったく違う味わいの、八編の小説を収める。「お国のための糸…
書評 - 『あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々』(集英社)蜂飼 耳
心に触れる、ひろやかな考察1920年から終戦まで日本の統治下にあったパラオについての、取材と考察をまとめた本書は、いまを生きる著者の伸びやかさ…
書評 - 『宰相A』(新潮社)蜂飼 耳
制度と図式に対抗する小説田中慎弥の小説『宰相A』は、コッポラ監督の映画「ゴッドファーザー」やカフカの小説『城』、三島由紀夫にも言及しながら…
書評 - 『ジュリエット』(新潮社)蜂飼 耳
人生の分岐点、自然な手つきでだれの人生にも、いくつもの岐路がある。意識できる分岐点もあれば、気づかないうちにそれが訪れる場合もある。アリス…
書評 - 『大きな鳥にさらわれないよう』(講談社)蜂飼 耳
未来の人類、揺らぎに共鳴滅亡の危機に直面する、未来の人類。川上弘美が長編小説『大きな鳥にさらわれないよう』で描くのは、数を減らした人類の生…
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