1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『コンスエラ―七つの愛の狂気』(中央公論新社)豊崎 由美
ケモノバカならずとも「なんでえぇぇーっ!」と憤怒に駆られずにはおられなかった衝撃のラストが用意されている、ハイパーリアリズム系不条理寓話小…
書評 - 『ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー』(中央公論新社)豊崎 由美
「!」と心臓を鷲掴みにされて、頭には渦巻く「?」が……。おっどろくよお、二四七ページ(ALL REVIEWS事務局注:本書評対象は単行本版)。でもって、…
書評 - 『ニューヨーク』(集英社)豊崎 由美
ニューアムステルダムニ代目総督のピーター・ミニュイットが、先住民族からただ同然でマンハッタン島を買い取ってから三五年後の一六六一年。ルーカ…
書評 - 『オウエンのために祈りを』(新潮社)豊崎 由美
外出すれば必ず本屋をのぞく。思わず「おぉっ」と感嘆の声を上げてしまうような逸品を見つけてしまうともういけない。歓びのあまりお買い上げ熱が高…
書評 - 『ある夜、クラブで』(集英社)豊崎 由美
「昔一世を風靡したジャズピアニストがさ、今じゃ工場の温度調整を管理するエンジニアとして地道に暮らしてんのね。ところが、ある晩出張先で列車に…
書評 - 『幸せではないが、もういい』(同学社)豊崎 由美
タイトルにぐっときた。そもそも幸せとは何だろうか、とつきつめて考えてみれば、これが、あなた、なかなかつかみどころがない。結局、幸せな人間な…
書評 - 『I'm sorry, mama.』(集英社)豊崎 由美
今、女性性の中にひそむ”怪物”を描かせて、桐野夏生の右に並ぶ作家といえば笙野頼子くらいしか思いつかない。そのくらい傑出した存在なのだ。児童福…
書評 - 『ミスターX』(東京創元社)豊崎 由美
悪魔憑き、吸血鬼、食屍鬼(グール)、狼男、魔性の女、古今東西のあらゆる恐怖のイコンを、幽霊譚というでっかい器にぶち込んだ、メタフィクショナ…
書評 - 『レキシントンの幽霊』(文藝春秋)豊崎 由美
文藝春秋のPR誌『本の話」で、村上春樹が日本の現代作家の短編作品評論を連載しているのだが、これが滅法勉強になる。プロの作家による批評というよ…
書評 - 『イデアの洞窟』(文藝春秋)豊崎 由美
古代ギリシャのアテネで、野犬に食い殺されたとおぼしき若者の死体が発見される。だが、その見立てに不審を抱いた者がいた。それは「人の容貌や事物…
書評 - 『ガートルードとクローディアス』(白水社)豊崎 由美
芝居好きなもので、これまで色んなパターンのハムレット劇を観てきたけれど、な~んか共感できなくて、肝心の主人公に。この若造の軽挙妄動のせいで…
書評 - 『パラダイス・フラッツ』(新潮社)豊崎 由美
「他人の不幸が嬉しい/のぞき見だけが生き甲斐/自分の都合が道徳/こんなストーカーがあなたのまわりにいませんか」と帯にはあって、確かに、都会…
書評 - 『超男性』(白水社)豊崎 由美
意外と、スポーツマンの作家は多い。有名どころだと、ヘミングウェイ、ジョン・アーヴィング、横光利一、村上春樹、アルチュール・クラヴァンあたり…
書評 - 『ユージニア』(角川グループパブリッシング)豊崎 由美
恩田陸といえば、九一年に『六番目の小夜子』でデビュー以来、ミステリー、ホラー、ファンタジー、学園小説と多彩なジャンルの小説を手がけるエンタ…
書評 - 『オレンジだけが果物じゃない』(国書刊行会)豊崎 由美
翻訳家・岸本佐知子さんの訳したくなる作家の基準は、「小説書いてなかったらどうなってたんだろうって心配になるくらいヘンな人」なんだそうだ。ス…
書評 - 『石川くん』(集英社)豊崎 由美
今年の日本文学の収穫のひとつに、温故知新のコラボレーションがあるのではないだろうか。 高橋源一郎の『日本文学盛衰史』と『官能小説家』、笙野頼…
書評 - 『ムーン・パレス』(新潮社)豊崎 由美
七年ほど前に現在の住居に移った時、わたしはしばらく一〇〇箱近いダンボールに囲まれて生活していたことがある。中味は全部本。ダンボールの上で食…
書評 - 『ららら科學の子』(文藝春秋)豊崎 由美
主人公に、名前がない。本当はあるのだろうけれど、この小説の中で名前を名乗ることもなければ、呼ばれることもついにない。「彼」は学生運動華やか…
書評 - 『太陽の塔』(新潮社)豊崎 由美
〈何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ〉なんて大それたことを言い放つ、この小説の語り手は…
書評 - 『ヒストリア』(KADOKAWA)豊崎 由美
池上永一といえば、女性には許されない学問を諦めず、やがて王府の役人として異例の出世を遂げていく少女の破天荒な活躍を、19世紀、薩摩藩と清国の…
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