1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『文学的商品学』(文藝春秋)豊崎 由美
斎藤美奈子は男前な女なんである。もしかしたら”偉い人”の不興をかうかもしれぬ意見であっても、建前で武装することなく、相手の目を見てきちっと理…
書評 - 『体の贈り物』(新潮社)豊崎 由美
この世の中にはギブ&テイクの精神がまかり通っている。「わたしが○○してあげたんだから、あなたも××してよ」。そこには、いつも自分一人しか存在し…
書評 - 『シンセミア』(講談社)豊崎 由美
連載期間三年半、原稿用紙一六〇〇枚にも及ぶ阿部和重の大長篇小説『シンセミア』を一読、驚いてしまった。だって、ミステリーなんだもん、バリバリ…
書評 - 『インディヴィジュアル・プロジェクション』(新潮社)豊崎 由美
インディヴィジュアルは「個人的な」という意味でいいとしても、プロジェクションには様々な意味がある。「計画」であると同時に、心理学の世界では…
書評 - 『泣かない女はいない』(河出書房新社)豊崎 由美
子供の頃「おとこ女」と呼ばれておりましたの。つまり、男みたいな女ってことだすわね。だすわよ。で、いわゆる女心というものを解さないまま成長し…
書評 - 『パラレル』(文藝春秋)豊崎 由美
〈なべてこの世はラブとジョブ〉。大学在学中にバブル崩壊を経験し、不景気のまっただ中に働き盛りの三〇代を迎えた世代の、ラブ&ジョブの一〇数年…
書評 - 『バースト・ゾーン―爆裂地区』(早川書房)豊崎 由美
「テロリンを殲滅せよ!」、ラジオからは戦意高揚のメッセージが四六時中流れ、少しでもテロリンっぽい行動をした者は民衆のリンチによってぶち殺さ…
書評 - 『ポーの話』(新潮社)豊崎 由美
どことも知れぬ遠い町や村を舞台に、象徴性を帯びたキャラクターを多々登場させるいしいしんじの小説は、寓話とかファンタジーとかに括られがちで、…
書評 - 『牛乳アンタッチャブル』(双葉社)豊崎 由美
九八年に『闇の楽園』でデビューして以来、『溺れる魚』『湾岸リベンジャー』『the TWELVE FORCES』『なぎら☆ツイスター』等々、打出の小槌のごとく…
書評 - 『The Twelve Forces』(角川書店)豊崎 由美
二一世紀、大ブレイクする作家は戸梶圭太! だからといって、直木賞は獲りませんけど。ていうか、いらないし。本人じゃないのに拒否するのもアレです…
書評 - 『山ん中の獅見朋成雄』(講談社)豊崎 由美
舞城王太郎が疾走している。どんなレースでも〈スタートでずどんと前に飛び出てがむしゃらに走って体力の持つ限り前に前に進む〉、この物語の主人公…
書評 - 『阿修羅ガール』(新潮社)豊崎 由美
昨年末、雑誌『ダ・ヴィンチ』に載っていた読者アンケートにニマァ~ッとなった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)。「来年ブレイクし…
書評 - 『世界は密室でできている。』(講談社)豊崎 由美
舞城王太郎。ドメスティック・バイオレンス吹き荒れる地方の旧家・奈津川家をめぐる密室殺人事件絡みのファミリー・サーガ『煙か土か食い物』で昨年…
書評 - 『死神の精度』(文藝春秋)豊崎 由美
断言いたしましょう。来年一月に明らかになる第一三四回直木賞の受賞作品が、早くも決定いたしました。伊坂幸太郎『死神の精度』。これまで『重力ピ…
書評 - 『チルドレン』(講談社)豊崎 由美
先頃、吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した、ノリにノッてる若手作家が伊坂幸太郎であります。最新刊の『チルドレン』は…
書評 - 『重力ピエロ』(新潮社)豊崎 由美
「春が二階から落ちてきた」この冒頭のフレーズから読者の気持ちをぐっとつかんで、ラストに至るまで一瞬たりとも握力を緩めない。それが伊坂幸太郎…
書評 - 『ベルカ、吠えないのか?』(文藝春秋)豊崎 由美
うおんうぉんうおぉ~んっ! って、負け犬のアレじゃありませんの。そんなん流行にのった遠吠えとはちゃうちゃう犬。古川日出男の『ベルカ、吠えない…
書評 - 『gift』(集英社)豊崎 由美
もったいない……。思わずこぼれる憂慮の眩き。こんなにたくさんのアイディアと語りのスタイルとテクニックを、たった一冊の本の中に詰め込んでしまっ…
書評 - 『その名にちなんで』(新潮社)豊崎 由美
トヨザキ的評価軸:◎「金の斧(親を質に入れても買って読め)」「銀の斧(図書館で借りられたら読めば―)」「鉄の斧(ブックオフで100円で売っていて…
書評 - 『サウンドトラック』(集英社)豊崎 由美
幼児期を無人島でサバイブした経験を持つトウタとヒツジコ。日本のアラブ人街で育った性別を自在に操ることができるレニと、彼女/彼に影のようにつ…
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