
1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『ニンゲン御破産』(白水社)豊崎 由美
円環をなす大きな時間枠の中に、時系列を無視したエピソードを暗転とスライドを多用しながら断片的に提示し、それら断片同士は互いに入れ子のような…
書評 - 『刑務所のリタ・ヘイワース』(新潮社)豊崎 由美
『刑務所のリタ・ヘイワース』(『ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編』(新潮社)収録)もしも、人生これからだっていう、たとえば二五歳とかそんな年…
書評 - 『異形の愛』(河出書房新社)豊崎 由美
小説にモラルなんていらない。世界のあらゆる様相を描くことが文学の役割のひとつなら、作品中に差別用語や偏見を声高にがなり立てる人物が登場した…
書評 - 『夢の終わりに…』(早川書房)豊崎 由美
自分の子供時代を美化したがる大人は多い。「今の子は原っぱもなくてかわいそうだ。その点昔は――」とか何とか。でも、そんなの浅はかな思い込みにす…
書評 - 『本を読む前に』(新書館)豊崎 由美
詩人・荒川洋治の『本を読む前に』は、文章を書くことを生業とする者にとって畏るべき一冊だ。氏は語る。自分にまつわる話をとうとうと書く文学者が…
書評 - 『20世紀最後の戯曲集』(新潮社)豊崎 由美
戯曲読んだことありますか? ありませんよね。戯曲は読むものじゃなくて、観るものだと思ってるもの、フツーは。戯曲を必要とするのは、主に高校の演…
書評 - 『ビリー・ザ・キッド全仕事』(白水社)豊崎 由美
オーディ・マーフィー、ポール・ニューマン、クリス・クリストファーソンらが映画で演じたビリー・ザ・キッドといえば、どこか淋しげで夕陽の似合う…
書評 - 『FUTON』(講談社)豊崎 由美
ある雑誌で二十世紀のベストセラーを読み直すという企画の対談を続けています(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)。そのおかげで、読み…
書評 - 『新解さんの謎』(文藝春秋)豊崎 由美
三省堂から出ている『新明解国語辞典』が怪しいとは、かねがね耳にしていたのだけれど、これほどまでにおかしみと深みに満ちた一冊だったとは! わた…
書評 - 『天使』(文藝春秋)豊崎 由美
佐藤亜紀が『バルタザールの遍歴』という恐るべき傑作をもってデビューした時の昂揚は今もよく覚えている。同世代の、真に瞠目すべき作家が現れた、…
書評 - 『怪獣文学大全』(河出書房新社)豊崎 由美
ダメじゃん。これじゃあイグアナじゃん。バカじゃん? ハリウッド版『GODZILLA』を観て、つくづくしみじみ此方(こなた)と彼方(かなた)の怪獣に対…
書評 - 『ゼロ発信』(中央公論新社)豊崎 由美
赤瀬川原平さんは――ここまで書いて、かつて先輩ライターに「取材記事でもないのに有名人に“さん”づけするのはおかしい」と注意されたことを思い出し…
書評 - 『わすれなぐさ』(国書刊行会)豊崎 由美
吉屋信子再評価の気運が高まっています。今回取り上げる『わすれなぐさ』の他にも、『鬼火 底のぬけた柄杓(ひしゃく)』(講談社文芸文庫)、『父の…
書評 - 『偏愛文学館』(講談社)豊崎 由美
保坂和志さんが本誌「新潮」で連載中の評論をまとめた『小説の自由』(新潮社)は、現役の作家や作家志望の若い人にとって示唆に富むのはもちろん、…
書評 - 『老人のための残酷童話』(講談社)豊崎 由美
昨年に出た『あたりまえのこと』は、倉橋由美子の厳しい小説観と文壇観を示してスリリングな一冊だ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)…
書評 - 『僕の双子の妹たち』(集英社)豊崎 由美
〈僕の双子の妹たち。/これまで僕は何度、このフレーズを心の中でつぶやいてきただろう。自分でも赤面してしまうほどのいとおしさと慈しみ、あきれ…
書評 - 『ロンリー・ハーツ・キラー』(中央公論新社)豊崎 由美
今、日本に江國香織的なモノローグ小説が蔓延している。江國的小説世界には、多くの場合、易しい言葉の連なりで、いかにも意味深な何か(本当はそん…
書評 - 『アルカロイド・ラヴァーズ』(新潮社)豊崎 由美
もうずいぶん以前の話。夏祭りに供されるカレーに毒物を混入させた疑いで捕まったMという女がいて、事件後の調べによると、Mは保険金を受け取るため…
書評 - 『半島を出よ〈上〉』(幻冬舎)豊崎 由美
全国のプレジデントな皆さん、危機管理できてますか? 足下の面倒事だけでなく、遠い先で起こるかもしれないもっとイヤァなことにまで想像力を飛ばせ…
書評 - 『徹底抗戦!文士の森』(河出書房新社)豊崎 由美
英国の作家ゴードン・スティーヴンズが書いた『カーラのゲーム』(創元ノヴェルズ)という冒険小説があります。内戦に揺れるボスニアで愛する夫も息…
書評