1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『ロンリー・ハーツ・キラー』(中央公論新社)豊崎 由美
今、日本に江國香織的なモノローグ小説が蔓延している。江國的小説世界には、多くの場合、易しい言葉の連なりで、いかにも意味深な何か(本当はそん…
書評 - 『アルカロイド・ラヴァーズ』(新潮社)豊崎 由美
もうずいぶん以前の話。夏祭りに供されるカレーに毒物を混入させた疑いで捕まったMという女がいて、事件後の調べによると、Mは保険金を受け取るため…
書評 - 『半島を出よ〈上〉』(幻冬舎)豊崎 由美
全国のプレジデントな皆さん、危機管理できてますか? 足下の面倒事だけでなく、遠い先で起こるかもしれないもっとイヤァなことにまで想像力を飛ばせ…
書評 - 『徹底抗戦!文士の森』(河出書房新社)豊崎 由美
英国の作家ゴードン・スティーヴンズが書いた『カーラのゲーム』(創元ノヴェルズ)という冒険小説があります。内戦に揺れるボスニアで愛する夫も息…
書評 - 『待つこと、忘れること?』(平凡社)豊崎 由美
あの金井美恵子の食にまつわるエッセイ。というだけで読む人は読むのだし、“あの”の意味もわからない人は『ビストロSMAP』でも買って読めばいいと思…
書評 - 『球形時間』(新潮社)豊崎 由美
他者と関係を結ぶのがかったるい。表層的に友達のふりをしてるのが楽だし、実際平和。若い世代だけじゃないと思う、そんな風に感じてるのは。この小…
書評 - 『共生虫』(講談社)豊崎 由美
否応なく時代とリンクしてしまう表現者がいる。たとえば村上龍。無差別殺人鬼を主人公にした小説『イン ザ・ミソスープ』を書いた時、わたしたちは神…
書評 - 『雪沼とその周辺』(新潮社)豊崎 由美
新潟にある尺玉発祥の地で奉納花火を見たことがある。見物場所の神社の境内からさほど離れていない場所で打ち上げるので、二尺、三尺といわず、今や…
書評 - 『旅をする裸の眼』(講談社)豊崎 由美
八一年、大学の卒業を待たずにインドに渡り、翌年ドイツのハンブルクに着いた時、多和田葉子は透き通るほどすり減った運動靴を履いていたという。そ…
書評 - 『新・地底旅行』(朝日新聞社)豊崎 由美
時は明治末。「地球空洞説」を信奉する科学者・稲峰博士とその令嬢・都美子が富士登山中、行方不明に。挿絵画家の野々宮はお調子者の友人・丙三郎の…
書評 - 『クラッシュ』(東京創元社)豊崎 由美
これはJ・G・バラードによるポルノグラフィーだ。でも、あんなことやそんなことを想像して、「いけないわ、いけないわ」「いいじゃないか、いいじゃ…
書評 - 『一階でも二階でもない夜 - 回送電車II』(中央公論新社)豊崎 由美
“美しい日本語”といったって、主体が変われば美の基準なんてさまざまに変容するのだから、堀江敏幸の一連の作品をそんな手垢にまみれた決まり文句で…
書評 - 『アフターダーク』(講談社)豊崎 由美
えっ? んで? だから何? 村上春樹の書き下ろし長編小説『アフターダーク』を読みながら、読み終えた後もしばらく渦巻く脳内クエスチョン。これが出…
書評 - 『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社)豊崎 由美
「リーザ、きのうはいったい何があったんだろう?」「あったことがあったのよ」「それはひどい。それは残酷だ!」というドストエフスキー『悪霊』か…
書評 - 『ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編』(新潮社)豊崎 由美
村上春樹の長編小説が完結した。ところが、出てくる感想の大半は批判もしくは「?」。たしかに、思わせぶりな登場の仕方をしたわりにはあっさり物語…
書評 - 『老人ホーム―一夜のコメディ』(東京創元社)豊崎 由美
へえ~え、こんなにユニークな作家がいたんだ! その名もB・S・ジョンソン。海外文学は翻訳を通じてしか読めないという方の大半にとっては、名前すら…
書評 - 『ブタをけっとばした少年』(新潮社)豊崎 由美
新しい海外文学を紹介するシリーズ〈クレスト・ブックス〉の健闘ぶりといい、『ブルーノ・シュルツ全集』の刊行といい、ここ数年の新潮社は頑張って…
書評 - 『フォックスファイア』(DHC)豊崎 由美
ジョイス・キャロル・オーツという作家について考える時、『オン・ボクシング』(中央公論新社)は無視できない一冊だと思う。「殴り合いもしたこと…
書評 - 『紙葉の家』(ソニーマガジンズ)豊崎 由美
ザンパノという名の盲目の老人が古いナプキンの裏や封筒の切れ端から切手の裏まで、膨大な紙片に綴った文書[1]。老人の死後、それを入手した青年ジ…
書評 - 『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが・・・』(集英社)豊崎 由美
リンドバーグといえば、人類初の大西洋単独横断飛行をなしとげた空の英雄。でも一方で、1941年にユダヤ民族の脅威を訴える演説をした、親ヒトラー派…
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