1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『刀』(新潮社)豊崎 由美
〈私の中には幼い頃より一本の刀が棲み着いており、この頃は毎夜のごとく夢に出てきて、書け、と私を脅す。書かなければお前を斬る、と刀は宣(のた…
書評 - 『拳闘士の休息』(河出書房新社)豊崎 由美
ギリシャ神話に、神々によって岩を頂上まで運び上げる刑罰を科されたシーシュポスの挿話がある。岩は頂上に達するや、その重さで落下。シーシュポス…
書評 - 『PAY DAY!!!』(新潮社)豊崎 由美
主人公は双子の兄妹ハーモニーとロビン。彼らが一五歳の時に両親が離婚したため、妹のロビンはイタリア系アメリカ人の母親とニューヨークに残り、兄…
書評 - 『ウェルカム・ホーム!』(新潮社)豊崎 由美
「フツー、とかさ。ちゃんとしてる、とかさ」「そういうの、もういいじゃん。誰もフツーじゃないし、誰もフツーじゃないんだから、逆にみんながフツ…
書評 - 『ニンゲン御破産』(白水社)豊崎 由美
円環をなす大きな時間枠の中に、時系列を無視したエピソードを暗転とスライドを多用しながら断片的に提示し、それら断片同士は互いに入れ子のような…
書評 - 『刑務所のリタ・ヘイワース』(新潮社)豊崎 由美
『刑務所のリタ・ヘイワース』(『ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編』(新潮社)収録)もしも、人生これからだっていう、たとえば二五歳とかそんな年…
書評 - 『異形の愛』(河出書房新社)豊崎 由美
小説にモラルなんていらない。世界のあらゆる様相を描くことが文学の役割のひとつなら、作品中に差別用語や偏見を声高にがなり立てる人物が登場した…
書評 - 『夢の終わりに…』(早川書房)豊崎 由美
自分の子供時代を美化したがる大人は多い。「今の子は原っぱもなくてかわいそうだ。その点昔は――」とか何とか。でも、そんなの浅はかな思い込みにす…
書評 - 『本を読む前に』(新書館)豊崎 由美
詩人・荒川洋治の『本を読む前に』は、文章を書くことを生業とする者にとって畏るべき一冊だ。氏は語る。自分にまつわる話をとうとうと書く文学者が…
書評 - 『20世紀最後の戯曲集』(新潮社)豊崎 由美
戯曲読んだことありますか? ありませんよね。戯曲は読むものじゃなくて、観るものだと思ってるもの、フツーは。戯曲を必要とするのは、主に高校の演…
書評 - 『ビリー・ザ・キッド全仕事』(白水社)豊崎 由美
オーディ・マーフィー、ポール・ニューマン、クリス・クリストファーソンらが映画で演じたビリー・ザ・キッドといえば、どこか淋しげで夕陽の似合う…
書評 - 『FUTON』(講談社)豊崎 由美
ある雑誌で二十世紀のベストセラーを読み直すという企画の対談を続けています(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)。そのおかげで、読み…
書評 - 『新解さんの謎』(文藝春秋)豊崎 由美
三省堂から出ている『新明解国語辞典』が怪しいとは、かねがね耳にしていたのだけれど、これほどまでにおかしみと深みに満ちた一冊だったとは! わた…
書評 - 『天使』(文藝春秋)豊崎 由美
佐藤亜紀が『バルタザールの遍歴』という恐るべき傑作をもってデビューした時の昂揚は今もよく覚えている。同世代の、真に瞠目すべき作家が現れた、…
書評 - 『怪獣文学大全』(河出書房新社)豊崎 由美
ダメじゃん。これじゃあイグアナじゃん。バカじゃん? ハリウッド版『GODZILLA』を観て、つくづくしみじみ此方(こなた)と彼方(かなた)の怪獣に対…
書評 - 『ゼロ発信』(中央公論新社)豊崎 由美
赤瀬川原平さんは――ここまで書いて、かつて先輩ライターに「取材記事でもないのに有名人に“さん”づけするのはおかしい」と注意されたことを思い出し…
書評 - 『わすれなぐさ』(国書刊行会)豊崎 由美
吉屋信子再評価の気運が高まっています。今回取り上げる『わすれなぐさ』の他にも、『鬼火 底のぬけた柄杓(ひしゃく)』(講談社文芸文庫)、『父の…
書評 - 『偏愛文学館』(講談社)豊崎 由美
保坂和志さんが本誌「新潮」で連載中の評論をまとめた『小説の自由』(新潮社)は、現役の作家や作家志望の若い人にとって示唆に富むのはもちろん、…
書評 - 『老人のための残酷童話』(講談社)豊崎 由美
昨年に出た『あたりまえのこと』は、倉橋由美子の厳しい小説観と文壇観を示してスリリングな一冊だ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)…
書評 - 『僕の双子の妹たち』(集英社)豊崎 由美
〈僕の双子の妹たち。/これまで僕は何度、このフレーズを心の中でつぶやいてきただろう。自分でも赤面してしまうほどのいとおしさと慈しみ、あきれ…
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