1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『綺譚集』(東京創元社)豊崎 由美
小説家は太陽の想像力と月の想像力の持ち主に分けられる。津原泰水。少年少女向けのライトノベルから筆業を興し、その後『蘆屋家の崩壊』などの作品…
書評 - 『ノーライフキング』(河出書房新社)豊崎 由美
ニッポンの文壇村ではほとんど話題にも上がらなかったけれど、一般の小説ファンの間では「読んだ?」「ⅠからⅣまでバージョンがあって、それぞれ結末…
書評 - 『葉書でドナルド・エヴァンズに』(作品社)豊崎 由美
お土産はいいから、ただその土地から絵葉書を送ってほしい――。わたしが海外旅行に出るたびに、そう頼む友人がいる。不思議なもので、普段は筆無精な…
書評 - 『ライカ同盟』(講談社)豊崎 由美
天体望遠鏡、顕微鏡、そしてカメラ。子どもには、こうした精密機器を通して世界に触れたいと熱望する時期がある。今でも忘れない。買ってもらった屈…
書評 - 『河岸忘日抄』(新潮社)豊崎 由美
ふと気づけば、忙しがっていることで必要とされているふりをしている。何でもかんでもわかった気になろうとしている。そういうハイテンションな日々…
書評 - 『カフカの父親』(白水社)豊崎 由美
変身、といえばカフカか仮面ライダーの専売特許ということになっているんだけれど、無念なことに後者から連想できる爆笑思弁小説の傑作『沢蟹まける…
書評 - 『ベルリンの瞬間』(集英社)豊崎 由美
狭いニッポンそんなに急いでどこへ行く、なんて交通標語がありましたけど、これって、今や言論の場でこそ唱えられていい標語かもしれないと思います…
書評 - 『彼女は長い間猫に話しかけた』(マドラ出版)豊崎 由美
どうせまたスルーしちゃうんでしょ、純文学リーグはこういう傑作を。糸井重里が『家族解散』を、いとうせいこうが『ノーライフキング』を、そして最…
書評 - 『若かった日々』(新潮社)豊崎 由美
子どもの頃、よく考えませんでしたか? 「なんで、自分は自分なんだろう」とか、「なんで、わたしは今ここにいるんだろう」とか。ところが大抵の人は…
書評 - 『月の裏側』(幻冬舎)豊崎 由美
堀割が毛細血管のように入り組み流れる九州の小さな水郷都市で、一年に三件の失踪事件が相次ぐ。消えたのはいずれも堀に面した家に住む老人だったの…
書評 - 『手紙』(岩波書店)豊崎 由美
八三年のデビュー作、葛飾北斎の娘を主人公にした『応為坦坦録』の締めの一文にシビれて以来、山本昌代の仕事に注目し続けてきたことは、わたしの小…
書評 - 『古道具 中野商店』(新潮社)豊崎 由美
「市井小説」というジャンルがあって、それは大金持ちでもなく、有名人でもなく、英雄でもない、歴史という大海の中の小さな泡沫にすぎない、わたし…
書評 - 『袋小路の男』(講談社)豊崎 由美
「発掘!あるある大辞典」という人気テレビ番組じゃないけれど(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2004年)、小説を読んでいて「いるいる」と呟…
書評 - 『刀』(新潮社)豊崎 由美
〈私の中には幼い頃より一本の刀が棲み着いており、この頃は毎夜のごとく夢に出てきて、書け、と私を脅す。書かなければお前を斬る、と刀は宣(のた…
書評 - 『拳闘士の休息』(河出書房新社)豊崎 由美
ギリシャ神話に、神々によって岩を頂上まで運び上げる刑罰を科されたシーシュポスの挿話がある。岩は頂上に達するや、その重さで落下。シーシュポス…
書評 - 『PAY DAY!!!』(新潮社)豊崎 由美
主人公は双子の兄妹ハーモニーとロビン。彼らが一五歳の時に両親が離婚したため、妹のロビンはイタリア系アメリカ人の母親とニューヨークに残り、兄…
書評 - 『ウェルカム・ホーム!』(新潮社)豊崎 由美
「フツー、とかさ。ちゃんとしてる、とかさ」「そういうの、もういいじゃん。誰もフツーじゃないし、誰もフツーじゃないんだから、逆にみんながフツ…
書評 - 『ニンゲン御破産』(白水社)豊崎 由美
円環をなす大きな時間枠の中に、時系列を無視したエピソードを暗転とスライドを多用しながら断片的に提示し、それら断片同士は互いに入れ子のような…
書評 - 『刑務所のリタ・ヘイワース』(新潮社)豊崎 由美
『刑務所のリタ・ヘイワース』(『ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編』(新潮社)収録)もしも、人生これからだっていう、たとえば二五歳とかそんな年…
書評 - 『異形の愛』(河出書房新社)豊崎 由美
小説にモラルなんていらない。世界のあらゆる様相を描くことが文学の役割のひとつなら、作品中に差別用語や偏見を声高にがなり立てる人物が登場した…
書評