1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『小沼丹 小さな手袋/珈琲挽き 大人の本棚』(みすず書房)豊崎 由美
「玄関で風呂をたいている」と聞き、風呂桶を置いているだけのことなのに「君とこの玄関は随分たてつけがいいんだね」、たたきに水を張って湯を沸か…
書評 - 『サバイバー』(早川書房)豊崎 由美
作家の役割について考える時、あるエッセイで読んだエピソードを忘れることができない。それは炭坑のカナリア。かつて炭坑夫はカナリアを連れて坑に…
書評 - 『一人の男が飛行機から飛び降りる』(新潮社)豊崎 由美
ちょっとヘンな夢をみてしまうことはしばしばある。僭越ながら、わたしの例を挙げると――。真っ白な診察室にいる。やがて、看護婦を伴った医者が登場…
書評 - 『航路』(早川書房)豊崎 由美
心停止後に蘇生した人間の約六割が共通して訴える特異な体験、臨死体験(NDE)。暗いトンネルや光、三途の川、花畑、優しく出迎えてくれる死んだはず…
書評 - 『本についての詩集』(みすず書房)豊崎 由美
詩人は言葉について深い想いを巡らせている人たちだから、長田弘さんから「本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう」なんて言わ…
書評 - 『蹴りたい背中』(河出書房新社)豊崎 由美
青臭い。なのに、独善的じゃない。描かれているのは高校生の世界。なのに、ハイティーンだけでなく、それこそリストラ世代の胸にも届く言葉に溢れて…
書評 - 『燃えるスカートの少女』(KADOKAWA)豊崎 由美
エイミー・ベンダーの処女短篇集『燃えるスカートの少女』に収められた十六篇、そのどれもが、のっけから読み手のハートを鷲づかみにするストレート…
書評 - 『世界の果ての庭』(東京創元社)豊崎 由美
英国式庭園を愛する女性作家の話(A)、どんどん若返る奇病にかかった母親を持つ女子高生の話(B)、女性作家の恋人のアメリカ人が研究テーマにして…
書評 - 『犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(早川書房)豊崎 由美
コニー・ウィリスって作家をご存じ? 知らなかったら、かなりのおバカさん。無知蒙昧な文盲さん。SF作家ですの。しかも、凄く位が高いお方ですの。で…
書評 - 『神秘の短剣〈上〉 ライラの冒険II』(新潮社)豊崎 由美
ライラ・シルバータン。わたしたちの世界と似てはいても、多くの点で異なる世界にいる少女。相棒はダイモン(守護精霊)のパンタライモン、通称パン…
書評 - 『ホワイト・ティース』(新潮社)豊崎 由美
わたしもテレビ朝日で放映されてる「ほんパラ!関口堂書店」の店員になってみたい。近頃訳出あいなった『ナボコフ短篇全集Ⅰ・Ⅱ』(作品社)を取り上…
書評 - 『アルヴァとイルヴァ』(文藝春秋)豊崎 由美
就職がなかなか決まらない男子学生を追うドキュメンタリー番組を見た。悩んだ末に就職斡旋会社の面接を受け、「もっと笑顔で!」「はきはきしなきゃ…
書評 - 『望楼館追想』(文藝春秋)豊崎 由美
奇人変人が好きだ。彼らは、慣習という囲いに風穴をあけてくれる。今・此処(ここ)とは違うシステムで成立している世界、その存在の可能性を垣間見…
書評 - 『トランス=アトランティック』(国書刊行会)豊崎 由美
物真似がうまい、やたらやかましいタレントがいるじゃないですか。柳沢慎吾。たとえば、あの人になってみるわけです。柳沢慎吾の落ち着きのない目で…
書評 - 『空中の茱萸』(思潮社)豊崎 由美
詩は一体、どこで、何をしているのか。たとえば、道行く人に「あなたが今日見かけた詩は一体、どこで、何をしていましたか?」と訊ねてみる。……無理…
書評 - 『インフォーマーズ』(角川書店)豊崎 由美
人間は時代の産物である。「いまどきの若モンは……」的発言はいつの世も絶えないけれど、感受性が強く自我が固まりきっていない若モンだからこそ、“い…
書評 - 『世界文学のフロンティア〈3〉夢のかけら』(岩波書店)豊崎 由美
最近の岩波はえらい。中国のガルシア=マルケスとの呼び声も高い莫言の大々々々々傑作『酒国』(未読の方、走れ本屋へ!)を訳してくれたうえ、有名作…
書評 - 『ソーネチカ』(新潮社)豊崎 由美
この小説の魅力を伝えるのは、ひどく難しい。ストーリー自体がこみいっているわけでもないし、難解な思想が語られているわけでもない。むしろその逆…
書評 - 『この不思議な地球で―世紀末SF傑作選』(紀伊國屋書店)豊崎 由美
「二十世紀は、SFの世紀だった。それは、SF的未来観によって巨大な科学技術文明を築くとともに、SF的想像力の浸透によって超微細な高度電脳文化を自…
書評 - 『音楽のレッスン』(河出書房新社)豊崎 由美
音楽がテーマだったり、大切な小道具として扱われている小説は多々ある。たとえば、ルイス・シャイナー『グリンプス』(創元SF文庫)。人生に行き詰…
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