1934(昭和9)年京都府生まれ。劇作家、評論家。中央教育審議会会長。文化功労者。京都大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程修了。関西大学教授、大阪大学教授、東亜大学学長等を歴任。著書に『世阿弥』『鴎外 闘う家長』『社交する人間』『装飾とデザイン』等。もっと読む
- 『政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡』(新潮社)山崎 正和
再発見されたこの国の転換時代とは、そのなかに生きている人間には見えないものなのかもしれない。時代という生きた統一体は、そこから一定度の距離…
書評 - 『三人で本を読む―鼎談書評』(文藝春秋)山崎 正和
閉じられて開かれた会話対談であれ鼎談であれ、もつと規模の大きい座談会であれ、難しい要諦はただひとつ、出席者がつねに二重の会話を交はさなけれ…
後書き - 『レイシズム』(講談社)山崎 正和
意識的な差別を拒絶した後に左利きのための鋏が発売されたのは、二十世紀も半ばのことであった。私の幼年期、親も学校も左利きの子を右利きに矯正す…
書評 - 『破滅者』(みすず書房)山崎 正和
「わかる」ことの悲劇と救い「わかる」ことは、人を孤独にする。わからないすべての他人を敵に廻し、わかり知る密室に閉じこもることになるからであ…
書評 - 『ホモ・デジタリスの時代:AIと戦うための哲学』(白水社)山崎 正和
歴史のアイロニーに耐える信念この本の表題は難しいが、原書の表題は明快である。原題は「時代は変わったというべき……」。副題は「懸念される変化の…
書評 - 『美学への招待 増補版』(中央公論新社)山崎 正和
「作る」ことに恵みとして与えられる美長らく「真・善・美」という価値基準があった。だが現代、真は科学の専門分化によって難解となり、一般人の参…
書評 - 『ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する』(CCCメディアハウス)山崎 正和
道徳色を排した現代の幸福論「幸福論」の時代は過ぎ去ったと思っていた。幸福という曖昧で主観的な尺度で人生を測り、幸福になるにはいかに生きるべ…
書評 - 『世界地図を読み直す:協力と均衡の地政学』(新潮社)山崎 正和
行動する政治学者の教養北岡さんは行動する政治学者である。東大で政治学を教え、多くの研究書とともに啓蒙書の筆を執り、政治学の教科書まで上梓(…
書評 - 『海洋アジアvs.大陸アジア:日本の国家戦略を考える』(ミネルヴァ書房)山崎 正和
アジアから見た「大国」日本の役割アジアの現在と近未来を考えるとき、米国の存在は決定的に重要な要素である。著者は明敏にこの点に注目し、現在の…
書評 - 『大災害の時代 未来の国難に備えて』(毎日新聞出版)山崎 正和
人間愛ほとばしる励ましの書歴史を振り返ると、日本には大地震が連発する時期、いわば地震の活性期が何度となくあった。八世紀の貞観地震から仁和地…
書評 - 『自由の条件:スミス・トクヴィル・福澤諭吉の思想的系譜』(ミネルヴァ書房)山崎 正和
中産階級、民主主義への寄与と陥穽(かんせい)著者は今年、自由を主題として二冊の本を発表した。五月の『自由の思想史 市場とデモクラシーは擁護…
書評 - 『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)山崎 正和
七分の共感と三分の憐憫の作家本書の主題はチェーホフ、副題は「七分の絶望と三分の希望」である。だが読み進むと浮かび上がる作家の姿は、「七分の…
書評 - 『欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界』(中央公論新社)山崎 正和
EUの混迷から読む国家論EUの草創期にみずから身をもって参加し、名著『統合の終焉(しゅうえん) EUの実像と論理』を書いた著者は、当然、EUの理想…
書評 - 『鼎談書評』(文藝春秋)山崎 正和
鼎談と書評と「三人寄れば文殊の知恵」といふのは、たぶん日本特有の格言であり、とりわけて日本的な知恵のあり方をいひあてた言葉だ、といふ気がし…
前書き - 『紙つぶて―自作自注最終版』(文藝春秋)山崎 正和
第4回(2006年)「毎日書評賞」選評 半世紀の読書界の水先案内人への敬意谷沢永一さんは日本近代文学の研究者であり、書誌学の第一人者であり、なによ…
選評 - 『怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史』(講談社)山崎 正和
好色な理想主義者が企てた近代化の行方「裏返し史伝」というものがある。たいていは面白くない。「裏返し忠臣蔵」などが好例だが、伝説の英雄を引き…
書評 - 『アジアを読む』(みすず書房)山崎 正和
今に生きる中国文人の精神よい書評の条件は三つあると、私はかねて考えている。第一に褒め上手であること、第二に粗筋を巧みに紹介すること、第三に…
書評 - 『最新戯曲集 紙屋町さくらホテル』(小学館)山崎 正和
演劇が演劇を擁護する見て面白い芝居は、読んでも面白い。戯曲は上演することもできる文学だ、というのは人類二千年の常識であった。一九六〇年代半…
書評 - 『坂の上の雲』(文藝春秋)山崎 正和
いじらしい明治の青春像と近代国家の孕(はら)む矛盾司馬遼太郎さんの作家としての一番の関心事は、明治以降の国民国家としての日本というものだっ…
書評 - 『建築探偵、本を伐る』(晶文社)山崎 正和
第1回(平成14年)「毎日書評賞」選評原著者との絶妙な問合いあらゆる批評のなかで、書評はその原点を示すような仕事だといえるだろう。一冊の本を批…
選評