1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。著書に『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』『ハイ・イメージ論』『カール・マルク…もっと読む
- 『カフカのように孤独に』(平凡社)吉本 隆明
この本はカフカの文学をとりまく環境を、けれん味のない正攻法で抑えようとした地道な研究だとおもう。文学の環境は、作品と作者に分割される。そし…
書評 - 『女たちへの手紙―1926年~1939年』(人文書院)吉本 隆明
このサルトルの書簡集にはとびきりおおきな特色がある。生涯平坦に、ほとんど直線的に続いた愛人ボーヴォワールとの関係はそのまま心棒において、別…
書評 - 『エロティシズムの歴史: 呪われた部分 普遍経済論の試み 第二巻』(筑摩書房)吉本 隆明
人間の性交行為は、醜悪で、卑猥で、隠したくて仕方がないところに付いた器官を使って行われる。それなのに人間は性交で快美の極限を体験する。ほん…
書評 - 『同性愛と生存の美学』(哲学書房)吉本 隆明
ふつう同性愛についての、わたしたちのあいだの論議の中心は、ひと口に、ひとは何故、どんなふうに、いつ同性愛者になるのかという段階にあるといっ…
書評 - 『愛と幻想のファシズム』(講談社)吉本 隆明
この作品の性格をひとことで言い当てようとすると、ふんだんに毒を含んだハードボイルド風の劇画小説ということになる。まず毒ということからはじめ…
書評 - 『ポスト・モダンの条件―知・社会・言語ゲーム』(水声社)吉本 隆明
ふつう「物語」と呼ばれているものには、およそふたつの特徴がある。ひとつは話し言葉か書き言葉の言語行為が関与していることだ。もうひとつは大な…
書評 - 『オリエンタリズム』(平凡社)吉本 隆明
この本を読んでいると、西欧の歴史、とくに十八世紀以来の近代史にとって、オリエント(東洋)という主題は、ユダヤ人問題や、わが国でいえば被差別…
書評 - 『ニューヨーク・シティ・マラソン』(集英社)吉本 隆明
表題のニューヨークシティを含めて、リオ・デ・ジャネイロ、ホンコン、ハカタ、フロリダ、メルボルン、コート・ダ・ジュール、パリ、ローマなど世界…
書評 - 『太宰治全集』(筑摩書房)吉本 隆明
太宰治の作品戦争中、太宰治の作品はじぶんのアドレッセンス初葉そのものといってよかった。がさつな戦時体制下に、じぶんもそのがさつさを盛上げる…
書評 - 『神聖受胎』(河出書房新社)吉本 隆明
少年時代のある時期に植物採集や昆虫採集に熱中する。夏休みの宿題に標本を作って提出することという一条があると、他のことは何をしなくても一個の…
書評 - 『シボレート―パウル・ツェランのために』(岩波書店)吉本 隆明
まえにこの本の著者デリダの「エドモン・ジャベスと本の問題」という詩人論に感銘したことがあった。おなじ名づけ方をすればこの本は「パウル・ツェ…
書評 - 『機械状無意識―スキゾ分析』(法政大学出版局)吉本 隆明
著者のいうところに従って二、三の頻出する風がわりな用語を説明する。まずこの本の題名になっている「機械状無意識」とか「無意識機械」とはどんな…
書評 - 『リゾーム…序』(朝日出版社)吉本 隆明
この本はまず本についての考え方、言葉についての考え方、それから本が成立つのに、ぜひとも必要だとされる中味についての考え方、また中味を作りだ…
書評 - 『フーコー』(河出書房新社)吉本 隆明
ジル・ドゥルーズのこのフーコー論は刺激的だ。その意味は読んでいると、じぶんもまたフーコーをじぶんなりに論じてみたいとか、この本で作図された…
書評 - 『し・つ・こ・く ふざけんな!』(図書新聞)吉本 隆明
ジャズ風のこころのリズムこの本の特徴をひと口でいうとなれば、何といっても瞬時にやってくる憤慨の表情をかくさずぶちまけていることだ。それが肉…
書評 - 『意味の論理学』(法政大学出版局)吉本 隆明
この本でドゥルーズは、ルイス・キャロルの童話作品『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』を引きあいにだしている。ドゥルーズの「意味」とい…
書評 - 『宗教の理論』(人文書院)吉本 隆明
バタイユの魅力は、独断的な概念を起源にしながら、道のない道をたどたどしく、根底的に歩み、歩むように考えぬき、踏みつけた足のあとを新しい道に…
書評 - 『モードの迷宮』(中央公論社)吉本 隆明
『マリ・クレール』に連載中から、この未知の著作家のファッション論は、感心しながら読んでいた。どこに感心したかといえば、まず姿勢だ。ファッシ…
書評 - 『仮往生伝試文(新装版)』(河出書房新社)吉本 隆明
この本を何と呼ぶべきだろうか? 著者のつけた本の名前に忠実にいえば『往生極楽記』『法華経験記』『続本朝往生伝』『拾遺往生伝』『今昔物語』のた…
書評 - 『家族解散』(新潮社)吉本 隆明
『家族解散』を読んだこの作品は糸井重里の文学作品としては、村上春樹との共作『夢であいましょう』についで第二作ということになりそうだ。でも、…
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