作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『よい病院とはなにか―病むことと老いること』(講談社)森 まゆみ
万古不易の問いたまさか図書館で関川夏央の本を棚から抜くと、そのまましゃがんで最後まで読むことがある。それだけ引きつける力がある。明治文学の…
書評 - 『寄り添って老後』(中央公論新社)森 まゆみ
夫婦の年季何度かお茶を淹(い)れるくだりがある。ふと、今年おいしいお茶を飲んだだろうか、と思った。香典返しに頂いたお茶かなんかを、ぞんざい…
書評 - 『わたしの仕事 全1冊―260人が語る222の仕事』(理論社)森 まゆみ
聞き書き・一九五の仕事二二九人に聞いた一九五の仕事についてのインタビュー集、今井美沙子『わたしの仕事全一冊』(理論社)(ALL REVIEWS編集部…
書評 - 『無限抱擁』(青林堂書店)森 まゆみ
日常に潜むチェルノブイリカメラマンと同行取材するとき、私のペンという道具はまだまだカメラに比べ暴力的ではないなとホッとしたり、その分、対象…
書評 - 『番茶菓子』(講談社)森 まゆみ
知恵あるおばさんの眼二月は梅の匂う月、三月はものの芽の萌(きざ)す月、と幸田文は書いている。でもまだ寒い。こたつの中で、みかんの筋をとりな…
書評 - 『月島物語』(集英社)森 まゆみ
月島の幸せ江戸や東京の名を冠した本が次々と出るが、ブームを当て込んだ孫引きやつまみぐい本もいぜん多い。もっと小さな町の範囲でよいから、その…
書評 - 『クッキングパパ』(講談社)森 まゆみ
パパの料理働く母親同士、顔を合わすと、「どう、お宅のダンナ、家事やってる?」が挨拶がわり。「カレーくらい作るけど、洗濯はちっとも」「運動会…
書評 - 『決定版 鬼平犯科帳』(文藝春秋)森 まゆみ
まわし読み私の母は昭和四年生れの浅草育ちで大の池波正太郎ファンである。池波さんの方は大正十二年の浅草聖天町生れ、株屋につとめたり、横須賀の…
書評 - 『回帰する月々の記―続・縄文杉の木蔭にて』(新宿書房)森 まゆみ
十五夜に浜で……まず鈴木一誌の装幀に見とれた。表には老樹の木肌、裏には冬の月。しんとした群青色。目次にはムカシウサギ、島いとこ、びろう葉帽子…
書評 - 『男流歌人列伝』(岩波書店)森 まゆみ
思ひしはみな我のことなり大岡信『一九〇〇年前夜後朝譚』(岩波書店)は従来の権威主義的な文学史の、いわば関節はずしともいうべき楽しい本です。…
書評 - 『ある明治人の記録 改版 - 会津人柴五郎の遺書』(中央公論新社)森 まゆみ
会津を共に旅した本旅に出たらボーッとしたい。列車の窓から景色を眺めていたい。だけれど家では読めない本もある。ゴールデンウィーク、『ある明治…
書評 - 『朝日美術館 幕末・明治初期の絵画』(朝日新聞社)森 まゆみ
絵師たちのいた町ジャーナリスト宮武外骨は東京暮らしの方が長かった人だが、大阪時代の「滑稽新聞」では大阪の浮世絵師の墓を探訪して記事を書いた…
解説 - 『ベストセラーの方程式』(筑摩書房)森 まゆみ
本を売る側の意見書評もふくめて送り手分析は多いけれど、読者論のような受け手分析は少ない。井狩春男『ベストセラーの方程式』(ブロンズ新社)は…
書評 - 『明治期のポルノグラフィ』(新潮社)森 まゆみ
裸の女たちが語る時代「フォト・ミュゼ」(新潮社)というシリーズが好きだ。写真集というと重厚長大、これでもかの大きさと紙の質で扱いにくくて弱…
書評 - 『法師蝉』(新潮社)森 まゆみ
脱皮の季節長女が高校、長男が中学、次男が小学四年生になったので、中仕切りにみなで上州の山ふところの温泉に出かけた。間のびするためだけの旅だ…
解説 - 『幸田文全集〈第1巻〉父・こんなこと』(岩波書店)森 まゆみ
邦さんと文さん格子柄の全集で親しんだ幸田文の文業に、今度は紺の凛とした装幀で出会う。扉の枠の紫も素敵だし、口絵の写真にも見とれる。おおむね…
書評 - 『マリアの気紛れ書き 森茉莉全集 第5巻』(筑摩書房)森 まゆみ
ナラノシカノカズハ――父の娘、茉莉高校のころ、森茉莉の『枯葉の寝床』や『恋人たちの森』に入れ込んだ時期がある。正直にいうと友人の影響だ。貴族…
解説 - 『監獄裏の詩人たち』(新潮社)森 まゆみ
監獄の見てきたもの二年ほどまえ、前橋に行った(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1997年)。詩人伊藤信吉氏の展覧会と講演会が喚乎(かんこ)…
書評 - 『謎の田舎政治―これからは田舎暮らしがおもしろい!〈パート4〉』(ハート出版)森 まゆみ
「田舎民主主義」はもういらないふるさとは病気になって帰るとこ。終身雇用と高度成長の神話の失われたいま、Uターン、Jターン、Iターンがマスコミ…
書評 - 『法隆寺への精神史』(弘文堂)森 まゆみ
建築史の神話いやいや滅法おもしろい、井上章一『法隆寺への精神史』(弘文堂)は。法隆寺のエンタシスという円柱にみられるふくらみはギリシア神殿…
書評