作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『滝田ゆう漫画館 第5巻 ネコ右衛門太平記』(筑摩書房)森 まゆみ
余りものの小唄ときは五月、解説の締切も迫るというに、根津権現のつつじがもうもう気にかかるというやつだ。天気も良いし、Gパンに下駄をつっかけ…
解説 - 『事実婚を考える―もう一つの選択』(日本評論社)森 まゆみ
「婚」のかたち「男女共生社会」や「多様な生き方を認めあう」のが行政のスローガンなのに、私の働く町場のおじさま方は相変わらず「行かず後家」だ…
書評 - 『台所半球より』(講談社)森 まゆみ
主婦の日常とブンガクの関係世によく「主婦作家」とか「台所で料理をしながら立って書く」といった紹介が横行するが、家庭をもった女がモノを書く、…
書評 - 『ガリ版文化を歩く―謄写版の百年』(新宿書房)森 まゆみ
豊かなガリ版の世界小学生のころ、学級通信係でガリ版新聞を作っていた。家にヤスリ板と鉄筆と、ニスで黄色く塗った手動の刷り機を置き、休みの日も…
書評 - 『性の法律学』(有斐閣)森 まゆみ
性と法の貧しさ〈法律〉はきっと正しいものの味方をしてくれると考えるのは甘いようだ。たとえば男性弁護士は「女性は論理的でないので話を聞くのが…
書評 - 『手縫いの旅』(新潮社)森 まゆみ
おもわず縫物がしたくなる縫う、という手仕事はひとりっきりの仕事。ときに誰かに話しかけたくなって座を立ち、旅に出てしまい、その地で縫い仕事を…
書評 - 『ふつうがえらい』(新潮社)森 まゆみ
ジーパンで闊歩する気分いってみれば雑文集。だけど貫徹するものがある。『ふつうがえらい』(佐野洋子、マガジンハウス)。洗いざらしのジーパンで…
書評 - 『日本人の老後 60歳から100歳まで100人が語る』(晶文社)森 まゆみ
老人たちの生活と意見今朝からラジオ体操を始めた。座って原稿ばかり書いているので、膝が痛くなる。腰も重い。少しは体を動かさなければ。神社の境…
書評 - 『わたしの東京物語』(丸善)森 まゆみ
はずれた場所にいる誇り東京はだんだん西にのびてゆく。昔は隅田川も東京の真ん中を流れていたのに、東がさびれ、西が栄えて、大川と愛称された隅田…
書評 - 『月の塵』(講談社)森 まゆみ
五官の教え幸田文の文業は断簡零墨にいたるまで、私にはしんとさせられ、はっとさせられ、ゆっくり物を考えさせられる「教えの箱」である。生活があ…
解説 - 『清貧の思想』(文藝春秋)森 まゆみ
「清貧」の連想旅にふさわしいと考えて、この本を持って出た。題名は少々クサい。『清貧の思想』(中野孝次、草思社)、いかにもいま受けそうだ(AL…
書評 - 『森の王様』(河出書房新社)森 まゆみ
高橋和巳は生きているかこの稿を書くにあたり、蔵書というにはあまりに乏しいわが本棚を漁り、高橋和巳の本を集めてみた。狭い借家を移るたびに段ボ…
解説 - 『古典の愛とエロス』(朝日新聞)森 まゆみ
女の夜更かし夏休みは子どもがまとわりつく。日中弁当作りと水着の洗濯に追われ、読書は暑苦しき夜の寝覚めとなる。六畳間に飛び散る子らを眺めつつ…
書評 - 『世界地図から消えた国―東ドイツへのレクイエム』(新評論)森 まゆみ
挫折を直視する勇気ここ何年かの間にソ連・東欧の社会主義国家がつぎつぎと崩壊した。さりとて、「人を押しのける自由」の横行する資本主義に未来を…
書評 - 『アメノウズメ伝―神話からのびてくる道』(平凡社)森 まゆみ
風穴をあける力七月、晴れて婚を解かれたものの、体の中を風が吹くようなこの気分は、さっぱりしたのか、淋しいのかわからない私であったけれど、や…
書評 - 『人間・野上弥生子―『野上弥生子日記』から』(思想の科学社)森 まゆみ
九十の女でも恋は忘れない九十九歳まで生きた野上弥生子は、日本の女性作家の中でとびきり知的な存在とされている。侵略戦争に協力せず沈黙を守り、…
書評 - 『生命の鎖』(飛鳥新社)森 まゆみ
からだによい食事何をどう食べるか。所帯を持って十数年、毎日考えてきたこと。が本書を読むと、私の苦労も、たかだか家族の好みと予算と料理技術の…
書評 - 『母という経験―自立から受容へ 少女文学を再読して』(学陽書房)森 まゆみ
少女からの旅立ち幼いころに両親の離婚を体験した著者は、これまで壊れた愛をとりつくろう近代家族の欺瞞(ぎまん)を突き、女性の自立を論じてきた…
書評 - 『生きものの風景―あるナチュラリストの自然誌』(東京創元社)森 まゆみ
緑陰に憩う読書が時と場所を選ぶものなら、この本は旅に持って出て湖畔の緑陰で読みたい。全国で百人ほどしかいないレンジャー(国立公園管理官)。…
書評 - 『歩くひとりもの』(筑摩書房)森 まゆみ
ふむふむ、やっておるな過渡期なのである。東京では四、五十代の男性の一〇%近くが独身なのに、もはや「男やもめ」とはいわなくなった(ALL REVIEW…
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