
作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『平塚らいてう-孫が語る素顔』(平凡社)森 まゆみ
今年は『青鞜』創刊100年。明治44年9月、本郷区駒込千駄木町に日本で初めての「女性による女性のための雑誌」が創刊された。主宰者は平塚らいてう。…
書評 - 『みすず書房旧社屋』(幻戯書房)森 まゆみ
いつこんな写真が撮られたのだろう。みすず書房は戦後、文京区本郷に小尾俊人によって創立された小さな出版社だ。社名は創立者が「みすずかる信濃」…
書評 - 『B面昭和史 1926-1945』(平凡社)森 まゆみ
待ちに待った本。かのベストセラー「昭和史」は複雑怪奇な昭和の政治史に顔を持った個人を登場させ、わかりやすく歴史を語った。これをA面とすればB…
書評 - 『明治文壇の人々』(ウェッジ)森 まゆみ
リアルタイムのまなざし馬場孤蝶の墓は兄馬場辰猪と並んで谷中墓地乙十号左五側にある。寛永寺の霊園を背にオベリスクの形の大きな墓が二基、並んで…
解説 - 『フランス家族事情―男と女と子どもの風景』(岩波書店)森 まゆみ
一人でいたい気分若い浅野素女さんのこのフランス便りを、私は岩波の雑誌「よむ」連載当時から、いちいち思いあたる感じで愛読していた(ALL REVIEWS…
書評 - 『川柳のエロティシズム』(新潮社)森 まゆみ
性で見せる粋や通好み町の大掃除の日に『誹風末摘花』という古本を拾ったのだが、ちっとも句の意味がわからん。「ばれ句ってなあに」と人に聞くわけ…
書評 - 『赤ちゃんができたらこんな本が読みたい』(草思社)森 まゆみ
右手に子ども、左手に本一九八一年に最初の赤ん坊が生まれて、一九八四年に地域雑誌「谷根千」を始めるまでの三年ばかり、一番本を読んだ気がする。…
書評 - 『虫のゐどころ』(新潮社)森 まゆみ
上品なわがままかの建築探偵藤森照信氏をして千駄木の中央情報局と舌を巻かせた「谷根千」工房昨今の調査によれば、千駄木に住いせる仏語教師オクモ…
解説 - 『魔群の通過―天狗党叙事詩』(文藝春秋)森 まゆみ
ただただ怖ろしい小説山田風太郎の面白さは読んでみればわかる。で終わりにしたい。書き出せば長い。私は戦後九年目の生れで墨ぬり少国民の世代には…
書評 - 『石上露子集』(中央公論社)森 まゆみ
忘れかねる人への想い「いま、本屋で買ってきたばかりだけど、これはいいよ」大阪から来た友人が待ち合わせの改札口で立ち読みしていた。『石上露子…
書評 - 『高村光太郎全集〈第21巻〉 補遺』(筑摩書房)森 まゆみ
谷中の家昨日は日暮里の諏方(すわ)神社の大祭であった。今年は本祭りで、往来では町会の盆踊りをやっているし、坂に沿ってはずらりと提灯がゆらめ…
解説 - 『明治バンカラ快人伝』(筑摩書房)森 まゆみ
バンカラとはつづめていえばバカなのか?いやはや、滅茶苦茶おもしろい。なんて書いたって何になろうか。横田順彌『明治バンカラ快人伝』(ちくま文…
解説 - 『評伝 長谷川時雨』(講談社)森 まゆみ
下町女の気っぷ「女が女の肩を持たないでどうしますか」その言葉をけれんでなく言い切り、かけ値なしに実践してみせた女がいる。長谷川時雨(しぐれ…
書評 - 『セカンド・シフト 第二の勤務―アメリカ 共働き革命のいま』(朝日新聞社)森 まゆみ
夫と妻の出納簿男と女の関係がむずかしい。アメリカでは一九八六年に乳幼児を持つ母親の五四パーセントが働き、日本でも働く主婦が専業主婦の数を上…
書評 - 『小石川の家』(講談社)森 まゆみ
匂い立つ祖父の情景青木玉は幸田文の娘である。すなわち露伴の孫である。露伴は愛妻を失くし、二人の子を失い、後妻と離別した。文は娘一人を連れて…
書評 - 『滝田ゆう漫画館 第5巻 ネコ右衛門太平記』(筑摩書房)森 まゆみ
余りものの小唄ときは五月、解説の締切も迫るというに、根津権現のつつじがもうもう気にかかるというやつだ。天気も良いし、Gパンに下駄をつっかけ…
解説 - 『事実婚を考える―もう一つの選択』(日本評論社)森 まゆみ
「婚」のかたち「男女共生社会」や「多様な生き方を認めあう」のが行政のスローガンなのに、私の働く町場のおじさま方は相変わらず「行かず後家」だ…
書評 - 『台所半球より』(講談社)森 まゆみ
主婦の日常とブンガクの関係世によく「主婦作家」とか「台所で料理をしながら立って書く」といった紹介が横行するが、家庭をもった女がモノを書く、…
書評 - 『ガリ版文化を歩く―謄写版の百年』(新宿書房)森 まゆみ
豊かなガリ版の世界小学生のころ、学級通信係でガリ版新聞を作っていた。家にヤスリ板と鉄筆と、ニスで黄色く塗った手動の刷り機を置き、休みの日も…
書評 - 『性の法律学』(有斐閣)森 まゆみ
性と法の貧しさ〈法律〉はきっと正しいものの味方をしてくれると考えるのは甘いようだ。たとえば男性弁護士は「女性は論理的でないので話を聞くのが…
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