作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『ベストセラーの方程式』(筑摩書房)森 まゆみ
本を売る側の意見書評もふくめて送り手分析は多いけれど、読者論のような受け手分析は少ない。井狩春男『ベストセラーの方程式』(ブロンズ新社)は…
書評 - 『明治期のポルノグラフィ』(新潮社)森 まゆみ
裸の女たちが語る時代「フォト・ミュゼ」(新潮社)というシリーズが好きだ。写真集というと重厚長大、これでもかの大きさと紙の質で扱いにくくて弱…
書評 - 『法師蝉』(新潮社)森 まゆみ
脱皮の季節長女が高校、長男が中学、次男が小学四年生になったので、中仕切りにみなで上州の山ふところの温泉に出かけた。間のびするためだけの旅だ…
解説 - 『幸田文全集〈第1巻〉父・こんなこと』(岩波書店)森 まゆみ
邦さんと文さん格子柄の全集で親しんだ幸田文の文業に、今度は紺の凛とした装幀で出会う。扉の枠の紫も素敵だし、口絵の写真にも見とれる。おおむね…
書評 - 『マリアの気紛れ書き 森茉莉全集 第5巻』(筑摩書房)森 まゆみ
ナラノシカノカズハ――父の娘、茉莉高校のころ、森茉莉の『枯葉の寝床』や『恋人たちの森』に入れ込んだ時期がある。正直にいうと友人の影響だ。貴族…
解説 - 『監獄裏の詩人たち』(新潮社)森 まゆみ
監獄の見てきたもの二年ほどまえ、前橋に行った(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1997年)。詩人伊藤信吉氏の展覧会と講演会が喚乎(かんこ)…
書評 - 『謎の田舎政治―これからは田舎暮らしがおもしろい!〈パート4〉』(ハート出版)森 まゆみ
「田舎民主主義」はもういらないふるさとは病気になって帰るとこ。終身雇用と高度成長の神話の失われたいま、Uターン、Jターン、Iターンがマスコミ…
書評 - 『法隆寺への精神史』(弘文堂)森 まゆみ
建築史の神話いやいや滅法おもしろい、井上章一『法隆寺への精神史』(弘文堂)は。法隆寺のエンタシスという円柱にみられるふくらみはギリシア神殿…
書評 - 『父 逍遙の背中』(中央公論社)森 まゆみ
坪内逍遥の素顔実父は森鷗外「百物語」のモデルとなり、家産を写真道楽に傾けた鹿島清兵衛。実母が名妓ぽん太。それだけでも興味深いのに、『父逍遥…
書評 - 『明治百話』(岩波書店)森 まゆみ
聞き書きの神様十二年ほど、古老の聞き書きをやっている。いまでは八十、九十歳でも若々しく、“老”をつけて呼ばれるのを嫌がる人も多いが、老人とい…
解説 - 『女性にとっての職業――エッセイ集 【新装版】』(みすず書房)森 まゆみ
ものを書く女たちの肖像年収五百ポンドと鍵のかけられる自分の部屋――女性が作家になるのにそれは最低限必要だとヴァージニア・ウルフはいった。『ダ…
書評 - 『ロミー・シュナイダー事件』(集英社)森 まゆみ
ある女優の死ロミー・シュナイダーは魅惑的だった。「夕なぎ」「離愁」「ルートヴィヒ」……凛として気品高く、虚飾のない自由な女。四十二歳の突然の…
書評 - 『新解さんの謎』(文藝春秋)森 まゆみ
つまった困った新明解やられた、という感じである。三省堂の新明解国語辞典がオモシロイ、といいだしたのは仕事の相棒のヤマサキノリコで、たとえば…
書評 - 『落語の言語学』(講談社)森 まゆみ
マクラからオチへ「お暑いところを一杯のおはこびでございまして、ありがたく御礼をもうしあげます。あいかわらず、ばかばかしいことをもうしあげて…
書評 - 『新装版 されどわれらが日々』(文藝春秋)森 まゆみ
私の知らない、あの季節私は一九七〇年を高校生で迎えた。都立では高校全共闘が盛んにやっていて、私の小学校時代の男友だちもある事件で捕まり、ム…
書評 - 『東京風人日記』(廣済堂出版)森 まゆみ
シンプルなのがいいねえ、どんな暮し、したい?本当は、食べるだけのところギリギリを稼いで、あとは好きにボーッとしてたいのだけど。子ども三人い…
書評 - 『セックス、アート、アメリカンカルチャー』(河出書房新社)森 まゆみ
“反フェミニスト”の過激なものいい著者の名より訳者の名で読むということがある。野中邦子さんなら訳もいいし、原本も面白い、と『ジャズ・クレオパ…
書評 - 『旧聞日本橋』(岩波書店)森 まゆみ
明治幻燈記田山花袋『東京の三十年』、馬場孤蝶『明治の東京』、内田魯庵『思ひ出す人々』、そしてこの長谷川時雨『旧聞日本橋』(岩波文庫)は“文…
書評 - 『鴎外随筆集』(岩波書店)森 まゆみ
ロシア料理の店久しぶりに友人とNHKの仕事で一緒になった。せっかくだから本郷辺で一杯やろうと送りのタクシーに乗ったが、これが渋滞。車内で話す…
書評 - 『活字礼讃』(活字文化社)森 まゆみ
活字は熱い美しく凝った本である。本文は精興社の十ポイント明朝だ。序文は岩田母型十ニポイント明朝、本扉の共著者名は日本活字工業二号宋朝。使用…
書評