作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『明治百話』(岩波書店)森 まゆみ
聞き書きの神様十二年ほど、古老の聞き書きをやっている。いまでは八十、九十歳でも若々しく、“老”をつけて呼ばれるのを嫌がる人も多いが、老人とい…
解説 - 『女性にとっての職業――エッセイ集 【新装版】』(みすず書房)森 まゆみ
ものを書く女たちの肖像年収五百ポンドと鍵のかけられる自分の部屋――女性が作家になるのにそれは最低限必要だとヴァージニア・ウルフはいった。『ダ…
書評 - 『ロミー・シュナイダー事件』(集英社)森 まゆみ
ある女優の死ロミー・シュナイダーは魅惑的だった。「夕なぎ」「離愁」「ルートヴィヒ」……凛として気品高く、虚飾のない自由な女。四十二歳の突然の…
書評 - 『新解さんの謎』(文藝春秋)森 まゆみ
つまった困った新明解やられた、という感じである。三省堂の新明解国語辞典がオモシロイ、といいだしたのは仕事の相棒のヤマサキノリコで、たとえば…
書評 - 『落語の言語学』(講談社)森 まゆみ
マクラからオチへ「お暑いところを一杯のおはこびでございまして、ありがたく御礼をもうしあげます。あいかわらず、ばかばかしいことをもうしあげて…
書評 - 『新装版 されどわれらが日々』(文藝春秋)森 まゆみ
私の知らない、あの季節私は一九七〇年を高校生で迎えた。都立では高校全共闘が盛んにやっていて、私の小学校時代の男友だちもある事件で捕まり、ム…
書評 - 『東京風人日記』(廣済堂出版)森 まゆみ
シンプルなのがいいねえ、どんな暮し、したい?本当は、食べるだけのところギリギリを稼いで、あとは好きにボーッとしてたいのだけど。子ども三人い…
書評 - 『セックス、アート、アメリカンカルチャー』(河出書房新社)森 まゆみ
“反フェミニスト”の過激なものいい著者の名より訳者の名で読むということがある。野中邦子さんなら訳もいいし、原本も面白い、と『ジャズ・クレオパ…
書評 - 『旧聞日本橋』(岩波書店)森 まゆみ
明治幻燈記田山花袋『東京の三十年』、馬場孤蝶『明治の東京』、内田魯庵『思ひ出す人々』、そしてこの長谷川時雨『旧聞日本橋』(岩波文庫)は“文…
書評 - 『鴎外随筆集』(岩波書店)森 まゆみ
ロシア料理の店久しぶりに友人とNHKの仕事で一緒になった。せっかくだから本郷辺で一杯やろうと送りのタクシーに乗ったが、これが渋滞。車内で話す…
書評 - 『活字礼讃』(活字文化社)森 まゆみ
活字は熱い美しく凝った本である。本文は精興社の十ポイント明朝だ。序文は岩田母型十ニポイント明朝、本扉の共著者名は日本活字工業二号宋朝。使用…
書評 - 『白洲正子自伝』(新潮社)森 まゆみ
胸のすく自伝コロン、と首が棺の中に落ちる。そこから始まる『白洲正子自伝』(新潮社)。このような自伝はまたとあるまい。見廻り組に殺される仲間…
書評 - 『おはん』(新潮社)森 まゆみ
しっとりとして、あでやかで宇野千代の『おはん』を高校生で読んだとき、こんな美しい、こんな一字のゆるぎもない小説があるものか、と感じ入った。…
書評 - 『花野』(講談社)森 まゆみ
卵が尽きるとき「ねえ、あなた人間の卵みたことある?」「人間の卵?」「排卵のときのタマゴよ」「そんなもの、あるはずないでしょう」「わたしはあ…
書評 - 『東京の肖像』(朝日新聞社)森 まゆみ
「絶え間なく変化し、無計画のまま拡大していく都市東京の魅力を解剖――カオスの都市へ」という帯の文言で「またか」と読み始め、いい意味で裏切られ…
書評 - 『村からのホンネ―きょうからあしたの農を考える』(ダイヤモンド社)森 まゆみ
ミカン山の葬式山下惣一は自分のことを佐賀唐津の〈一介のさえない百姓〉だという。しかし高村光太郎ではないが、内にコスモスを持つ人の言は一地方…
書評 - 『海からの贈物』(新潮社)森 まゆみ
煩雑な日常の見直しに仕事が一段落すると何日かだらだら本を読んですごす。『海からの贈物』(新潮文庫)は薄い文庫本だが、いまの自分の生活を点検…
書評 - 『主婦マリーがしたこと』(世界文化社)森 まゆみ
たった五十年前のこと本ばかり読んでいたら目がちかちかしてきた。きのうは深夜、『ミッドナイト・コール』(上野千鶴子著・朝日文芸文庫)を読んで…
書評 - 『沈黙のたたかい―フランス・レジスタンスの記録』(新評論)森 まゆみ
あゝ、高校三年生の教科書教科書は大事だ。小学校一年のときの「だんだん畑をみよちゃんと」という話、三年だったか鈴木三重吉の「少年駅夫」、たぶ…
書評 - 『トリエステの坂道』(新潮社)森 まゆみ
遠い日の思い出年に数本の映画さえ見る暇がない。だけど、待望の須賀敦子さんの本はいつも極上の映画を観たような気がする。『ミラノ 霧の風景』『…
書評