1954年東京生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科に学ぶ。2020年7月現在、名古屋外国語大副学長。2002年、『徹夜の塊 亡命文学論』(作品社)でサントリー学芸賞、2004年、『ユートピア文学論』(作品社)で読売文学賞評論・伝記賞を受賞。著書に『屋根の上のバイリンガル』(白水社)、『ユートピアへの手…もっと読む
- 『日ソ戦争 1945年8月――棄てられた兵士と居留民』(みすず書房)沼野 充義
徹底解明 「終戦」ではなかった8・15第二次世界大戦はどのように終結したのだろうか? 一九四五年五月、ドイツが無条件降伏し、七月末には連合国首…
書評 - 『丁庄の夢』(河出書房新社)沼野 充義
凄惨な実話を伝える覚悟現実とは思えないすさまじい出来事を描いた小説なのだが、じつは実話に基づいているという。しかし、悲惨きわまりない題材を…
書評 - 『The Lyrics 1961-1973』(岩波書店)沼野 充義
[isbn:4000614002]ディランと背景に密着した究極の訳二〇一六年十月、ノーベル文学賞受賞者が発表されたとき、ある新聞社の会議室でその時を待って…
書評 - 『けものたちは故郷をめざす』(岩波書店)沼野 充義
人間が存在することの不透明さ安部公房が亡くなってから、もう二七年が経つ。生前は現代日本を代表する作家として活躍し、ノーベル文学賞の有力候補…
書評 - 『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社)沼野 充義
148の生の声、腐敗社会克明に伝えるカザフスタンはかつてソ連を構成する一共和国だったが、ソ連解体後独立し、豊富な天然資源に支えられて経済成長…
書評 - 『プラヴィエクとそのほかの時代』(松籟社)沼野 充義
断片積み重ね「宇宙」描く今年ノーベル文学賞を受賞した(実際には発表が延期された昨年の分の受賞だが)、ポーランドの作家、オルガ・トカルチュク…
書評 - 『ソビエト・ミルク: ラトヴィア母娘の記憶』(新評論)沼野 充義
隷属と自由の間で揺れる若い魂の記録現代ラトヴィアの女性作家による話題作である。人口二百万足らずのバルト地方の小国で五万部売れるベストセラー…
書評 - 『昼の家、夜の家』(白水社)沼野 充義
今、世界で最も注目を浴びている作家といえば、先ごろノーベル文学賞を受賞したポーランドの女性作家、オルガ・トカルチュクでしょう。2010年発売、…
書評 - 『新人文感覚1 風神の袋』(羽鳥書店)沼野 充義
巨大な知と視覚的快楽の迷宮を渉猟する第一巻がほぼ九百ページ、第二巻が千ページもある途方もない規模の本だ。気軽に寝っ転がって読んだり、散歩に…
書評 - 『ブック・カーニヴァル』(自由國民社)沼野 充義
書物と書物の意外な結びつきで"壮大な宇宙"あまりに厚い本なので、思わず物差しを取り出し、測ってみた。厚さがほぼ6センチもある。ペー…
書評 - 『源氏物語 A・ウェイリー版1』(左右社)沼野 充義
古くて新しい現代の世界文学『源氏物語』には、与謝野晶子を初めとして、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴などによる数多くの近・現代日本語訳があ…
書評 - 『井上陽水英訳詞集』(講談社)沼野 充義
翻訳で歌詞の深層解き明かすアメリカ出身の日本文学者として高名なロバート・キャンベルと井上陽水。この組み合わせは何やら唐突で思いがけないもの…
書評 - 『シュテットル――ポーランド・ユダヤ人の世界』(みすず書房)沼野 充義
「絶滅」前の人々の日常を活写「シュテットル」とは、東欧のユダヤ人たちがコミュニティを作って住んだ「小さな町」のことである。日本でもよく知ら…
書評 - 『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29』(新潮社)沼野 充義
「福袋」のような予期せぬ発見アメリカの日本文学者、ジェイ・ルービンが編纂(へんさん)した近現代日本小説選集である。もともと英語圏読者のため…
書評 - 『三省堂現代新国語辞典 第六版』(三省堂)沼野 充義
文学的見識の高さ示すインターネットがこれほど発達した現在、紙の辞書はもう使わないという人も多いだろう。しかし、最近改訂されて第六版が出た『…
書評 - 『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房)沼野 充義
すべては想像から始まる現代アラブ文学を専門とする著者による、パレスチナ問題をめぐるエッセー集である。封鎖が長く続き悲惨な状況に陥っている現…
書評 - 『ある男』(文藝春秋)沼野 充義
理知と繊細な情感の融合平野啓一郎の新作長編『ある男』は、意表をつくようなシンプルなタイトルとは裏腹に、様々な要素を複雑に絡み合わせ、小説家…
書評 - 『プレヴェール詩集』(岩波書店)沼野 充義
「親しいともだち」のように待っている言葉特に好きな詩人が三人いる。日本の谷川俊太郎、ポーランドのヴィスワヴァ・シンボルスカ、そしてフランス…
書評 - 『モラルの話』(人文書院)沼野 充義
文学に何ができるか南アフリカ出身のノーベル文学賞作家、クッツェーの最新短編集である。比較的短い七編から構成されるコンパクトな作りの本。しか…
書評 - 『アーダ〔新訳版〕』(早川書房)沼野 充義
「言葉の魔術師」のすべてウラジーミル・ナボコフの晩年の大作『アーダ』の新訳である。原著は一九六九年刊、日本語には一九七七年に一度訳されてい…
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