1954年東京生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科に学ぶ。2020年7月現在、名古屋外国語大副学長。2002年、『徹夜の塊 亡命文学論』(作品社)でサントリー学芸賞、2004年、『ユートピア文学論』(作品社)で読売文学賞評論・伝記賞を受賞。著書に『屋根の上のバイリンガル』(白水社)、『ユートピアへの手…もっと読む
- 『完全版 チェルノブイリの祈り――未来の物語』(岩波書店)沼野 充義
凄惨な愛と国家の論理一九八六年四月、ウクライナのチェルノブイリ原発で前代未聞の事故が起こった。本書はその大惨事を経験し、苦しんだ人たちへの…
書評 - 『シェフチェンコ詩集』(岩波書店)沼野 充義
ウクライナの国民詩人シェフチェンコ(一八一四―六一)の詩集である。シェフチェンコはウクライナで農奴の身分に生まれたが、その才能を認める人々の…
書評 - 『チェヴェングール』(作品社)沼野 充義
言語の可能性を酷使した最先端の実験現代ロシア小説の「大発見」と言えるものが、二つある。どちらもスターリン時代に書かれながら、生前は出版でき…
書評 - 『カティンの森のヤニナ: 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士』(河出書房新社)沼野 充義
唯一処刑された女性、足跡追う壮大な旅「カティンの森」とは、ロシアの地方都市スモレンスク近郊の森だが、第二次世界大戦中、ここで前代未聞の大虐…
書評 - 『首相が撃たれた日に』(河出書房新社)沼野 充義
「良識の限界」新文学誕生の予感ウズィ・ヴァイルは一九六四年生まれのイスラエルの作家。ポストモダン世代の人気作家という。本書は短編や、コラム…
書評 - 『サバキスタン 1』(トゥーヴァージンズ)沼野 充義
ロシア人が発信、悪夢のパロディーロシア出身の若手二人組ビタリー・テルレツキー(レニングラード生まれ)とカティア(シベリア生まれ)による、架…
書評 - 『ハルムスの世界』(白水社)沼野 充義
理知のむこうを探求する試みソ連初期のダニイル・ハルムスという奇妙な作家の作品集である。二〇一〇年に刊行された本の増補改訂版。ハルムスはもと…
書評 - 『大泉黒石: わが故郷は世界文学』(岩波書店)沼野 充義
時代に早すぎた異能の人、本邦初評伝大泉黒石(こくせき)(1893-1957)といっても、いまではどれほどの読者が知っているだろうか。本書の著者が言…
書評 - 『言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』(東京大学出版会)沼野 充義
熱湯風呂もユーミンも、日常言語の謎川添愛の本はなぜ面白いのだろうか? 第一に、多くの人が(ここで「人は皆」などと過剰な一般化をしてはいけな…
書評 - 『ぼくがアメリカ人をやめたワケ』(集英社インターナショナル)沼野 充義
日本文化への深い愛アメリカに根をおろしたユダヤ系の両親のもとに生まれ、何一つ不自由なく育ち、抜群に頭がよく健康で、女の子にもさぞ持てたに違…
書評 - 『現代の英雄』(光文社)沼野 充義
よみがえったロシアの原石最近めざましいロシア文学の「古典新訳」の機運の中で、一人言わば取り残されたようになっていた文学者がいる。レールモン…
書評 - 『カフェ・シェヘラザード』(共和国)沼野 充義
虐殺を生き延びた運命が集うメルボルン郊外に「シェヘラザード」という名前のカフェがある。そこに集うユダヤ移民の古老たちが、いかに壮絶な経験を…
書評 - 『日ソ戦争 1945年8月――棄てられた兵士と居留民』(みすず書房)沼野 充義
徹底解明 「終戦」ではなかった8・15第二次世界大戦はどのように終結したのだろうか? 一九四五年五月、ドイツが無条件降伏し、七月末には連合国首…
書評 - 『丁庄の夢』(河出書房新社)沼野 充義
凄惨な実話を伝える覚悟現実とは思えないすさまじい出来事を描いた小説なのだが、じつは実話に基づいているという。しかし、悲惨きわまりない題材を…
書評 - 『The Lyrics 1961-1973』(岩波書店)沼野 充義
[isbn:4000614002]ディランと背景に密着した究極の訳二〇一六年十月、ノーベル文学賞受賞者が発表されたとき、ある新聞社の会議室でその時を待って…
書評 - 『けものたちは故郷をめざす』(岩波書店)沼野 充義
人間が存在することの不透明さ安部公房が亡くなってから、もう二七年が経つ。生前は現代日本を代表する作家として活躍し、ノーベル文学賞の有力候補…
書評 - 『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社)沼野 充義
148の生の声、腐敗社会克明に伝えるカザフスタンはかつてソ連を構成する一共和国だったが、ソ連解体後独立し、豊富な天然資源に支えられて経済成長…
書評 - 『プラヴィエクとそのほかの時代』(松籟社)沼野 充義
断片積み重ね「宇宙」描く今年ノーベル文学賞を受賞した(実際には発表が延期された昨年の分の受賞だが)、ポーランドの作家、オルガ・トカルチュク…
書評 - 『ソビエト・ミルク: ラトヴィア母娘の記憶』(新評論)沼野 充義
隷属と自由の間で揺れる若い魂の記録現代ラトヴィアの女性作家による話題作である。人口二百万足らずのバルト地方の小国で五万部売れるベストセラー…
書評 - 『昼の家、夜の家』(白水社)沼野 充義
今、世界で最も注目を浴びている作家といえば、先ごろノーベル文学賞を受賞したポーランドの女性作家、オルガ・トカルチュクでしょう。2010年発売、…
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