1948年神奈川県生まれ。ラテンアメリカ文学。東京大学名誉教授。主な訳書にガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』、プイグ『蜘蛛女のキス』、ボルヘス『七つの夜』、共訳書にボラーニョ『2666』、サンチェス・ビダル『ブニュエル、ロルカ、ダリー果てしなき謎』、著書に『マジカル・ラテン・ミステリー・ツアー』、編…もっと読む
- 『旅の遠近』(青弓社)野谷 文昭
時を駆けてきたモノたちを旅の道づれにして海外旅行が自由化される前の六〇年代初め、欧米を回ってきた父の旅行鞄から出てきた土産の数々。中でも誇…
書評 - 『パタゴニア・エキスプレス』(国書刊行会)野谷 文昭
文明への辛辣な批評と、口誦文芸的ユーモアとラテンアメリカの〈ポスト・ブーム〉世代に属するセプルベダの作風は、リアリズム回帰、エンターテイン…
書評 - 『報われた血の愛』(Lectorum Pubns)野谷 文昭
これまでの作品でも、インテリを登場させるコルターサルやサバトとは異なり、周縁と大衆にむしろ焦点を合わせてきたマヌエル・プイグだが、新作『報…
書評 - 『争いの樹の下で〈上〉』(新潮社)野谷 文昭
樹木の夢見る時——『争いの樹の下で』を読むある作家の「全短篇集」と銘打った本や、短篇、長篇はもとより評論・エッセーの類まで収めた「全集」とい…
書評 - 『エデンの園』(集英社)野谷 文昭
三角形の軽さとマチスモヘミングウェイに対しては、確かにぼくもマチョというイメージを持っていた。初めて読んだ作品、『老人と海』におけるサンテ…
書評 - 『継母礼讃』(中央公論新社)野谷 文昭
偏執的な性愛描写が見事なウルトラ・リアリズムもう二年以上前のことになるが、スペインの新聞に「バルガス=リョサの官能小説」というコピーととも…
書評 - 『中上健次集〈8〉紀伊物語、火まつり』(インスクリプト)野谷 文昭
『火まつり』鉄道の開通によって崩壊が始まり、今は道徳的にも堕落しているばかりか、人々の悪意に満ちた閉鎖的共同体の中で、崩壊劇の終幕ともいう…
書評 - 『ラテンアメリカ主義のレトリック』(エディマン)野谷 文昭
ラテンアメリカ主義というタームを日本では加茂雄三のような歴史研究者が、確か1970年代頃に盛んに使い出したという記憶がある。加茂の場合、シモン…
書評 - 『初期散文集』(Planeta Pub Corp)野谷 文昭
オクタビオ・パスは、ボルヘス追悼の文の中で、このアルゼンチンの詩人がきちんと自己評価できていなかったと書いていたが、その言葉は当然ながらパ…
解説 - 『静かな生活』(講談社)野谷 文昭
大江健三郎ほど自らの作品について多弁に語る作家は、世界的にも珍しいのではないだろうか。ラテンアメリカにもバルガス=リョサの例があるものの、大…
書評 - 『ガブリエラ・ミストラル―風は大地を渡る』(JICC出版局)野谷 文昭
ラテンアメリカが生んだすてきな女一九一〇年代の南米に一群の女性詩人が輩出する。彼女たちはモデルニスモ(近代主義)の純粋詩に対する反動として…
書評 - 『わが悲しき娼婦たちの思い出』(新潮社)野谷 文昭
生の讃歌として語られる、恋する老人のエロチカ。ガルシア=マルケスはその自伝で、あたかも過去の快楽を味わいなおすかのように自らの性的武勇伝を…
書評 - 『ドン・キホーテ讃歌―世界文学練習帖』(東海大学出版会)野谷 文昭
読みの名手の論考を一冊に著者独特の遠近法によって甦る作家や作品室井光広は読みの名手である。同じ本を読んで引用するにしても、実にうまい例を…
書評 - 『カンガルー日和』(講談社)野谷 文昭
村上春樹の小説の魅力は、何よりもまずその語り口にある。語り手は〈僕〉であり、その背後には大抵音楽が聞えるからちょうど〈僕〉のディスク・ジョ…
書評 - 『日の名残り』(早川書房)野谷 文昭
古き良きイギリスを象徴する主人公の品格と潔さ『女たちの遠い夏』『浮世の画家』に続く、著者の長編第三作である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執…
書評 - 『日本人の恋びと』(河出書房新社)野谷 文昭
一家の歴史の謎と愛の情熱サンフランシスコ郊外の高齢者用施設から物語は始まる。ここで介護士として働くようになったモルドバ出身の若い女性イリー…
書評