1943(昭和18)年、東京生れ。中央大学法学部卒。1966年博報堂に入社。1980年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。1987年『カディスの赤い星』で直木賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。1997(平成9)年6月に博報堂を退職、作家業に専念する。他に『百舌シリーズ』『イベリア・…もっと読む
- 『警備員日記』(太田出版)逢坂 剛
観察して鮮やかに描いた人物像著者はもともと、映像畑の人である。1992年には、日本海軍最後の戦艦〈武蔵〉の記録映画「軍艦武蔵」を制作、監督して…
書評 - 『落語家 昭和の名人くらべ』(文藝春秋)逢坂 剛
個性と技量、人間臭さに肉薄これはなんとも、なつかしい本である。場違いな譬(たと)えに聞こえるかもしれないが、評者はこの本を読んで古きよき時…
書評 - 『金色の獣、彼方に向かう』(双葉社)逢坂 剛
恐怖と憧憬、異界への入り口本書の著者は、昨今では珍しいほど、作風に特徴のある作家、といってよい。日本ホラー小説大賞の受賞者、というキャリア…
書評 - 『天魔ゆく空』(講談社)逢坂 剛
戦国時代の隠れた一面を照射江戸川乱歩賞作家の手になる、戦国時代小説の第二弾である。江戸時代に比べて、この時代は信頼すべき文献史料が少なく、…
書評 - 『錯覚の科学』(文藝春秋)逢坂 剛
日常生活にあふれる思い込み著者は2人とも心理学者だが、本書は専門用語を極力避け、平易な表現を心がけているので、非常に読みやすい。人は日常生…
書評 - 『諜報の天才 杉原千畝』(新潮社)逢坂 剛
情報収集と分析に優れた才能1990年代のある時期、第2次大戦中にユダヤ人を救ったことで知られる、外交官の杉原千畝にまつわる本が、続々と刊行され…
書評 - 『ギターと出会った日本人たち ~近代日本の西洋音楽受容史~』(ヤマハミュージックメディア)逢坂 剛
草創期の隠れた業績を再構築大衆楽器といわれるわりに、ギターはピアノやバイオリンに比べて、関連文献や研究書が極端に少ない。ギタリストの伝記も…
書評 - 『ブーベ氏の埋葬 【シムノン本格小説選】』(河出書房新社)逢坂 剛
古き良きパリの風俗人情を活写これは、メグレ警視シリーズ以外の、シムノンの普通小説の一つである。とはいえ、シムノンらしく事件があり、捜査も謎…
書評 - 『漂流 本から本へ』(朝日新聞出版)逢坂 剛
膨大な読書量が広げた精神世界まれに例外もあるが、作家のほとんどは子供のころから、膨大な量の本を読んで育つのが普通、と理解していた。それでも…
書評 - 『死支度』(講談社)逢坂 剛
達観した主人公に託した性的遺書この著者には、2006年刊行の私小説『小説家』という傑作がある。純文学からスタートして、娯楽小説、官能小説に移行…
書評 - 『ガラスの煉獄―女刑務官あかね』(新潮社)逢坂 剛
知られざる女子刑務所の内実〈超大型新人、ミステリ界に降臨〉〈受刑者が密(ひそ)かに発信した暗号文〉〈県警の絡む不可解な策動〉といった帯の惹…
書評 - 『影恋』(朝日新聞出版)逢坂 剛
幽霊めぐる男女の情感を豊かに〈魔界都市〉に始まり、〈トレジャー・ハンター〉〈妖魔〉など驚くべき数のシリーズを誇る菊地秀行は、一般に性と暴力…
書評 - 『紅梅』(文藝春秋)逢坂 剛
闘病記を超えて、内省的告白の書東日本大震災にからんで、吉村昭氏の旧作『三陸海岸大津波』が再び注目されているという。それはそれでけっこうなこ…
書評 - 『密売人』(角川春樹事務所)逢坂 剛
四つの事件がつなぐ警察の暗部このタイトルから、読者は拳銃や覚醒剤の密売を、想起するだろう。しかし、話はそれほど単純ではない。そこに思わぬ仕…
書評 - 『スターリンの対日情報工作 クリヴィツキー・ゾルゲ・「エコノミスト」』(平凡社)逢坂 剛
日本人スパイの正体にも迫る実績豊かな現代史学者の手になる本書は、中身の濃い労作である。第2次大戦中のソ連の日本に対する情報活動の全貌(ぜん…
書評 - 『再会』(講談社)逢坂 剛
殺人めぐり疑心暗鬼になる4人今年度の、江戸川乱歩賞受賞作(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2010年)。女性美容師を脅し、金と体を要求した…
書評 - 『復讐法廷』(文藝春秋)逢坂 剛
これは近ごろ出色の法廷小説である。今まで文春文庫に収められた海外エンタテインメントの中でも、ベスト3にはいる作品であることは間違いない。この…
書評 - 『カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺』(みすず書房)逢坂 剛
ソ連の隠蔽工作、破綻の経緯分析第2次大戦のさなか、1943年4月にドイツのラジオ放送は、占領地のスモレンスクに近いカチンの森で、2万5千人にものぼ…
書評 - 『トッカン―特別国税徴収官―』(早川書房)逢坂 剛
税の徴収、あの手この手で奮闘本書の主人公は、映画「マルサの女」に描かれた国税庁査察部の査察官ではない。東京の京橋税務署の〈トッカン〉こと特…
書評 - 『裁かれるのは我なり―袴田事件主任裁判官三十九年目の真実』(双葉社)逢坂 剛
心ならずも書いた死刑判決文時代は変わっても、冤罪事件は後を絶たない。本書に取り上げられた袴田事件も、その疑いが濃厚な事件の一つである。 196…
書評