1953年、中国上海生まれ。明治大学国際日本学部教授。上海の華東師範大学を卒業、同大学助手を経て、日本留学。東京大学大学院総合文化研究科比較文化博士課程修了。國學院大学助教授、明治大学法学部教授、ハーバード大学客員研究員などを経て現職。著書は『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫/第45回読売文学賞)、『…もっと読む
- 『ももんがあ対見越入道――江戸の化物たち』(講談社)張 競
化け物という視覚装置を通して、江戸文化を眺望する。「妖怪博士」という愛称を持つ著者はもともと幻想文学の研究者。十二年前から江戸の化け物に興…
書評 - 『楊貴妃になりたかった男たち <衣服の妖怪>の文化誌』(講談社)張 競
何とも軽妙な書名だが、端的に言えば中国女装史とでもいうべき内容であろう。孔子や孟子のことばを頭に思い浮かべながら読むと、愉快でたまらない。…
書評 - 『中国現代アート』(講談社)張 競
去る三月二十一日、ニューヨークで開催されたサザビーのオークションで、中国の画家張暁剛(ジャンシャオガン)の「血縁シリーズ・三人の同志」が最…
書評 - 『バン・マリーへの手紙』(岩波書店)張 競
てっきり西洋人女性の名前かと思った。バン・マリーはフランス語で、日本語に直すと湯煎という。調理法であると同時に、宴会などで料理を保温する器…
書評 - 『村上春樹のなかの中国』(朝日新聞社)張 競
明治時代以来、村上春樹ほど海外で広く読まれた作家はない。中国では正式に刊行された作品だけでも三百五十万部を超えたという。膨大な数の海賊版や…
書評 - 『ナガサキ昭和20年夏―GHQが封印した幻の潜入ルポ』(毎日新聞社)張 競
一九四五年九月六日午後、一人のアメリカ人ジャーナリストが廃墟となった長崎の駅に降り立った。原爆が落とされてから、ちょうど四週間経ったときで…
書評 - 『絵解き 菜根譚―一〇八の処世訓』(雄山閣)張 競
現代語訳や注釈本を含めて、『菜根譚』ほど出版回数の多い書物はそう多くないであろう。国会図書館の目録を調べると、ヒット数は百以上にものぼる。…
書評 - 『奇縁まんだら』(日本経済新聞出版社)張 競
本物の良書は作者の体温を感じさせる。本書はその好例である。内容が濃密で面白い。しかもその面白さはゴシップ的な内容によるものではない。じっさ…
書評 - 『流線形シンドローム 速度と身体の大衆文化誌』(紀伊國屋書店)張 競
現実性のない提案や、役に立たない議論はよく「文学的」と椰楡される。それに対し、「科学的」というと、つねに客観的で、正しいというイメージがあ…
書評 - 『ワンちゃん』(文藝春秋)張 競
外国人作家が日本語で書いた小説としてではなく、日本語を母語とする作家たちが書いた作品と同じ基準で読んでみた。主人公の木村紅(くれない)はい…
書評 - 『作家は移動する』(新書館)張 競
文学の世界では創作と批評はほんらい飛行機の左右のエンジンのようなものだ。しかし、長いあいだ片肺飛行の状態が続いている、ここ十数年来、読者の…
書評 - 『芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか―擬態するニッポンの小説』(幻冬舎)張 競
久々に清新でわかりやすい文学批評に出会った。ゴシップ本を思わせるような書名だが、文学賞選考の舞台裏を詮索する内容ではない。村上春樹が芥川賞…
書評 - 『玄奘三蔵、シルクロードを行く』(岩波書店)張 競
玄奘(げんじょう)三蔵は仏法を求めてシルクロードを踏破し、遙かインドにまで旅をした。現代人には壮大なロマンのように見えるが、古代では文字通…
書評 - 『愛欲の精神史1 性愛のインド』(角川学芸出版)張 競
途轍もなくスケールが大きい。インドから説き起こし、ヨーロッパや中国にまで話を広げ、最終的には日本に帰着する。仏教の経典や西洋の思想書を博引…
書評 - 『乾隆帝の幻玉―老北京(ラオベイジン)骨董異聞』(中央公論新社)張 競
生粋の北京っ子には口達者の人が多い。おしゃべりが好きで、どこかユーモアがある。聞いているうちについついその話術にはまり、話が本当か嘘か見当…
書評 - 『人種主義の歴史』(みすず書房)張 競
二〇一〇年十二月二十五日、米ノースウエスト航空機内でテロ未遂事件が起きた。その直後、テロ防止の強化策をめぐって、アメリカのメディアではちょ…
書評 - 『白い紙/サラム』(文藝春秋)張 競
イラン・イラク戦争の最中、一人の少女が両親とともにテヘランから、人口二万人にも満たない国境の町に引っ越してきた。戦争医師の父親が最前線に近…
書評 - 『陶晶孫その数奇な生涯―もう一つの中国人留学精神史』(岩波書店)張 競
大正時代には多くの中国人が日本に留学した。のちに各分野で大活躍した人も少なくない。日本の文学結社を真似た「創造社」の同人たちはその一例、彼…
書評 - 『私はなぜアジアの映画を見つづけるか』(平凡社)張 競
アジアの映画について一度にこれほど多くの情報に接したのは初めてだ。作品数の多さのみならず、内容の多様さ、文化的分布の広さには驚くばかりであ…
書評 - 『「愛」と「性」の文化史』(KADOKAWA/角川学芸出版)張 競
本稿を書いている最中、面白いニュースが飛び込んできた。アメリカのサンディエゴに在住するナタリア・ダイラン(偽名)という二十二歳の女性が、大…
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