翻訳家。著書に『雑な読書』(シンコーミュージック )。訳書に、エドワード・ケアリー「アイアマンガー3部作」第1巻『堆塵館』、第2巻『穢れの町』(以上東京創元社)、デイヴィッド・フィンケル『帰還兵はなぜ自殺するのか』『兵士は戦場で何を見たのか』(以上亜紀書房)、L・M・ステッドマン『海を照らす光』(ハヤカ…もっと読む
- 『用心棒日月抄』(新潮社)古屋 美登里
この欄で時代小説を取り上げたことはなかった。わたし自身、時代小説を読むようになったのは三十を過ぎてからで、それまではどういうわけか、時代小…
書評 - 『黒いヴェール―写真の父母をわたしは知らない』(文藝春秋)古屋 美登里
写真というのは悲しいものである。写真には一瞬の時がそのままフリージングされている。その瞬間に漂っていた匂い、注いでいた陽の光、影、流れてい…
書評 - 『本が好き、悪口言うのはもっと好き』(文藝春秋)古屋 美登里
タイトルがいいではありませんか。わたしはこのタイトルに惚れたなあ。でも「本が好き」というのが大前提だから、悪口を言うのだけが好きという人に…
書評 - 『文体練習』(朝日出版社)古屋 美登里
レーモン・クノー『文体練習』を、是非とも書店で一度は手にとって眺めてみてほしい。体裁のわりには値段の高い本であるから、無理に買えとは言わな…
書評 - 『サイダーハウス・ルール』(文藝春秋)古屋 美登里
読書の秋である。どうせなら良質の本を読みたい。 大学時代、ある先生がこう言われたのをいまでも覚えている。 「きみたちは若いから、まだまだ時間…
書評 - 『いつかぼくが帰る場所』(早川書房)古屋 美登里
いつか終わりがくる だからこそ美しい血液感染の病気が世界に蔓延(まんえん)し、人類のほとんどが滅びてから九年。主人公のヒッグは、小さな飛行…
書評 - 『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)古屋 美登里
身分を入れ替えて生きる 二人に課せられた運命平安時代に書かれた『とりかへばや物語』は、持って生まれた性を取り替えて宮廷に仕えるきょうだいを…
書評 - 『不思議の国のアリス』(亜紀書房)古屋 美登里
思い切った言語感覚が旧知の物語を新鮮に百年以上前から多くの作家や翻訳家が挑んできた『不思議の国のアリス』。長いあいだ読み継がれてきたお話で…
書評 - 『動きの悪魔』(国書刊行会)古屋 美登里
まるで生き物のような機関車に翻弄される全編が鉄道と蒸気機関車にまつわる話で、鉄道ファンは狂喜乱舞すること間違いなしの短編集です。とはいえ、…
書評 - 『愛を返品した男 物語とその他の物語』(早川書房)古屋 美登里
多彩な才能が生んだ底知れない面白さ本書には、胸が震えるほど読み応えのある短編小説から、軽快で辛辣(しんらつ)なわずか2行のショートショート…
書評 - 『サミュエル・ジョンソンが怒っている』(作品社)古屋 美登里
皆が思い当たることを鋭い観察眼でとらえる創作は限りなく自由な言葉の表現である、ということを徹底して主張し続けている作家がいる。リディア・デ…
書評 - 『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』(群像社)古屋 美登里
混乱と絶望の中で命を絶つ人たちの叫び本書は今年のノーベル文学賞を受賞した、今世紀を代表するジャーナリストの渾身(こんしん)の作品である(AL…
書評 - 『ムシェ 小さな英雄の物語』(白水社)古屋 美登里
重く悲しい歴史が見事に現代に蘇ったウリベがバスク語で書いた第1作『ビルバオ−ニューヨーク−ビルバオ』は、事実を虚構の枠の中へと静かに落とし込…
書評 - 『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう! (パリ・レヴュー・インタヴュー I)』(岩波書店)古屋 美登里
作品からはわからない作家の魅力が見える作家のことを知ろうと思えば、まずは作品を読まなければなりません。でも、すでに多くの作品を読んでファン…
書評 - 『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(早川書房)古屋 美登里
亡くなった著者から引き継ぐ待望の最新作本書の中心を成す人物リスベット・サランデルは、ミステリー史上最強のヒロインのひとりである。小柄で細身…
書評 - 『プラハの墓地』(東京創元社)古屋 美登里
処女作『薔薇の名前』から30年、本書はイタリアの作家ウンベルト・エーコの6作目となる傑作長編小説である。冒頭から、19世紀の社会風俗とともに胡散…
書評 - 『忘れられた巨人』(早川書房)古屋 美登里
過去への郷愁と伝説のリアリティーカズオ・イシグロには意表を突かれる。過去の輝かしい日々を追想し、時代の流れに抗(あらが)おうとする戦後の英…
書評 - 『雑な読書』(シンコーミュージック)古屋 美登里
はじめにわたしはHM/HRの月刊誌『BURRN!』で「IN THE BOOK SHELF」というコラムを連載しています。編集方針の変更による一年半の中断はありました…
前書き
- 前へ
- 1
- 次へ