フランス文学者。元明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。元明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有…もっと読む
- 『パサージュ論』(岩波書店)鹿島 茂
ベンヤミンの未完の大作『パサージュ論』は、これまで、その要約「パリ――十九世紀の首都」だけが晶文社版の『ボードレール』に収録されていたが、私…
書評 - 『職業別 パリ風俗』(白水社)鹿島 茂
フランス文学に初めて接したとき、その実態がよく掴めない職業・身分がいくつかあることに気づいた。たとえば代訴人、復習教師、高級娼婦。これらは…
前書き - 『ビンゲンのヒルデガルトの世界』(青土社)鹿島 茂
女性霊能者や幻視者にはなぜか四十代、五十代の中年女性が多い。その場合、中年になって突如霊能力に目覚めたというよりも、若いときにはなんらかの…
書評 - 『捕虫網の円光―標本商ル・ムールトとその時代』(中央公論社)鹿島 茂
いまでは満員電車の吊革にぶらさがるサラリーマンとなっているあなたも、本書の冒頭近くに置かれた次の素晴らしい文章を読んだら、まちがいなく少年…
書評 - 『ファイナル・カット―『天国の門』製作の夢と悲惨』(筑摩書房)鹿島 茂
映画の中のガンファイトなど監督と映画会社のそれに比べれば屁(へ)みたいなもんだと言ったのはサム・ペキンパー監督だが、この後者のガンファイト…
書評 - 『詩人と女たち』(河出書房新社)鹿島 茂
飲んだくれで、競馬好きで、そして何よりも助平な、それこそワンカップと東スポを抱えて馬券売り場をうろついていそうな、冴えない性格破綻者の五十…
書評 - 『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争』(藤原書店)鹿島 茂
日本を襲ったスペイン風邪×月×日新型コロナ・ウイルスのパンデミックで思い出すのは横浜南郊で酒屋をやっていた祖父が一九一八年(大正七年)の秋…
書評 - 『モスクワ-ペテルブルグ縦横記』(岩波書店)鹿島 茂
ロシアはどこに行くのか? ジャーナリズムはこの問題に関して様々な予想を立てるが、どの分析にも決定的に欠けているものが一つある。民衆の心に対す…
書評 - 『ナポレオン伝説の形成―フランス19世紀美術のもう一つの顔』(筑摩書房)鹿島 茂
かつて歴史画には一定の了解事項のようなものがあって、描く側も眺める側もこの規則を踏まえた上で制作や鑑賞をおこなっていた。たとえばルイ十四世…
書評 - 『時間・欲望・恐怖―歴史学と感覚の人類学』(藤原書店)鹿島 茂
歴史の一時期を境に、それまでは感じられていなかったことが突然感じられるようになる。たとえば、悪臭と芳香。あるいは、娼婦への恐怖や浜辺の魅力…
書評 - 『日本の近代建築〈上 幕末・明治篇〉』(岩波書店)鹿島 茂
歴史家にとって最高の快楽とはなんだろう。それは、散在する点をつなぐ線を見いだして「命名」を行い、定説を根底から覆す新説を打ちだすことだ。本…
書評 - 『ヴィクトル・ユゴーと降霊術』(水声社)鹿島 茂
オカルティズムと機械文明は奇妙なところで接点をもっている。十九世紀の半ば、アルファベットを叩(こう)音で表記するモールス信号が発明されると…
書評 - 『労働階級と危険な階級―19世紀前半のパリ』(みすず書房)鹿島 茂
ルイ・シュヴァリエの『労働階級と危険な階級』が、ついに日本語で読めるようになった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1993年)。思えば一九…
書評 - 『メロドラマ―フランスの大衆文化』(晶文社)鹿島 茂
少し前まで、日本のテレビでは、平日の午後に放映される、貞節と不倫のあいだで揺れ動く女心を描いた通俗的な連続ドラマをさして「昼メロ」、つまり…
書評 - 『娼館の黄金時代』(河出書房新社)鹿島 茂
ファンタスムという精神分析の用語がある。ようするに、人がそれを思い浮かべると最も激しい性的興奮を味わう心的イメージのことで、それこそ百人い…
書評 - 『本当は偉大だった 嫌われ者リーダー論』(集英社)鹿島 茂
リーダーの要件は「決断」にある国だろうと企業だろうと、トップに立つ人間のなすべきことは決まっている。「決断」である。これ以外にはない。「決…
前書き - 『香水―ある人殺しの物語』(文藝春秋)鹿島 茂
「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる! これは信じていいことなんだよ。何故つて、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことぢやないか」…
書評 - 『セーラー服とエッフェル塔』(文藝春秋)鹿島 茂
見渡せば、世の中、じつに多くの不思議や謎に満ちている。ただ、大多数の人はそれを不思議とも謎とも疑ってみないだけである。たとえば、女性の乳房…
後書き - 『メディア都市パリ』(藤原書店)鹿島 茂
目から鱗が落ちるとはよく言うが、この言葉は、まさに本書にこそふさわしい。ナポレオンがワーテルローの戦いに敗れて成立した王政復古の社会は、逆…
書評 - 『プルーストの部屋〈上〉―『失われた時を求めて』を読む』(中央公論新社)鹿島 茂
『失われた時を求めて』の読みにくさの大半は、その文体、思想内容、形式などからきているのだが、そこで触れられている風俗的な事象が我々にとって…
書評