1965年神奈川県生まれ。東京大学理科1類除籍。文芸、音楽、経済学などの領域で評論活動を行っている。著書に『〈盗作〉の文学史』(新曜社。 第62回日本推理作家協会賞)。共著に『石原慎太郎を読んでみた』(中公文庫)、 『本当の経済の話をしよう』(ちくま新書)、 『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)、 『…もっと読む
- 『歌詞のサウンドテクスチャー:うたをめぐる音声詞学論考』(白水社)栗原 裕一郎
響きの美しさに注目 源探るポピュラー音楽には「歌詞を聴く」派と「聴かない」派の対立というのが昔からある。「歌詞を聴く」とはメッセージや意味…
書評 - 『物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』(角川書店)栗原 裕一郎
思いがけず行き着いた「文学」擁護論たとえば“セカチュウ”、最近だと『電車男』、こんな単純なお話ばかりがなぜバカ売れするのかと人は首を傾げる。…
書評 - 『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(光文社)栗原 裕一郎
新書という器を生かした「古典的名著」への再入門アンダーソンの『想像の共同体』は、83年に発表されるや政治学という枠を超え強いインパクトをもた…
書評 - 『極西文学論―West way to the world』(晶文社)栗原 裕一郎
現代文学をめぐるこの批評は「歴史」と「女性」を見落とすことで成り立っている。「歴史」とは、戦後日本文学“史”のことだ。にもかかわらず、読者は…
書評 - 『足ふみ留めて---アナレクタⅠ』(河出書房新社)栗原 裕一郎
誤解にまみれた作家 「反動」について考える手引きに佐々木中はすでに誤解にまみれている。デビューは二〇〇八年の『夜戦と永遠』(以文社)だが、…
書評 - 『批評時空間』(新潮社)栗原 裕一郎
批評の可能性を更新すること、および実現できることへの確信佐々木敦の「批評家」という肩書きには強固な意志が存在している。その意志を支えている…
書評 - 『おはなしして子ちゃん』(講談社)栗原 裕一郎
本当に恐れるべきはさながらショーケースのような短篇集だ。作者自身、講談社のサイトにアップされている本書刊行記念動画で、いろんな種類の小説に…
書評 - 『小説家の饒舌』(メディア総合研究所)栗原 裕一郎
「作家の声」を引き出す 連続トーク・イベントの「ほぼ完璧な再現」批評家の佐々木敦が、ジュンク堂新宿店にて二〇〇九年一月から二〇一〇年五月に…
書評 - 『クォンタム・ファミリーズ』(河出書房新社)栗原 裕一郎
「世界の終り」と三五歳問題じつに多様な読みを誘発ないし許容する作品である。その事実だけでも『クォンタム・ファミリーズ』(以下『QF』)はすで…
書評 - 『恋するJポップ―平成における恋愛のディスクール』(冬弓舎)栗原 裕一郎
笑うに笑えぬトンデモ本くっそぼーん!読み終えて、思わずそう叫んだ。ガクシャ先生が余技的に書くこの手の本は大抵クソである、というのがぼくの経…
書評 - 『トリプルA 小説 格付会社 上』(幻冬舎)栗原 裕一郎
金融危機の全貌を鳥瞰して描く2008年に起こった金融危機の原因は多岐にわたっていた。『タイム』誌が発表した「金融危機を引き起こした25人」は、住…
書評 - 『SOSの猿』(中央公論新社)栗原 裕一郎
「謎」の背後に本当の「謎」がある手に取って帯を見るとこう書かれている。「ひきこもり青年の『悪魔祓(ばら)い』を頼まれた男と、一瞬にして三〇…
書評 - 『密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女』(原書房)栗原 裕一郎
執筆に46年間を要した記録学園中のみんなが憧れていたアイドルがナチスの手先に落ちていた。それも、同胞であるユダヤ人をゲシュタポに密告しアウシ…
書評 - 『蝶コレクターの黒い欲望---乱獲と密売はいかに自然を破壊したか?』(河出書房新社)栗原 裕一郎
蝶から見えた「危険な世界」タイトルに偽りありとまではいわないが内容の一部しか表していない。じゃあ副題の「乱獲と密売はいかに自然を破壊したか…
書評 - 『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』(DU BOOKS)栗原 裕一郎
この「作法」は著者の「挑発」1冊を費やしてたった一枚のアルバムを分析題名の『ナイトフライ』は、スティーリー・ダンのメンバーであるドナルド・…
書評 - 『鶏が鳴く』(講談社)栗原 裕一郎
対話の条件表面的には単純な小説である。険悪な関係にある男子高校生二人が、深夜に腹を割って本音をぶつけ合い、己の、そして相手の精神に対する洞…
書評 - 『貧困の発明 経済学者の哀れな生活』(早川書房)栗原 裕一郎
貧困を劇画的に描く予断はひとまず裏切られる『貧困の発明』というタイトルに「経済学者の哀れな生活」なる副題。帯には「トマ・ピケティ絶賛!」…
書評 - 『透明人間は204号室の夢を見る』(集英社)栗原 裕一郎
現実と引き替えに小説を得る佐原実緒は六年前、高校生のときに文学新人賞を受賞したが、四年前に書けなくなり、ライターの真似事とアルバイトをして…
書評 - 『どろにやいと』(講談社)栗原 裕一郎
異界をどろにやいと異界に閉じ込められる物語である。語り手の「わたし」はボクサーだったが右目を負傷して引退、ぶらぶらしていたところ父が死んで…
書評 - 『ホールデンの肖像―ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』(新宿書房)栗原 裕一郎
「表紙」から導く作家の深層サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」の、あの有名な主人公ホールデンの人物造形を通じて作家や作品の謎に迫ったとかそ…
書評