1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科大学大学院、東洋英和女学院大学学長などを経て、豊田工業大学次世代文明研究センター長。著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは…もっと読む
- 『安楽死を遂げた日本人』(小学館)村上 陽一郎
「自死行」迫真のルポルタージュ読むのが辛い本である。著者には、安楽死を巡る最近の世界の事情を取材した『安楽死を遂げるまで』という好著がある…
書評 - 『ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から』(光文社)村上 陽一郎
欧州的知性主義への反発アメリカと言えば、科学系のノーベル賞受賞者は圧倒的に多いし、学術誌掲載論文数も群を抜いている。つまり誰しもアメリカは…
書評 - 『内村鑑三』(筑摩書房)村上 陽一郎
内村に寄せる温かい眼差し二代に亘(わた)る聖書神学の大家が、父君ゆかりの対象と取り組んだ浩瀚(こうかん)な大作である。悪かろうはずはない。…
書評 - 『胎児のはなし』(ミシマ社)村上 陽一郎
絶妙かつ啓発的な対話大胆な、しかし、まことに直截(ちょくせつ)・明快な表題である。練達の臨床産婦人科医に、著名なサイエンスライターが、疑問…
書評 - 『ヴァーチャル社会の〈哲学〉―ビットコイン・VR・ポストトゥルース―』(青土社)村上 陽一郎
根源に迫ろうとする姿勢に迫力本欄の担当者に、次にはこの書物を取り上げたいのですが、と相談ないし報告をして、同意を得たので、本格的に読み始め…
書評 - 『マリアン・アンダースン』(アルファベータブックス)村上 陽一郎
ピアニストが温かく捉えた実像一人の歌好きの少年の耳に、深みのあるアルトの声がラジオから響いてきた。シューベルトの『魔王』。魔王の甘やかな猫…
書評 - 『胃弱・癇癪・夏目漱石 持病で読み解く文士の生涯』(講談社)村上 陽一郎
人間漱石の生の姿明るみに幾つかの機会に書いたように、私は漱石で育った。小学生のころから読み始めた、あの独特の表装の漱石全集は、二セットにな…
書評 - 『一八世紀 近代の臨界』(ぷねうま舎)村上 陽一郎
極めて周到な統一的構想ちょっと珍しい二人を組み合わせてテーマとしたエッセー集である。ディドロは一七一三年生まれ、モーツァルトは一七五六年生…
書評 - 『ホーキング、最後に語る:多宇宙をめぐる博士のメッセージ』(早川書房)村上 陽一郎
ホーキング最後の論文をどう読む小さな本である。不思議な本でもある。通常書店に出回る一冊の書物としては、とてもページ数が足りない。そう全体で…
書評 - 『性の進化史: いまヒトの染色体で何が起きているのか』(新潮社)村上 陽一郎
生き物の世界の神秘に接する機会まだ現役で教壇に立っていた頃、私は学生によくこんな話をした。女性は「弱き」性だというが、生物学的には全く間違…
書評 - 『完訳 天球回転論』(みすず書房)村上 陽一郎
「革命」の最重要典拠 公刊は歴史的事件「天が動くのか・大地が動くのか」、文字通り天地がひっくり返るこの大転換を成し遂げた、と言われるコペル…
書評 - 『明治の光 内村鑑三』(藤原書店)村上 陽一郎
存在は一つの社会的事件内村鑑三と言えば、中学や高校でも、ときに明治二十四年に起きた「不敬事件」の主人公としてその名に言及されることがある。…
書評 - 『愛蔵版 モリー先生との火曜日』(NHK出版)村上 陽一郎
慈味溢れる大切な言葉読書に時あり、つくづくそう思った。ちょうど二十年前、この本を読み終えて、感動的な佳い本だな、と思ったものの、記憶の片隅…
書評 - 『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社)村上 陽一郎
フローレス原人発掘の興奮ちょっと不思議なタイトルである。とりようによっては哲学的な問いに答えようとする書物か、とも思わされる。それがブルー…
書評