
1949年生まれ。哲学者。せんだいメディアテーク館長。京都市立芸術大学学長。京都大学文学部卒業、同大学院修了。大阪大学総長を経て、現職。哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなう。おもな著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、1996年)、…もっと読む
- 『修復的司法とは何か―応報から関係修復へ』(新泉社)鷲田 清一
「失われたもの」の回復めざす「裁き」考えてみれば奇妙なことだ。犯罪が発生する。犯人が検挙され、長い長い裁判にかけられる。が、もっともひどい…
書評 - 『プラトン 理想国の現在』(慶應義塾大学出版会)鷲田 清一
「正義なす理由」に迫る意義 「理想」という語は、明治の初頭にプラトンの「イデア」の訳として造語され、「観念」という訳語とともに爆発的に広ま…
書評 - 『貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間』(岩波書店)鷲田 清一
親密な場所と組織化の矛盾この社会の貧困の問題に最底辺のところで対応してきた支援グループの、あまりに率直な、そして考えぬかれた地声の中間総括…
書評 - 『司法的同一性の誕生―市民社会における個体識別と登録』(言叢社)鷲田 清一
「個人の確証」追求する欲望の正体わたしたちはさまざまな経験をし、ときに取り消しえない衝撃にも見舞われて、歳(とし)とともに変わってゆく。そ…
書評 - 『書淫日記: 万葉と現代をつないで』(ミネルヴァ書房)鷲田 清一
研究の話で笑わせる語り芸「書淫(しょいん)」は、著者によれば、本を読むこと、買うことに過度に傾くことで、オタクと似て内向きの幸福に浸るとこ…
書評 - 『街場の文体論』(文藝春秋)鷲田 清一
学生に伝えた言葉の生成的経験 官僚による大臣の答弁原稿から企業の謝罪広告まで(ひょっとしたら学校での「自由作文」も?)、だれに宛てて書かれ…
書評 - 『やわらかく、壊れる―都市の滅び方について』(みすず書房)鷲田 清一
世界に聞き耳を立てる詩人の思考全速力で走りながら考える思想というものを夢見たのは寺山修司だが、佐々木幹郎という詩人は、歩き回りながらという…
書評 - 『市場社会と人間の自由―社会哲学論選』(大月書店)鷲田 清一
思索の過程、うかがえる論集「経済成長」という、政治家や企業家の意識をいまなおがんじがらめにしている強迫観念に、はっきりと「失効」を突きつけ…
書評 - 『ハモの旅、メンタイの夢――日韓さかな交流史』(岩波書店)鷲田 清一
海を挟んだ豊かな交流をたぐる日本からはスケトウダラやヌタウナギが、韓国からはヒラメやハモやアナゴが、毎日海峡をまたいで大量に行き来する。京…
書評 - 『アメリカの越え方―和子・俊輔・良行の抵抗と越境』(弘文堂)鷲田 清一
三人三様の道筋、立体的に対置なぜ「アメリカを越える」ことが課題なのか? 東アジアにおいて戦前の日本の植民地主義が戦後、そっくりアメリカの覇…
書評 - 『驚きの介護民俗学』(医学書院)鷲田 清一
ためらいが吹き込む新しい風 書店で本を見つけ、「おお久しぶり」と声が出そうになった。10年近く前、新進の民俗学者として大きな賞を受けたが、次…
書評 - 『お尻とその穴の文化史』(作品社)鷲田 清一
「裏口」にむけた健やかならざる執着なんとも皮肉な造作と言うしかないが、私たちは自分にとって決定的に大事なところが、自分では見えない仕組みに…
書評 - 『「昭和」を送る』(みすず書房)鷲田 清一
精神への「圧力」、減圧の工夫時代の流れにふと、えもいわれぬ違和を感じるとき、あの人ならどう受けとめるだろうかとその発言にふれたくなる、そん…
書評 - 『カントとカモノハシ』(岩波書店)鷲田 清一
難解だけれど、愉快な本だ。判断の基礎理論に取り組んだカントと、あらゆる分類の試みに挑戦するために生まれてきたかのようなカモノハシ。その二つ…
書評 - 『柳宗悦 手としての人間』(平凡社)鷲田 清一
このハイデッガー研究者は、ある時期より、<かたち>の生成をめぐって、カンディンスキーの抽象絵画と柳宗悦の民芸運動に傾倒しだした。その長い潜…
書評 - 『書簡で読むアフリカのランボー』(未来社)鷲田 清一
詩作放棄した後半生の意味問う一人の男が生きた二つの人生。二十歳まで詩人として駈けぬけた数年と、五年間の放浪のあと、アフリカでコーヒー交易商…
書評 - 『カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活』(平凡社)鷲田 清一
生きることは楽しい、信頼の根生涯、鳥取県・境港で家族や地元の人をモデルに撮りつづけた植田正治の思い出を、残された作品の別バージョンや家族の…
書評 - 『時の余白に』(みすず書房)鷲田 清一
骨太の主張、謙虚な語り口で 美術へのまなざしにはもっと広がりがあってよいとおもう。「芸術的価値」の高い作品を前にしてかしこまるのも結構だ。…
書評 - 『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(KADOKAWA/角川書店)鷲田 清一
悪趣味に潜むふるまいの原型「なんちゅうても、まっ先に来てくれたのは金髪のにいちゃんらやった」。神戸の震災のときに地の人から聴いた言葉である…
書評 - 『自由』(岩波書店)鷲田 清一
「自己統治」強調で制約がより大きく 少しくらいけがをしてもいいから、自然ともっとふれあい、友だちと取っ組み合いをし、家庭と学校のみならず地…
書評