1949年生まれ。哲学者。せんだいメディアテーク館長。京都市立芸術大学学長。京都大学文学部卒業、同大学院修了。大阪大学総長を経て、現職。哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなう。おもな著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、1996年)、…もっと読む
- 『アメリカの越え方―和子・俊輔・良行の抵抗と越境』(弘文堂)鷲田 清一
三人三様の道筋、立体的に対置なぜ「アメリカを越える」ことが課題なのか? 東アジアにおいて戦前の日本の植民地主義が戦後、そっくりアメリカの覇…
書評 - 『驚きの介護民俗学』(医学書院)鷲田 清一
ためらいが吹き込む新しい風 書店で本を見つけ、「おお久しぶり」と声が出そうになった。10年近く前、新進の民俗学者として大きな賞を受けたが、次…
書評 - 『お尻とその穴の文化史』(作品社)鷲田 清一
「裏口」にむけた健やかならざる執着なんとも皮肉な造作と言うしかないが、私たちは自分にとって決定的に大事なところが、自分では見えない仕組みに…
書評 - 『「昭和」を送る』(みすず書房)鷲田 清一
精神への「圧力」、減圧の工夫時代の流れにふと、えもいわれぬ違和を感じるとき、あの人ならどう受けとめるだろうかとその発言にふれたくなる、そん…
書評 - 『カントとカモノハシ』(岩波書店)鷲田 清一
難解だけれど、愉快な本だ。判断の基礎理論に取り組んだカントと、あらゆる分類の試みに挑戦するために生まれてきたかのようなカモノハシ。その二つ…
書評 - 『柳宗悦 手としての人間』(平凡社)鷲田 清一
このハイデッガー研究者は、ある時期より、<かたち>の生成をめぐって、カンディンスキーの抽象絵画と柳宗悦の民芸運動に傾倒しだした。その長い潜…
書評 - 『書簡で読むアフリカのランボー』(未来社)鷲田 清一
詩作放棄した後半生の意味問う一人の男が生きた二つの人生。二十歳まで詩人として駈けぬけた数年と、五年間の放浪のあと、アフリカでコーヒー交易商…
書評 - 『カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活』(平凡社)鷲田 清一
生きることは楽しい、信頼の根生涯、鳥取県・境港で家族や地元の人をモデルに撮りつづけた植田正治の思い出を、残された作品の別バージョンや家族の…
書評 - 『時の余白に』(みすず書房)鷲田 清一
骨太の主張、謙虚な語り口で 美術へのまなざしにはもっと広がりがあってよいとおもう。「芸術的価値」の高い作品を前にしてかしこまるのも結構だ。…
書評 - 『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(KADOKAWA/角川書店)鷲田 清一
悪趣味に潜むふるまいの原型「なんちゅうても、まっ先に来てくれたのは金髪のにいちゃんらやった」。神戸の震災のときに地の人から聴いた言葉である…
書評 - 『自由』(岩波書店)鷲田 清一
「自己統治」強調で制約がより大きく 少しくらいけがをしてもいいから、自然ともっとふれあい、友だちと取っ組み合いをし、家庭と学校のみならず地…
書評 - 『団地の空間政治学』(NHK出版)鷲田 清一
[isbn:4106038439]戦後の地下水脈、掘り起こす発見昨年まで大阪の千里ニュータウンに暮らしていた。単身赴任ということもあって、10年暮らしても、…
書評 - 『ヴェールの政治学』(みすず書房)鷲田 清一
仏共和制の矛盾、映し出した排除2004年、フランス議会は、公立学校において宗教的帰属を「誇示」するアイテムの着用を禁じた法律を可決した。10年に…
書評 - 『宗教のレトリック』(トランスビュー)鷲田 清一
「語り」への着目、目からうろこ「かたり」が「語り」でもあれば「騙(かた)り」でもあるということには深い含みがある。マコトの語りとダマシの語…
書評 - 『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?』(飛鳥新社)鷲田 清一
「治療的司法」への取り組みも一見遠い話のようだが、この本で引かれた手記を読んで、ハマってしまってどうにも抜けられない窃盗癖患者の苦しみが立…
書評 - 『民俗と民藝』(講談社)鷲田 清一
「暮らしの真実」透視した2人学術用語の初期の翻訳例に、今は「真理」「真実」と訳されるtruthの訳語として「本真(ホンマ)」というのがあった。嘘…
書評 - 『幸福の文法 ---幸福論の系譜、わからないものの思想史』(河出書房新社)鷲田 清一
「問い」を問い直すラジカルな人間論「幸福だった」というふうに、幸福は失ってはじめてわかる。あるとき幸福を感じても幸福感というものは長続きせ…
書評 - 『考えすぎた人: お笑い哲学者列伝』(新潮社)鷲田 清一
「入り口」へ誘う快調な文章擬態神託をもとめ「ソクラテスより頭のいい人間はいますか」と訊ねるところを、「頭の強い人間」と言い損ねたあとの顛末…
書評 - 『首里城への坂道 - 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像』(中央公論新社)鷲田 清一
調査・史料に残った戦前の文化明治12(1879)年の「琉球処分」と首里城明け渡しによって王国が崩壊したあと、琉球文化が衰亡の一途をたどるなか、昭…
書評 - 『三面記事の歴史』(国書刊行会)鷲田 清一
時代を超えて、のぞき見誘う「三面記事」は、いまの日本でいえば、スポーツ新聞や夕刊紙のゴシップ欄やセンセーショナルな記事にあたる。奇矯な事故…
書評