1949年生まれ。哲学者。せんだいメディアテーク館長。京都市立芸術大学学長。京都大学文学部卒業、同大学院修了。大阪大学総長を経て、現職。哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなう。おもな著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、1996年)、…もっと読む
- 『どっこい大田の工匠たち―町工場の最前線』(現代書館)鷲田 清一
技能が磨いた底知れぬ謙虚さ五十年の職人生活を送った旋盤工であり、作家でもある小関智弘さんは、職工の世界を内と外から同時に見られる人だ。だか…
書評 - 『民主主義のつくり方』(筑摩書房)鷲田 清一
〈習慣〉から未来への展望探るこんな柔らかい言葉で現代政治について論じる人は、日本の政治学者のなかではめずらしいのではないか。以前、この人が…
書評 - 『座談の思想』(新潮社)鷲田 清一
魅力引き出す優れた「しきり」「だらだら書いてから字数調整するのは素人よ。私なんか書き終えたときには字数がぴったり合っている。プロだから」。…
書評 - 『セラピスト』(新潮社)鷲田 清一
心理療法への問い、自分巻き込み取材競輪選手、絶対音感、青いバラ、生命倫理、東大応援団、そして星新一。最相葉月がこれまで集中的に取材してきた…
書評 - 『意味としての心 ――「私」の精神分析用語辞典』(みすず書房)鷲田 清一
言葉による治療、別の物語に変換過去に書いた論考や随筆や事典原稿を集めたら精神分析の用語辞典になった。それほど著者は言葉による治療にこだわっ…
書評 - 『グレン・グールド発言集【新装版】』(みすず書房)鷲田 清一
音楽の「なぜ」を精密に語ることばたちなぜここはこの音? なぜここはこの色?無数の音程や響きからたった一つの音が選びだされる。無数の明度や色…
書評 - 『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』(中央公論新社)鷲田 清一
見晴らしのよい「最強の民族音楽」史小学生のころ、変に思っていた。音楽室の壁にずらーっと並んでいる音楽家たちの肖像。「音楽の父」バッハからモ…
書評 - 『カーテン―7部構成の小説論』(集英社)鷲田 清一
無視されてきた西欧の辺境で小説は進化したミラン・クンデラのこの小説論を読みながら、私はある夕刻のことを思い出していた。シンポジウムからの帰…
書評 - 『うつし 臨床の詩学』(みすず書房)鷲田 清一
微細な応答の積み重ねで「特異」を解くとにかくむずかしい問題を扱っている。問題が抽象的すぎるというのではない。あまりにも近くにありすぎて、そ…
書評 - 『ダンボールハウス』(ポプラ社)鷲田 清一
変化し続ける路上生活者住居の記録路上生活者のハウスの、2年9か月をかけた調査記録である。グラフや数字ではなく、手書きのスケッチと図面と文章で…
書評 - 『トラウマの医療人類学』(みすず書房)鷲田 清一
体験を引き受けなおす真摯な自己描写本書をそろそろ閉じる段になって、はじめて一枚の写真に出あう。アフリカ東部の難民キャンプで、家族が心配そう…
書評 - 『岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記』(晶文社)鷲田 清一
半端押しのける、意気といたわりの街この男、東京の書店でも買える関西の人気タウン誌の辣腕(らつわん)編集長にして、だんじり祭の元若頭である。…
書評 - 『声をなくして』(晶文社)鷲田 清一
<弱さ>晒す人間同士のいたわりの作法泣かせるルポを書きついできた永沢光雄。その彼が、下咽頭ガンの手術を受け、声を奪われた。起きるなり首に激…
書評 - 『ゴリラ』(東京大学出版会)鷲田 清一
「人間よりも進みすぎた」隣人に学びたい細胞にも色艶(いろつや)がある。明けても暮れても試験管をのぞいているうち、その色艶が見分けられるよう…
書評 - 『眼の冒険 デザインの道具箱』(紀伊國屋書店)鷲田 清一
「似ている」から始まる思考の魅力著者に叱(しか)られるかもしれないが、まず本文最後の二ページを開いていただきたい。右ページには、催眠効果を…
書評 - 『職業外伝』(ポプラ社)鷲田 清一
「人生まるごと」の仕事人を訪ねる旅幼い頃に心躍らせた夜店の賑(にぎ)わい、場末の小屋で見てはいけないものを見て全身金縛りになった体験、長じ…
書評 - 『戦争と万博』(美術出版社)鷲田 清一
明るく薄っぺらな「晴れ舞台」を徹底解剖わたしの勤務先は、大阪万博の跡地の外れにある。いまは緑がずいぶん深くなり、高速のアスファルト道も周囲…
書評 - 『堅気の哲学―福田定良遺稿集』(藍書房)鷲田 清一
えらぶらず、ぎりぎりまで考える哲学の言葉というのは、なんだかえらそうにしている。やたら大上段に構えたり、だれにも見えていないものを見えるよ…
書評 - 『やりなおし教養講座』(NTT出版)鷲田 清一
「みっともない」からやめるのです以前、高校生だった息子に「おやじの時代は壁があってよかったね」と、皮肉まじりに言われたことがある。同じころ…
書評 - 『肖像の眼差し』(人文書院)鷲田 清一
向こうから「乗りだして」くる顔むかし、私は空いた時間に絵を、それも人物画ばかりを描いていた。三時間ほどモデルを凝視しながら、しかしまったく…
書評