1949年生まれ。哲学者。せんだいメディアテーク館長。京都市立芸術大学学長。京都大学文学部卒業、同大学院修了。大阪大学総長を経て、現職。哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなう。おもな著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、1996年)、…もっと読む
- 『原っぱと遊園地―建築にとってその場の質とは何か』(王国社)鷲田 清一
『原っぱと遊園地』とはまたおっとりした書名である。が、これは対立する二つの建築理念の比喩(ひゆ)なのだ。「原っぱ」とは、そこで行われること…
書評 - 『クリスチャン・ボルタンスキー―死者のモニュメント』(水声社)鷲田 清一
幼いときに使っていた私物の数々から始まり、家族アルバム、殺害死体の写真カード、ランプに囲まれた死者の生前の写真、そして遺品を入れた衣裳(い…
書評 - 『母に歌う子守唄 わたしの介護日誌』(朝日新聞社)鷲田 清一
「福祉」の未来を見つめる格闘と葛藤深夜、ようやっと眠りに入った母の右手がふうっと浮いて、しきりに宙をさまよう。その手が白い壁に影をつくる。…
書評 - 『人類の地平から―生きること死ぬこと』(ウェッジ)鷲田 清一
三角測量と強靭な視線が生む「語り」じぶんの思考がぶれかけている、淀(よど)みだしていると感じたとき、すがるようにその声に耳を傾けたくなる思…
書評 - 『戦後思想の一断面―哲学者廣松渉の軌跡』(ナカニシヤ出版)鷲田 清一
切迫感漂う亡き師の「総括」動詞まで概念と化した、漢字だらけのごつごつした文体。集会のアジテーションをそのままビラに写したような口吻(こうふ…
書評 - 『地図を創る旅: 青年団と私の履歴書』(白水社)鷲田 清一
伝わらない不安、直視する「対話」言葉が正確なひとである。端正に言葉を紡ぎだすひと、と言いかえてもよい。そのひとが一度だけ、他人にくってかか…
書評 - 『負ける建築』(岩波書店)鷲田 清一
建築の「強さ」、とことん検証の評論集タイトルを見て、安藤忠雄の『連戦連敗』という講義録の二番煎(せん)じかとおもった。いちばん強そうにみえ…
書評 - 『「ほんもの」という倫理―近代とその不安』(産業図書)鷲田 清一
現代社会憂う、成熟した知性のささやきもっともっと日本語で紹介されていい思想家だ。チャールズ・テイラー。反帝国主義・反スターリニズムの立場か…
書評 - 『コーネルの箱』(文藝春秋)鷲田 清一
作品と詩と訳文と、幸せな触れあいひとりの男(その名をアルフレッド・シュッツという)が、亡命先のニューヨークで、銀行に勤めるかたわら、現象学…
書評 - 『絵画と現代思想』(新書館)鷲田 清一
絵と思想の関係、あらわに浮かび上がり地勢図ではなく、東京からそこに行くのに要する時間を軸に描かれた日本地図があるそうだ。見えないけれど、距…
書評 - 『てつがくのライオン―工藤直子少年詩集』(理論社)鷲田 清一
戦前に、仙台にひとりのドイツ人の哲学教授がいた。ドイツ系ユダヤ人ということで亡命を余儀なくされ来日したのだが、およそ五年にわたる滞在も終わ…
書評 - 『鏡と皮膚―芸術のミュトロギア』(筑摩書房)鷲田 清一
いきなりヴァレリーを引いて、「人間においてもっとも深いもの、それは皮膚である」と言おうというのではないけれど、ぼくらのからだというのはどう…
書評 - 『知覚の現象学』(みすず書房)鷲田 清一
二十世紀というのは〈身体〉の時代であった、と言えるかもしれない。いつの時代にも、身体はわたしたちがそれであるところのものとして、病や死への…
書評 - 『パンセ』(岩波書店)鷲田 清一
噛み切れない論理「噛み切れない論理」でないと俺は信用しないと、若いころ三角関係に苦しんだ友人が、わたしに語ったことがある。が、噛み切れなく…
書評 - 『モードの体系』(みすず書房)鷲田 清一
二十世紀はのちのひとたちによってモードの世紀とよばれるかもしれない。流行の論理に巻き込まれないものはおそらくない。衣服をはじめとして、自動…
書評