1980年東京女子大学文理学部社会学科卒業。食文化や文芸を中心に、書籍・新聞・雑誌などで広く執筆活動を行う。 『買えない味』(筑摩書房 第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)。『野蛮な読書』(集英社 第28回講談社エッセイ賞受賞)。主著に『おいしい日常』『おもたせ暦』『夜中にジャムを煮る』『おとなの味』『焼き…もっと読む
- 『珍品堂主人 - 増補新版』(中央公論新社)平松 洋子
董は人格をものがたる 作家の自論と心情が見え隠れする今年は井伏鱒二生誕百二十年にあたるとのこと、この機に合わせて刊行された増補新版の文庫『…
書評 - 『幸田家のことば: 知る知らぬの種をまく』(小学館)平松 洋子
家族の歴史をつなぐ切れば血の出る日本語そもそも私が幸田家の言葉に強烈な印象を受けたのは、幸田文(あや)の随筆「あとみよそわか」だった。幸田…
書評 - 『建築から都市を、都市から建築を考える』(岩波書店)平松 洋子
建築は、人間を置き去りにしてはいけない今年7月17日、新国立競技場の建設計画の「白紙撤回」が表明された(事務局注:本書評執筆時期は2015年)。…
書評 - 『星の子』(朝日新聞出版)平松 洋子
無垢な視点が炙(あぶ)り出す物語の奥の残酷さ今村夏子の小説は怖い。どうしようもない痛みを掌(てのひら)にそっと置かれて、言葉もなく立ちすくむ…
書評 - 『食品偽装を科学で見抜く』(日経BP社)平松 洋子
だまされず、共犯者にもならず賢く食べるために十数年前、東北を旅していたとき「ふかひれアイスクリーム」に遭遇したことがある。二百円なのに、高…
書評 - 『私のつづりかた: 銀座育ちのいま・むかし』(筑摩書房)平松 洋子
ノブヲ少年の目がとらえた銀座の歴史と習俗の鮮やかさ本書を開くなり度肝を抜かれたが、すぐ思い直した。だってあの小沢信男だもの。1927年生まれ、…
書評 - 『鯨を生きる: 鯨人の個人史・鯨食の同時代史』(吉川弘文館)平松 洋子
その身のすべてを利用し共に生きてきた「鯨人」の証言鯨は、現代社会に何をもたらしたか。あるいは、鯨との関わりによって、私たちは何を失ったのか…
書評 - 『きょうの おやつは』(福音館書店)平松 洋子
見ておどろいて想像する視覚体験最初の一ページをめくっただけで、完全にもっていかれた。とびきりの臨場感! こんなすてきな絵本が登場した驚きに…
書評 - 『おクジラさま ふたつの正義の物語』(集英社)平松 洋子
捕鯨問題をブレークスルー 違いを認めて共に生きる道を探る先ごろ上映スタートしたドキュメンタリー映画「おクジラさま ふたつの正義の物語」をさっ…
書評 - 『晴れたら空に骨まいて』(ポプラ社)平松 洋子
大切な人の生を全うさせ新たに結ばれる弔いの儀式親しかった友人の死後二年経(た)って、彼の妻が「散骨をすませた」と教えてくれた。好きだった海…
書評 - 『幻の料亭・日本橋「百川」: 黒船を饗した江戸料理』(新潮社)平松 洋子
古典落語に「百川」という噺(はなし)がある。のっけから魚河岸の若い衆と田舎出の奉公人との言葉が行き違い、面白おかしいズレが軽妙な展開をみせる…
書評 - 『世界のおばあちゃん料理』(河出書房新社)平松 洋子
写真家が世界中を旅して、幸福な味と出会うなんと幸福な本だろう。料理写真集であり、女性のポートレート集であり、各国のレシピ集であり、人生の断…
書評 - 『四人の交差点』(新潮社)平松 洋子
フィンランドのベストセラー。秘密と企みに満ちた百年の物語十月下旬、東京・下北沢の書店「B&B」で、来日中の著者とのトークイベントの機会をもっ…
書評 - 『もし京都が東京だったらマップ』(イースト・プレス)平松 洋子
えっ、祇園が浅草!?あの京都がまるで違って見えてくる今年の初めごろ、ネットで大評判になっている地図を見て、えっ!と意表を突かれたのは、記憶…
書評 - 『築地魚河岸ブルース』(東京キララ社)平松 洋子
労働の質量が生み出す築地市場という名の「生命体」築地市場に足を運ぶとき、いつも思うことがある。正門の手前、海幸橋のあたりで空気がすうっと一…
書評 - 『わたしの土地から大地へ』(河出書房新社)平松 洋子
写真家サルガドの個人史を追う公開中の映画『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』(事務局注:現在は公開終了)は、ヴィム・ヴェンダース…
書評 - 『女、今日も仕事する』(ミシマ社)平松 洋子
クビから一転、社長職から得た処方箋春先に一週間、伊豆へ断食に行くのを恒例行事にしている。毎年通ううち、気づいたことがある。参加者に、仕事上…
書評 - 『スキマの植物の世界』(中央公論新社)平松 洋子
じつは、悠々自適なのかもしれない家を出て仕事場に向かうとき、楽しみにしている道がある。小学校の通学路なのだが、空気がユルくて、あちこちにあ…
書評 - 『小説家の開高さん』(フライの雑誌社)平松 洋子
ほろ苦い余韻残す男たちの短編土方のマサ。ヒッピーのエンディ。大工のウィリー。オカマの次郎さん。熊撃ちの征三さん……武骨で、不器用で、率直で、…
書評 - 『中国コメ紀行 すしの故郷と稲の道』(現代書館)平松 洋子
自分の舌でルーツ探る本気の旅中国の汽車には「無座」(席なし)というシビアな切符がある。目的地までえんえん十六時間もかかるのに、駅の窓口で「…
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