1970(昭和45)年岡山市生れ。国際日本文化研究センター准教授。2002年、慶應義塾大学文学研究科博士課程修了。博士(史学)。日本学術振興会特別研究員、慶應義塾大学非常勤講師などを経て現職。著書に『武士の家計簿』(新潮ドキュメント賞)、『殿様の通信簿』『近世大名家臣団の社会構造』など。もっと読む
- 『古墳』(KADOKAWA)磯田 道史
「地方主体」へ、コペルニクス的転回日本人が古墳を作ったのではない。古墳づくりが日本と日本人を作った。そう思っている。以前、著者と話したこと…
書評 - 『長崎丸山遊廓 江戸時代のワンダーランド』(講談社)磯田 道史
「裏の国際貿易」莫大な富の行方徳川日本は「鎖国」をしていた。日本人の海外渡航はほぼ禁止だが、長崎・松前(北海道)・琉球(沖縄)・対馬の四つ…
書評 - 『日本の都市化: 刈谷の工業と政治』(丸善プラネット)磯田 道史
米国人が調査分析、経済成長の実情本書は長らく「幻の本」であった。著者はゲリ・D・アリンソンという既に物故の米国人日本研究者。第二次大戦で敗…
書評 - 『西行:歌と旅と人生』(新潮社)磯田 道史
桜の季節日本的な自由人の生き方日本人は西行が好きで本も多いが、本書は西行の書物として近年稀にみる良書である。著者の寺澤行忠氏は西行の歌集『…
書評 - 『貝輪の考古学―日本列島先史時代におけるオオツタノハ製貝輪の研究』(新泉社)磯田 道史
日本列島人の忘れられた装身具史「今の人は結婚式でダイヤの指輪を交換するけれど、縄文人や弥生人はどうしていたの?」。私は日本文教出版の教科書…
書評 - 『古墳・モニュメントと歴史考古学』(雄山閣)磯田 道史
卑弥呼など、実証の上に立つ推理考古学者は慎重居士だがこの論文集は違う。「真の考古学は実証の上に立つ推理の学であるべき」と、大胆に「推理」に…
書評 - 『論争 関ヶ原合戦』(新潮社)磯田 道史
第一人者がこの30年の新説を再検討この30年近く、笠谷和比古氏は関ケ原合戦研究の台風の目であり続けた。笠谷氏の「関ケ原合戦」論を短くまとめると…
書評 - 『平氏―公家の盛衰、武家の興亡』(中央公論新社)磯田 道史
近代までたどり先入観を一掃平氏(へいし)は有名だ。でも誤解されている。「驕る平家は久しからず」と言われるが、そもそも平氏は滅びたのか。本書…
書評 - 『ひげの殿下日記: The Diary of the Bearded Prince』(小学館)磯田 道史
率直かつ赤裸々な戦後皇族の内情皇族の著作は世に少なくない。平安時代の宇多天皇などは猫の飼育記まで残している。天皇が記せば宸記(しんき)、親…
書評 - 『宮廷女性の戦国史』(山川出版社)磯田 道史
「三人官女」の実態を考察し見えてくるものかつての戦国史は世界の半分もみていない味気ないものだった。男性の武将の話ばかり。たまに女性が出てき…
書評 - 『江戸の宇宙論』(集英社)磯田 道史
太陽系外生命体や宇宙人の存在を予見私事で恐縮だが、私は歴史少年かつ天文少年で、昼は古墳を巡り、夜は晴れれば、星を眺めた。だから、前方後円墳…
書評 - 『方長老上京日史・飲冰行記』(ゆまに書房)磯田 道史
真の事実と、記録された事実江戸時代、漢城(ソウル)に入った日本人はまことに少なかった。朝鮮は琉球の漂流民を漢城の施設に入れることはあっても…
書評 - 『新型コロナワクチンの光と影 誰も報じなかった事実の記録』(方丈社)磯田 道史
「因果関係不明」求められる後遺症の検証最初にことわっておく。本書の見解と私の見解はかなり違う箇所もある。また著者のCBCテレビアナウンサー大…
書評 - 『中国パンダ外交史』(講談社)磯田 道史
かわいさ故に 「国策動物」の発見と利用パンダが町にやってきた時の熱狂を私は憶えている。東京ではない。1988年の岡山だ。「殿様(旧藩主)の動物…
書評 - 『鬼と日本人の歴史』(筑摩書房)磯田 道史
外国人排除、侵略正当化の道具に鬼は日本を見る鏡のようなものである。鬼という字は中国由来だ。元来、中国では鬼は死者の霊であり、死ねば皆、鬼と…
書評 - 『山岡鉄舟・高橋泥舟:もとの姿はかわらざりけり』(ミネルヴァ書房)磯田 道史
「徳を積むことで勝て」愛されるゆえん「幕末三舟」は勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟だ。海舟は有名だ。鉄舟も江戸無血開城で知られるが、泥舟は知名度…
書評 - 『幕府海軍-ペリー来航から五稜郭まで』(中央公論新社)磯田 道史
誕生と転換、内戦、解体を丹念に幕府海軍は短命だった。存在したのは十三年ほど。旧幕府艦隊として箱館方面に脱走した期間を入れても十五年ほどだ。…
書評 - 『古代国家形成期の社会と交通』(同成社)磯田 道史
奈良盆地に王権、分水嶺から考察日本列島での国家誕生にはロマンがある。3世紀の「邪馬台国」や記録が少ない「空白の4世紀」、5世紀の巨大古墳は歴…
書評 - 『明治の説得王・末松謙澄 言葉で日露戦争を勝利に導いた男』(集英社インターナショナル)磯田 道史
棒読み時代 言葉の力を再認識明治の近代化はよく進取の気性に富み勤勉で倫理的だったからできたと言われるが、肝心な要素の指摘が抜けている。言葉…
書評 - 『「明治」という遺産:近代日本をめぐる比較文明史』(ミネルヴァ書房)磯田 道史
「融通」が力の源泉だった『「明治」という遺産』という題だが、明治維新の顕彰本でも礼賛本でもない。とにかく重厚な本である。なにしろ国内外の第…
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