1928年、台北生まれ。台北帝国大学付属医学専門部中退。引き揚げ後、新聞記者や編集者等を経て執筆活動に入り、大衆文学の研究に取り組む。1966年『大衆文学論』で芸術選奨、1990年『大衆文学の歴史』で吉川英治文学賞を受賞。1994年、紫綬褒章を受章。1993年~1997年日本ペンクラブ会長。日本文芸家協会理事。大衆文学研…もっと読む
- 『新装版 翔ぶが如く』(文藝春秋)尾崎 秀樹
「明治」という時代を鮮やかに明治の新政府が築いてきた近代化の道は、現代にまでさまざまな糸をひいている部分が少なくないが、そうした問題にたい…
書評 - 『江戸の女/江戸の花街』(中央公論社)尾崎 秀樹
『江戸の女/江戸の花街』(『三田村鳶魚全集〈第11巻〉』(中央公論社))三田村鳶魚(えんぎょ)は江戸学の泰斗だった。八王子千人同心の家に生まれた…
書評 - 『吉里吉里人』(新潮社)尾崎 秀樹
笑いに包んだ壮大なテーマ井上ひさしは言葉にふかい関心をもつ作家である。彼は日本語の言葉あそびの伝統を復活させるとともに、方言で悩んだ彼自身…
書評 - 『落日燃ゆ』(新潮社)尾崎 秀樹
淡々と死の道を歩んだ広田弘毅東京裁判で東条英機ら七人がA級戦犯として死刑の判決をうけ、絞首刑となってから、すでに二十五年たった。このことは…
書評 - 『私説国定忠治』(中央公論新社)尾崎 秀樹
壮絶に生きた男への深い共感国定忠治はうどんが好きだったという。あやまって灰の中に落したものまで拾い、灰のついたまま食べたという話さえある。…
書評 - 『未踏の時代』(早川書房)尾崎 秀樹
SFにすべて捧げたパイオニア福島正実は文字どおりSFのオニだった。ベムと評した人もいる。「SFマガジン」の初代編集長として、SFにたいする誤解や偏…
書評 - 『新版 江戸から東京へ〈1〉麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷』(中央公論社)尾崎 秀樹
幕末・明治を伝える得がたい記録「江戸から東京へ」は歴史・文学散歩のはしりともなった読み物である。報知新聞の社会部記者だった挿雲が、部長の野…
書評 - 『甘粕大尉』(筑摩書房)尾崎 秀樹
現代史のナゾを洗い出す甘粕正彦は、関東大震災の直後におこった大杉栄虐殺事件の犯人として知られているが、むしろ彼のはたした歴史的な役割は、偽…
書評 - 『渡辺淳一 恋愛小説セレクション 5 化粧』(集英社)尾崎 秀樹
「細雪」とも似た展開渡辺淳一は彼が生まれ育った北海道とは対照的に、古い文化の伝統と日本的な情緒をもつ京都にたいして、かねてから憧れを抱き、…
書評 - 『濁流―雑談=近衛文麿』(毎日新聞社)尾崎 秀樹
東条暗殺計画のエピソードも近衛文麿は山本有三と一高入学当時の同級生である。しかし交渉がふかまるのは第二次近衛内閣のころかららしい。声明文の…
書評 - 『複合汚染』(新潮社)尾崎 秀樹
一庶民の感覚で近代文明に矢有吉佐和子はこれまでにも、女性の作家にはめずらしく社会性のある素材をとりあげてきたが、「複合汚染」は私たちが日常…
書評 - 『祖父・小金井良精の記 上』(河出書房新社)尾崎 秀樹
裏面史としての面白さも小金井良精は日本の解剖学や人類学の基礎を築いた医学者である。その二度目の妻は森鴎外の妹で、歌人・小説家としても知られ…
書評 - 『新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安』(講談社)尾崎 秀樹
人間味あふれる非情な殺し屋司馬遼太郎が次第に歴史づいていったあと、大衆時代小説のうまみを与えてくれるのは池波正太郎と早乙女貢くらいなものだ…
書評 - 『思い出トランプ』(新潮社)尾崎 秀樹
平凡に生きる男女の心の深淵放送作家として長いキャリアをもつ向田邦子が、はじめて書いた小説で直木賞を受賞したのは昨年夏だが、その受賞作三篇を…
書評 - 『人間の証明』(KADOKAWA/角川書店)尾崎 秀樹
教養小説風の情報・推理小説本格派のミステリーは、謎の構築とその論理的解明を主体とするが、同時に文学作品としても読めるものでなければならない…
書評 - 『新装版 手鎖心中』(文藝春秋)尾崎 秀樹
見失っていた笑いの次元開く日本の近代文学がその成立時に、近代的自我の確立という命題を追うあまりに見落してしまった、近世以来の庶民文芸の伝統…
書評 - 『新装版 斬』(文藝春秋)尾崎 秀樹
時代小説の新しい可能性示す首斬りの浅右衛門といえば、元禄期から明治初期へかけて死刑者の首斬りを稼業とした山田家代々の総称だ。それだけに一般…
書評 - 『乱調文学大辞典』(角川書店)尾崎 秀樹
パロディーの裏の本音筒井康隆には「欠陥大百科」という力作があるが、これはその文学版だ。ただし〈乱調〉のタイトルがしめすように、まぎれもない…
書評 - 『十二支考』(平凡社)尾崎 秀樹
ただただ感嘆の博覧強記南方熊楠(みなみかたくまぐす・一八六七~一九四一)は奇行をもって知られた、国際的なエンサイクロペディストである。もと…
書評 - 『戦中派不戦日記 山田風太郎ベストコレクション』(角川書店(角川グループパブリッシング))尾崎 秀樹
医学生が記録した昭和二十年山田風太郎といえば、忍法ものの作家として知られているが、この「不戦日記」は彼が医学生として在学中に書いた敗戦前後…
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