フランス文学者。元明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。元明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有…もっと読む
- 『自己中心の文学―日記が語る明治・大正・昭和』(博文館新社)鹿島 茂
大の日記マニアが描く、もう一つの出版史昭和三〇年代くらいまでの日本人はじつに日記が好きだった。人格の陶冶(とうや)を目的とする修養というエ…
書評 - 『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)鹿島 茂
二つの言語がはぐくんだ詩人の相貌猟奇的な少年犯罪が起きるたびに頭をよぎる本がある。ロートレアモン伯爵『マルドロールの歌』だ。肥大した自我を…
書評 - 『西洋製本図鑑』(雄松堂出版)鹿島 茂
なぜ自家装丁文化が日本にないのか日本は開国以来、あらゆる西洋文化を取りいれたが、定着しなかったものが二つある。一つは説得技法としての修辞学…
書評 - 『ポール・ヴァレリー 1871‐1945』(法政大学出版局)鹿島 茂
官能的な肉体に宿った自省的知性戦前から戦後にかけてのフランス文学ファンには小林秀雄経由が多かったが、そのコースは『地獄の一季節』からランボ…
書評 - 『科学から空想へ』(藤原書店)鹿島 茂
理性の斜面から挑んだフーリエ思想二〇世紀を動かした原理はマルクスではなく、サン・シモンのそれであった。これが私の結論である。では、二十一世…
書評 - 『自由への道』(岩波書店)鹿島 茂
二十一世紀的に蘇る成熟拒否の大作何年か前、サルトルの『嘔吐(おうと)』を読み返したら、時代が一回転したせいか、ひどく現代的な作品になってい…
書評 - 『音楽を展示する―パリ万博1855‐1900』(法政大学出版局)鹿島 茂
パリ万博が音楽に与えた知られざる影響万国博覧会はフランス語のエクスポジシオン・ユニヴェルセルを訳したものだが、訳語としては「万有博覧会」が…
書評 - 『貘の舌』(ウェッジ)鹿島 茂
エスプリに満ちた時事コラム集昭和末までは英米独仏露の文学・歴史をくまなく渉猟し、これをコラムにして知的読者の好奇心を刺激する博学の士がいた…
書評 - 『ナポレオン帝国』(岩波書店)鹿島 茂
「世界が一変」ロマンチック史観の解体歴史のアマチュアとして大いに不満なのは、日本には、様々な学説を要約・整理して「いま、どんな学説が台頭し…
書評 - 『死霊』(講談社)鹿島 茂
オタク小説としてよみがえる『死霊』小説の読み方には二つの方法がある。一つは小説をそれが書かれた時代に送り返し、その時代の状況や習慣などを考…
書評 - 『歴史人口学研究―新しい近世日本像』(藤原書店)鹿島 茂
人口の停滞期に坂本龍馬は現れないテレビの「龍馬伝」の影響か、巷(ちまた)には「第二の龍馬、出(いで)よ!」の声が満ちているが、歴史の教える…
書評 - 『大読書日記』(青土社)鹿島 茂
まえがきにかえて 理由は聞くな、本を読めすこし前のことだが、地方都市の図書館から「なぜ本を読まなければならないのか?」という演題で講演を依…
前書き - 『古文の読解』(筑摩書房)鹿島 茂
助動詞「む」は「will」から類推せよ「還暦すぎたら岩波文庫、それも赤帯(海外文学)じゃなくて、黄帯(日本古典)ですね」とは「今週の本棚」のレ…
書評 - 『マラルメ全集I 詩・イジチュール』(筑摩書房)鹿島 茂
思想書一巻をもしのぐ、凝縮された一行四半世紀ぶりに完結した「マラルメ全集」の最終配本『詩・イジチュール』には「この巻を亡き鈴木信太郎先生に…
書評 - 『ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活』(白水社)鹿島 茂
ばらは窓からまかれる汚水で枯れた太陽王ルイ十四世はヴェルサイユ宮殿の造営を決意したとき、フロンドの乱で敵対した王侯貴族も宮殿内に住み、王の…
書評 - 『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論)鹿島 茂
19世紀のオタクと現代をつなぐ「流体」どの世紀も変化は十五年たって発生し、以後、本格的にその世紀が始まる。一九一四年【第一次世界大戦】、一八…
書評 - 『オルレアン大公暗殺――中世フランスの政治文化』(岩波書店)鹿島 茂
王弟謀殺がなぜ大混乱を招いたのか歴史は長きにわたって「支配者(王、皇帝、天皇、将軍)の歴史」であり、同時に「事件(戦争、侵略、暗殺)の歴史…
書評 - 『パリ』(白水社)鹿島 茂
飽食と格差の都を描いた“予言”の書本書を手にとって巻末解説に目を通された読者は一八九八年刊のゾラの原書がすでに明治四一年(一九〇八)に飯田旗…
書評 - 『カミュ』(祥伝社)鹿島 茂
疎外されつつ誠実に生きた「異邦人」アルベール・カミュの代表作は『異邦人』だが、原題の「エトランジェ」には場違いな所に迷い込んで疎外感に苦し…
書評 - 『字幕の名工 ─ 秘田余四郎とフランス映画』(白水社)鹿島 茂
銀幕に名訳を刻んだ異才、知られざる素顔一つの世代にとっては絶対に忘れられない名前というものがある。現代ならアニメの声優(『ドラえもん』の野…
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