フランス文学者。元明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。元明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有…もっと読む
- 『ルパンの逮捕』(くもん出版)鹿島 茂
怪盗ルパンは今もいる怪盗ルパンといえば、なんといってもその変装・変身が有名である。警察や探偵がもっとも信頼をおいている人物に変身して、まん…
解説 - 『世界人物逸話大事典』(角川書店)鹿島 茂
もうひとつの真実『世界人物逸話大事典』の刊行が近づいた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年1月)。じつは、私は、この事典に対しては…
解説 - 『大菩薩峠〈9〉』(筑摩書房)鹿島 茂
「変な小説」の過激なキャラクター大衆小説は悪役が命とはよく言われることだが、『大菩薩峠』はその悪役が初めから主人公として登場する。これだけ…
解説 - 『芥川龍之介全集』(岩波書店)鹿島 茂
「時代病」を生きる保吉芥川龍之介では、自伝的系列の「保吉もの」が好きだ。とりわけ、横須賀海軍機関学校の英語教師だった時代の貧乏生活を描いた…
解説 - 『室町少年倶楽部』(文藝春秋)鹿島 茂
歴史に対する、とびきり愉快な別解別解というものがある。高校の数学などで、模範的解答のかたわらに、こうした解き方も可能であるとして添えられた…
解説 - 『山田風太郎明治小説全集 (4) 幻燈辻馬車』(筑摩書房)鹿島 茂
「異次元の歴史」の風太郎ワールド幻燈辻馬車。なんという見事なタイトルだろうか。鹿鳴館時代の東京の四辻に、薄ぼんやりとした幻燈に映し出された…
解説 - 『知識人の時代―バレス/ジッド/サルトル』(紀伊國屋書店)鹿島 茂
20世紀フランス知識人めぐる「時」の審判『知識人の裏切り』のジュリアン・バンダの定義に従えば、「知識人」とは人種や階級や国家といった現世利益…
書評 - 『華族家の女性たち』(小学館)鹿島 茂
「女系歴史学」から見る上層集団近年、遺伝子学では、男系を支えるY染色体ではなく、女系のみによって伝えられるミトコンドリアDNAに注目し、そこか…
書評 - 『靖国戦後秘史―A級戦犯を合祀した男』(毎日新聞社)鹿島 茂
あぶり出された背後の思惑戦後日本の右翼には不思議なことに「もう一度、英米と戦争をしなければならない」というリベンジ(復讐(ふくしゅう)戦争…
書評 - 『幻想の過去―20世紀の全体主義』(バジリコ)鹿島 茂
それはブルジョワの自己嫌悪だったもし、二〇世紀のあらゆる大衆的文芸の「悪者」を類型的に分類しようという野心を抱いた学者がいたとすると、その…
書評 - 『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎)鹿島 茂
日本版の実録《人間喜劇》バルザックの描くような濃密で人間臭い話って日本にも本当にあるんだ! すでにベストセラーの仲間入りをしている本書の読…
書評 - 『昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像』(岩波書店)鹿島 茂
歴史を単純化する「定説」を解体歴史の「定説」では、陸軍は二・二六事件直後に誕生した広田弘毅内閣が復活させた軍部大臣現役武官制(陸海軍大臣は…
書評 - 『文明としての教育』(新潮社)鹿島 茂
経験の仕方、方法論を教えるものこそこれは外国語教師を三十年やってきた経験から言うのだが、外国語教育において最も好ましいものは「強制」であり…
書評 - 『マン・レイ自伝 セルフ・ポートレイト』(文遊社)鹿島 茂
前衛芸術家の「交差点」に位置して一つの世紀には人物交差点のような万能の才人がいて、その才人に注目すれば、あらゆる文学者・芸術家、社交界人種…
書評 - 『漱石―母に愛されなかった子』(岩波書店)鹿島 茂
「欠如ゆえの過剰防衛」の秘密以前、夏目漱石がフランス文学をどう評価しているか気になって調べたことがある。総じて点が辛い中、モーパッサンの『…
書評 - 『甘粕正彦 乱心の曠野』(新潮社)鹿島 茂
「主義者殺し」か、合理主義的道徳家か甘粕(あまかす)正彦というと、関東大震災の混乱に乗じて大杉栄一家を惨殺した憲兵大尉で、出獄後に満州(現…
書評 - 『ルイ十六世』(中央公論新社)鹿島 茂
知られざる「最も優れた敗者」の素顔三年前、パリ行きの飛行機で『パリ・マッチ』を開いたら、与党と野党の大物政治家がともに「ヴァカンス中に読ん…
書評 - 『自己中心の文学―日記が語る明治・大正・昭和』(博文館新社)鹿島 茂
大の日記マニアが描く、もう一つの出版史昭和三〇年代くらいまでの日本人はじつに日記が好きだった。人格の陶冶(とうや)を目的とする修養というエ…
書評 - 『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)鹿島 茂
二つの言語がはぐくんだ詩人の相貌猟奇的な少年犯罪が起きるたびに頭をよぎる本がある。ロートレアモン伯爵『マルドロールの歌』だ。肥大した自我を…
書評 - 『西洋製本図鑑』(雄松堂出版)鹿島 茂
なぜ自家装丁文化が日本にないのか日本は開国以来、あらゆる西洋文化を取りいれたが、定着しなかったものが二つある。一つは説得技法としての修辞学…
書評