林 望NOZOMU HAYASHI
公式サイト: https://www.rymbow.com/
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学文学部卒業・同大学院博士課程単位修了満期退学(国文学専攻)。ケンブリッジ大学客員教授、東京芸術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社)で91年日本エッセイストクラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(P・コーニツキと共著、ケンブリッ…もっと読む
大正天皇の御製に遠く奈良平安の昔から天皇は風雅な資質をお持ちの方が多かった。そういう中で、大正天皇がとりわけて漢詩を善くされたことは特筆す…
こういう短歌もあり!かつて俵万智さんが『サラダ記念日』という短歌集を出した時、それはいかにも新しくて、なんだか切実で、それゆえに若い人たち…
仁義なき新聞?ロンドンの地下鉄出口あたりに、デイリー・ミラーとかザ・サンだとかの新聞立ち売りが出る。売り子はいい年のオヤジと相場が決まって…
朗読と漱石この四月から、私は、東京エフエムの衛星ラジオで『リンボウ先生の歌の翼に』という番組をやっている(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆時…
昔の健脚中里介山の超長編小説『大菩薩峠』に、七兵衛という盗賊が出てくる。この盗賊がまだ十一、二の子供の頃、夜半から夜明けまでのわずかな時間…
壮絶、そして愉快 どんな商売にもそれぞれの苦労というものがあるに違いない。 私と古本屋さんとのお付き合い長く、高校生のころから学校の行き帰り…
可笑しくて哀しい男たち 紀田順一郎さんの文章は、いつもすみずみまで明晰である。いわゆる博覧強記、新鮮な視点から切り取ったさまざまの事柄を、…
幕末の江戸は・・・ 十八世紀頃からイギリスにプラントハンティングという運動が盛んになった。これは動植物の宝庫たるアジア・アフリカ・南北アメ…
随時随所の読書に伝記というものを好むのは、私の性であって、こればかりは、どうしてだとも言いようがない。しかし、いやしくも歴史上に名を残した…
イギリス近代音楽史上の奇人伝日本はドイツ音楽の金城湯池なので、イギリスの作曲家など一向に興味なしという人が多い。試みに何人か名前を挙げてみ…
見事な魂の図録 美智子さまのご実家、正田家邸宅があっけなく取り壊されたが、ああした所謂西洋館建築は大正から昭和にかけて夥しく造られ、そして…
消閑の読書に絶好 この聞きなれない書物は、江戸時代の中ごろ、旗本の根岸鎮衛(やすもり)という物好きな人があって、ともかく小耳に挟んだり目に触…
健全な若き魂 後に慶応義塾の名塾長と謳われ、皇太子殿下の御養育にも当った小泉信三の青年時代の日記がこのほど初めて公開された(ALL REVIEWS事務…
実に以て面白しこのごろ読んだ書物のなかで、もっとも面白く、含蓄に富んだものはなんだと聞かれたら、私は躊躇なくこう答えるであろう。「それは嵐…
わが密かな愛読書この本は、昨日今日出版された新しい本ではない。1997年、もう四年も前のものである(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2001…
活き活きと能を見たい人へ能は難しい。それは当たり前といえば当たり前である。なにしろ、五百年も六百年も昔の芸能である。ことばも現代の口語とは…
書評を書くようになって、はや十年近く経った。そもそも、最初にこの世界に入り初めたのは、毎日新聞の書評欄を担当したときのことである。そのとき…
なるほどと頷きながら……この二〇〇一年からちょうど百年の昔、一九〇一という年は、日本の近代にとって、とりわけて大切な意味を持っている(ALL RE…
このごろ、私は詩集ばかり買い集めてはせっせと読んでいる。詩を読むのも書くのも、私は大好きだ。が、詩集は、玉石混交で、どちらかというと石のほ…
ちょっとこんな本も今回は少し風情の変わった本を紹介しようかと思う。 もともと私は文献学者であって、古い時代の、あのくにゃくにゃした崩し字を…