1940(昭和15)年兵庫県姫路市生れ。ドイツ文学者。翻訳、評論をはじめ、エッセイ、人物列伝、演芸・歌舞伎論など、執筆範囲は多岐にわたる。訳書に『カフカ短篇集』、『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に『二列目の人生』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)などがある。もっと読む
- 『ツヴァイク日記 1912~1940』(東洋出版)池内 紀
亡命作家“その人”を赤裸々にのぞかせた記録作家シュテファン・ツヴァイク(一八八一―一九四二)の日記は一九一二年から四〇年までにわたっている。…
書評 - 『火環: 八幡炎炎記 完結編』(平凡社)池内 紀
鉄の町の繁栄と衰退を背景に激動の戦後を生きる少女の物語いまは北九州市などと味けない名前だが、その前は若松、八幡、戸畑、小倉、門司の五市が関…
書評 - 『ことばだけでは伝わらない:コミュニケーションの文化人類学』(幻戯書房)池内 紀
手に負えないほど複雑な「伝え合い」優れた言語学者、文化人類学者だった西江雅之は二年前に亡くなった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は201…
書評 - 『日本精神史(上)』(講談社)池内 紀
よく眺め考え抜いた末の平易と緊迫タイトルからも、上下二巻・一○○○ページをこえるヴォリュームからも、大きなテーマを盛り込んだ大きな仕事である…
書評 - 『ある文人学者の肖像 評伝・富士川英郎』(新書館)池内 紀
父親の変身、精神的浄化を追って富士川家は三代にわたり学者がつづいた。祖父・富士川游(ゆう)(一八六五―一九四〇)は日本医学史研究の道を開い…
書評 - 『「男はつらいよ」を旅する』(新潮社)池内 紀
時代に取り残されたような小さな町を掬(すく)いあげた物語いま、ある世代以上の日本人は、よく覚えている。登場から退場までを見送った。姓は車(く…
書評 - 『百本杭の首無死体: 泉斜汀幕末探偵奇譚集』(幻戯書房)池内 紀
幻想小説の大家となった兄の陰で世相に長けた捕物帳を書いた鬼才知らなかった。まるきり知らなかった。泉鏡花に七つちがいの斜汀(しゃてい)という弟…
書評 - 『神主と村の民俗誌』(講談社)池内 紀
「信心は宗教にあらず」と気づく神崎宣武(のりたけ)さんは宮本常一門下の著名な民俗学者である。岡山の吉備(きび)高原の南端、宇佐八幡神社に生…
書評 - 『地獄めぐり』(講談社)池内 紀
死者の国では王もゴタマゼで その融通無碍ぶりが興味深いときおり旅先で出くわすことがある。古い温泉町のことが多い。町角に何かを祀(まつ)った祠(…
書評 - 『元祖・本家の店めぐり町歩き』(芸術新聞社)池内 紀
役立つことにはソッポを向く 「少年オトナ」のシャレたやりとり世の中にはオトナになりきらなかったオトナがいるものだ。オトナになり損ねたのか、…
書評 - 『書物の愉しみ 井波律子書評集』(岩波書店)池内 紀
枠越え躍動する空気を自在に描写中国文学者井波律子には中国の古典の膨大な翻訳がある。抜群の語学力と豊かな文藻が、生み出した。優れた中国語の力…
書評 - 『万年筆バイブル』(講談社)池内 紀
この小さな恋人ができると「毎日が、人生が変わる」高校に受かったとき、バス会社の売店に勤めていた姉が丸善で万年筆を買ってくれた。当時、私の郷…
書評 - 『飛族』(文藝春秋)池内 紀
語り部が紡ぐ空と海と人の物語村田喜代子は現代の語り部である。一九七七年のデビュー以来四十二年、少しも筆力は衰えない。それどころか、一作ごと…
書評 - 『奥本大三郎随想集 織田作之助と蛍』(教育評論社)池内 紀
小うるさく小難しいのを脇に置き 等身大の著者の姿を刻みつけたタイトルにそえて小さく「奥本大三郎随想集」とある。随想とは懐かしい言葉だ。ちか…
書評 - 『フクロウの家』(白水社)池内 紀
フクロウへの愛と敬意をもって生活と習性と知恵を克明に記すフクロウは絵になる鳥である。月光を背に、梢(こずえ)に凝然ととまっている。金色の二つ…
書評 - 『動物園巡礼』(東京大学出版会)池内 紀
不自然で無理のある施設はじめに動物園の動物に対するまちがった見方が正してある。たいていの日本人がいだいている見方であって、動物園の動物は現…
書評 - 『中国奇想小説集: 古今異界万華鏡』(平凡社)池内 紀
奇想のなかで重んじる論理魯迅は幼いころの思い出をつづった「阿長(アチャン)と『山海経(せんがいきょう)』」のなかで、奇想の動物誌というべき…
書評 - 『シャガール: 愛と追放』(白水社)池内 紀
「適応と抵抗」のはざまに生きた芸術家の足跡おしまいから三つ目の章に、ピカソとシャガールが少年のように顔をくっつけ合った写真がある。一九五二…
書評 - 『水都ヴェネツィア』(法政大学出版局)池内 紀
人と自然と建造物が有機体となって生きる街たいていの人にヴェネツィアはイタリア観光の目玉である。ツアーコースをあわただしく廻(まわ)って、あわ…
書評 - 『本屋風情』(KADOKAWA)池内 紀
斯界の権威にとらわれずかつて陸軍幼年学校にはじまる軍人コースは、少年の憧れの的だった。しかし、せっかくそのコースに入ったのに、詩人三好達治…
書評