(1948年-1999年)ミステリー評論家、映画評論家、編集者。1982年に読書人向けの雑誌『BOOKMAN』を創刊。まだメジャー化する前の呉智英、荒俣宏を起用し、岩波文庫から刊行されている、「知られざる名著・奇書」を紹介した。その後も、「新書特集」や「古書店カタログ」などの個性的な特集を組み、本好きの間でカルト的な…もっと読む
- 『ルーフォック・オルメスの冒険』(東京創元社)瀬戸川 猛資
カミは一九二〇年代のフランスのナンセンス作家である。わが国では雑誌「新青年」によって紹介され、人気を誇った。『エッフェル塔の潜水夫』も有名…
書評 - 『シャドウボクサー』(早川書房)瀬戸川 猛資
一九六〇年代後半に登場、『クレムリンの密書』と『シャドウボクサー』の二作を発表しただけで彗星のごとく去っていった作家が、ノエル・べーンであ…
書評 - 『閉電路』(早川書房)瀬戸川 猛資
もはや翻訳されなくなってしまったが、イァン・フレミングと現代の冒険スパイ小説を結ぶものとして、ウィリアム・ハガードの作品は重要である。代表…
書評 - 『生きている痕跡』(早川書房)瀬戸川 猛資
ハーバート・ブリーンの長篇ミステリはわずかに七作。一般にはジョン・ディクスン・カー風の趣向を盛った『ワイルダー一家の失踪』が代表作とされる…
書評 - 『3、1、2とノックせよ』(東京創元社)瀬戸川 猛資
フレドリック・ブラウンはSFではあれほどの奇才を発揮するのに、なぜミステリになると駄目になるのか――これは昔から謎とされてきた興味深い問題だが…
書評 - 『ギャラウェイ事件』(早川書房)瀬戸川 猛資
アンドリュウ・ガーヴの小説は何を読んでもおもしろいが、この作品は最高におもしろい。新聞記者がイギリス海峡のジャージー島で、偶然に出会った美…
書評 - 『歯と爪』(東京創元社)瀬戸川 猛資
これは最高のサスペンス小説である。この傑作がなぜ海外で評価されていないのか、日本でもさほど評価が高くないのか、理解できない。カットバック手…
書評 - 『ねらった椅子』(東京創元社)瀬戸川 猛資
さあ困った、困った。ジュリアン・シモンズは何を挙げればいいのかしらん? 彼はミステリ界きっての論客である。批評家であり、学者であり、伝記作家…
書評 - 『大時計』(早川書房)瀬戸川 猛資
大出版社の社長の愛人に、その部下の雑誌編集長が手を出すが、社長はそれを知らない。ある日、二人は愛人のアパートの前ですれ違う。編集長は気がつ…
書評 - 『男の首』(東京創元社)瀬戸川 猛資
ジョルジュ・シムノンの代表作であり、メグレ警視物の最高傑作とされる。しかし、本当にそれだけの価値があるかどうかはわからない。シムノンが二十…
書評 - 『緑のマント』(筑摩書房)瀬戸川 猛資
ジョン・バカンと言えば『三十九階段』と昔から決まっているが、あのスパイ小説はいま読むと古めかしい。本書のほうが断然おもしろい。理由はテーマ…
書評 - 『夜の熱気の中で』(早川書房)瀬戸川 猛資
舞台は南部。カロライナのウェルズという町で白人男性の他殺死体が発見され、警官が駅の待合室にいた黒人を容疑者としてしょっぴく。ところが、この…
書評 - 『ダムダム』(早川書房)瀬戸川 猛資
こんなものを推薦した覚えはないのだ。大量のカーター・ブラウン・ミステリから代表作を選ぶとすれば、まあ『ブロンド』か『死体置場は花盛り』が妥…
書評 - 『イマベルへの愛』(早川書房)瀬戸川 猛資
チェスター・ハイムズはフランスで発見された黒人作家である。ミズーリの生まれ、十代で犯罪を犯し、刑務所に服役したのを契機に作家となるが、アメ…
書評 - 『失踪当時の服装は』(東京創元社)瀬戸川 猛資
一九五〇年三月三日、マサチューセッツ州ブリストルの女子大からマリリン・ロウエル・ミッチェルという女子大生が失踪する。ブリストルの警察署長ク…
書評 - 『氷結の国 (1970年) (世界ロマン文庫〈13〉)』(筑摩書房)瀬戸川 猛資
昭和四十年代の半ばに筑摩書房から刊行された〈世界ロマン文庫〉全二十巻。異色の佳作がずらりと並ぶこの全集のなかでもとりわけ異色なのが、リチャ…
書評 - 『迷宮課事件簿』(早川書房)瀬戸川 猛資
スコットランド・ヤードに迷宮課なる部署が存在する。他の捜査課が迷宮入りとして見放した証拠品やファイルを保存しておき、情報の偶然性に頼って事…
書評 - 『ギリシア棺の謎』(東京創元社)瀬戸川 猛資
エラリー・クイーンの国名シリーズのいずれを最高作とするかはなかなか難題だが、筆者は躊躇なく本書を推す。ニューヨークのギリシア美術商の墓のな…
書評 - 『ビッグ・ボウの殺人』(早川書房)瀬戸川 猛資
密室トリック及びもうひとつの大トリック(これは書けない)をいち早く使用した古典として、ミステリ史にその名を記す作品。しかし、こうしたトリッ…
書評 - 『赤毛のレドメイン家』(東京創元社)瀬戸川 猛資
史上に残る名犯人小説イーデン・フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』(一九二二)は、江戸川乱歩が最高に愛した長篇である。昭和十年、翻訳家の井…
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