1946年生まれ。埼玉県浦和市(現・さいたま市)出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社勤務などを経て文筆業に。1985年より「サンデー毎日」誌上で連載コラムの執筆を開始、現在まで続く。著書に『小津ごのみ』『アメーバのように。私の本棚』『今夜も落語で眠りたい』『この世は落語』『歌舞伎のぐるりノート』『晴…もっと読む
- 『夢十夜 他二篇』(岩波書店)中野 翠
「ちょうどこんな晩だったな――という、あの言葉はこわかった」と作家の夢枕獏さんが言った。先日、マンガ好きの人たちのおしゃべりの会に私も同席さ…
書評 - 『ヰタ・セクスアリス』(新潮社)中野 翠
本棚の整理をしていたら、筑摩書房の『現代文学大系4・森鷗外集』が出てきた。大学時代に古書店で買ったものだ。パラパラめくってみると、ところどこ…
書評 - 『日本文壇史1 開化期の人々』(講談社)中野 翠
読書家の友人にすすめられて読んでみたのだが、いやー、面白かった、伊藤整の『日本文壇史1――開化期の人々』(講談社文芸文庫)。例によって私は知ら…
書評 - 『不道徳教育講座』(角川書店)中野 翠
何年ぶりだろう。二十五年か三十年ぶりに(!)三島由紀夫の『不道徳教育講座』を読み直してみた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1995年頃)…
書評 - 『偉大な姉妹』(新潮社)中野 翠
『偉大な姉妹』(『ラディゲの死』(新潮社)収録)あれから二十五年もたってしまったのかと、あらためて驚く(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1…
書評 - 『草枕』(新潮社)中野 翠
昨年あたりからむしょうに明治・大正のカビくさい本を読みたくなって来た。きっかけの一つは、正岡子規の日記『仰臥漫録』をたまたま読んで、その奇…
書評 - 『自由学校』(筑摩書房)中野 翠
この頃なぜか、昭和三十年代、つまり私が子どもだった頃に活躍していた画家たちのことを懐かしく思い出す。とくに猪熊弦一郎、鈴木信太郎、宮田重雄…
書評 - 『寺田寅彦随筆集』(岩波書店)中野 翠
前項は岩波文庫版の『柿の種』のことを書いたが、私、どうも寺田寅彦が好きなようだ。エッセーが面白い。何となくおかしくて、しかも頭がよくなるよ…
書評 - 『柿の種』(岩波書店)中野 翠
岩波文庫から新しく『柿の種』が出たので、さっそく買って読んでみた。面白い。文庫版であっても、品のいい愉しい装丁で、本文中の草花状のマークも…
書評 - 『日本古典文学大系 38 御伽草子』(岩波書店)中野 翠
御伽草子『あきみち』「趣味人」「道楽者」「隠者」などの言葉にたいへんに憧れているのだが、どういうわけだか、なかなか娑婆気(しゃばっけ)が抜…
書評 - 『くノ一紅騎兵』(KADOKAWA)中野 翠
山田風太郎さんにお会いしたのは、一九九四年の冬のある日のことだった。『小説現代』から対談してみないかというお誘いがあり、無謀にも乗ったのだ…
解説 - 『猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第3巻 マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一』(小学館)中野 翠
川端と大宅軸に描く大正のメディア絵図青春のガツガツ──。それが本書の一番の魅力だ。「濃い人」が続々登場する。若き日の川端康成と大宅壮一を主軸…
書評 - 『東京に暮す―1928~1936』(岩波書店)中野 翠
これ、名著です。それもとびきり愉快でお洒落な名著です。「さすが岩波文庫、お目が高い」と言いたくなるような。タイトル通りイギリスの女の人によ…
書評 - 『少年民藝館』(筑摩書房)中野 翠
初めて世に出たのは二十四年前というロングセラー本なので(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年。『少年民藝館』初版は1984年)、今さら紹…
書評 - 『初山滋―永遠のモダニスト』(河出書房新社)中野 翠
生まれてもいないのに、戦前昭和(つまり一九二〇年代後半から三〇年代)のモダニズム文化に郷愁のようなものを感じる。その時代の映画、美術、ファ…
書評 - 『マリナー氏の冒険譚』(文藝春秋)中野 翠
P・G・ウッドハウスはイギリスの愛すべき偉大な作家だ。ただの偉大な作家ではない、「愛すべき」という言葉を添えずにはいられない作家なのだ。その…
書評 - 『年を歴た鰐の話』(文藝春秋)中野 翠
表紙に「幻の名訳、遂に復刻」というキャッチフレーズがあるけれど、それは決して大げさではない。名編集者にして名コラムニストだった山本夏彦さん…
書評 - 『ザボンの花』(みすず書房)中野 翠
書店でこの本を見た瞬間、手に取らずにはいられなかった。表紙の色がいい。とっても綺麗な、深い赤。『ザボンの花』(みすず書房)というタイトルと…
書評 - 『うつくしく、やさしく、おろかなり―私の惚れた「江戸」』(筑摩書房)中野 翠
「江戸」に興味があるかないかは二の次だ。それよりも……ちょっとキタナイが……「人間一生糞袋」という言葉に笑ってうなずくか、それとも眉をひそめる…
書評 - 『ぼくの美術帖』(みすず書房)中野 翠
出版不況と言われる中で、今年の春、うれしいことがあった。(事務局注:本書評執筆は2006年)一九八二年(何ともう四半世紀近く前だ)にPARCO出版か…
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