1946年生まれ。埼玉県浦和市(現・さいたま市)出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社勤務などを経て文筆業に。1985年より「サンデー毎日」誌上で連載コラムの執筆を開始、現在まで続く。著書に『小津ごのみ』『アメーバのように。私の本棚』『今夜も落語で眠りたい』『この世は落語』『歌舞伎のぐるりノート』『晴…もっと読む
- 『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』(集英社)中野 翠
イヤな言葉がはやる。近頃(たぶんこの二、三年・ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2005年)私が最も嫌っている言葉は「勝ち組・負け組」という…
書評 - 『気晴らしの発見』(新潮社)中野 翠
『気晴らしの発見』(新潮文庫)を読みながら、私は、あのときの青空をたびたび思い出した。十年ほど前、体に異変があり、深刻な病気ではないかと心…
解説 - 『昭和遺産な人びと』(新潮社)中野 翠
泉麻人さんの「ノスタルジーもの」の本は好んで読んでいるが、そのたびにウッスラと不思議な気持になる。泉さんと私では、世代が一昔ほど違う。それ…
書評 - 『千年の夢―文人たちの愛と死』(小学館)中野 翠
読み終えて、茫然となった。これは何と鮮明で濃厚なまぼろしなのだろう。心惹かれた何人かの人びとが紙の中から立ちあがり、動き出す。岡本一平がぼ…
書評 - 『親子丼の丸かじり』(文藝春秋)中野 翠
東海林さだおさんのことを書きたいのだが、まず私自身の話で失礼してしまう。おまえの話なんか聞きたくないわいと思うかたも多いだろうが、だいじょ…
解説 - 『偏食的生き方のすすめ』(新潮社)中野 翠
いきなりですが、(『偏食的生き方のすすめ』の)百八十一ページに注目していただきたい。中野翠の名が出て来る。著者は『人生を〈半分〉降りる』と…
解説 - 『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』(マガジンハウス)中野 翠
やっぱり人材輩出の当たり年というのはあるらしい。慶応三年、つまり江戸最後の年に夏目漱石・宮武外骨・南方熊楠・幸田露伴・正岡子規・尾崎紅葉・…
書評 - 『銭湯の女神』(文藝春秋)中野 翠
女性誌や広告の世界で幅をきかせている言葉の数かず――「ほんとうの私」「自然体で生きる」「ワンランク上の女になる」などにウンザリしている人には…
書評 - 『評伝 黒沢明』(毎日新聞社)中野 翠
神格化の快楽というのは確かにある。美空ひばり、渥美清、長嶋茂雄といった人びとを神のように祭りあげ無批判に崇拝するのは、上等な趣味ではないが…
書評 - 『ものがたり 芸能と社会』(白水社)中野 翠
俳優・小沢昭一の初めての著書『私は河原乞食・考』が出版されたのは今からちょうど三十年前のことだった。ファンの私はもちろん読んだ。芸能および…
書評 - 『きみは、どこへ行くのか』(新潮社)中野 翠
「腹の虫」には泣かされて来た。いったいどういう因果でそうなったのかわからないが、物心ついた頃にはもう妙な虫が棲みついていた。わけもわからず…
書評 - 『和菓子屋の息子―ある自伝的試み』(新潮社)中野 翠
私は「下町情緒」が嫌いだ。美しくないから。今、目にしたり耳にしたりする「下町情緒」ほど怪しく気味の悪いものはない。そもそも、あの、勘亭流ま…
解説 - 『自虐の詩』(竹書房)中野 翠
一人でも多くの人に読んでもらいたいと思っていたところだ。いい機会だ。業田良家のマンガ『自虐の詩』(上下二巻、竹書房文庫)を強力におすすめし…
書評 - 『東京―1934~1993』(新潮社)中野 翠
十五年ほど前だったと思うが、カメラマンの荒木経惟(のぶよし)さんの事務所にうかがったときのことである。四方の壁はたくさんの写真で埋め尽くさ…
書評 - 『背負い水』(文藝春秋)中野 翠
いきなりミもフタもない言い方になるが、私の心からの叫びだ。お願いですから、純文学のかたがたには「今、時代をどのようにとらえるか」なんていう…
書評 - 『暗い旅』(河出書房新社)中野 翠
倉橋由美子さんの著作を好んで読んでいたのは、はるか昔。二十代初めから半ばにかけての数年間だ。私は二十代の最後に親もとを離れて一人暮らしを始…
書評 - 『志ん朝の落語〈1〉男と女』(筑摩書房)中野 翠
二〇〇一年十月一日。古今亭志ん朝さんが六十三歳でこの世を去った。それから二年、志ん朝さんの名演を一字一句ゆるがせにせずに記録した本が「ちく…
書評 - 『みんな夢の中―マイ・ラスト・ソング〈2〉』(文藝春秋)中野 翠
久世光彦『みんな夢の中』(文藝春秋)は、一昨年春に出版された『マイ・ラスト・ソング』の続編だが、前回よりさらに面白く、読みごたえのあるもの…
書評 - 『手塚治虫の時代』(大陸書房)中野 翠
私はできるだけ乱暴に単純に生きたいと思っている。だから、男はこうだ女はこうだと言うのは嫌いで、「男も女もたいして変わらない。男にも女にも①面…
書評 - 『人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ』(筑摩書房)中野 翠
ヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン・天使の詩』(87年)という映画の中にこんな詩が出て来る。この映画の脚本作りに協力したペーター・ハントケ…
解説