1946年生まれ。埼玉県浦和市(現・さいたま市)出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社勤務などを経て文筆業に。1985年より「サンデー毎日」誌上で連載コラムの執筆を開始、現在まで続く。著書に『小津ごのみ』『アメーバのように。私の本棚』『今夜も落語で眠りたい』『この世は落語』『歌舞伎のぐるりノート』『晴…もっと読む
- 『恐怖時代』(中央公論新社)中野 翠
ウニだのイクラだのキャビアだの、へんな、しつこい味のするものが好きである。もったいぶった値段がついているのも、正しい。ああいうものはほんの…
書評 - 『日本への遺言―福田恒存語録』(文藝春秋)中野 翠
◆「私」と「彼」の距離このところ新聞やテレビでは、(いわゆる)ら抜き言葉をめぐる論議が取りあげられているのだが、その報道に接するたび、私は…
書評 - 『人情馬鹿物語』(光文社)中野 翠
今年(一九九四年)は江戸川乱歩とともに徳川夢声の生誕百年に当たる年だそうで、『徳川夢聲の世界I、II』(深夜叢書)という対談集が出版された。対…
書評 - 『随筆集 明治の東京』(岩波書店)中野 翠
鏑木清方画伯の回顧展を見に行くと、いつも狂おしい気持に襲われる。買いたい、手に入れたい、所有したい、ここにある絵のすべてが欲しい! と思って…
書評 - 『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』(玄光社)中野 翠
昨年(’08年)の秋の日曜日のことだった。画家・茂田井武(もたいたけし)の回顧展を見にでかけた。雨の降りしきる中、思い切って見に行ってよかった…
書評 - 『岡本一平漫画漫文集』(岩波書店)中野 翠
一九九五年秋に岩波文庫から出版された『岡本一平漫画漫文集』が面白かった。岡本一平には以前から興昧があった。作家・岡本かの子の夫であり、画家…
書評 - 『丹下左膳 乾雲坤竜の巻〈上〉』(講談社)中野 翠
昨年、『大菩薩峠』を読んで、机龍之助ってほんとうはこんなふうに描かれていたのかと、面白く思った。片岡千恵蔵や市川雷蔵の映画によってできあが…
書評 - 『奇想小説集』(講談社)中野 翠
山田風太郎の小説を読むたび、いつも不思議に思っていたことがある。山田風太郎の小説は、忍法ものをはじめとしてほとんどすべてが「奇想小説」と呼…
解説 - 『第七官界彷徨・琉璃玉の耳輪 他四篇』(岩波書店)中野 翠
尾崎翠『第七官界彷徨』『第七官界彷徨』という不思議なタイトルの小説と出会ったのは、昭和四十四年のことだ。學藝書林というところから「現代文学…
書評 - 『新版-犬が星見た-ロシア旅行』(中央公論新社)中野 翠
来年こそ日記を書こう……さて。私の一番の憧れは武田百合子の日記である。彼女の日記ほど五官のよさを感じさせるものは珍しいだろう。『犬が星見た』…
書評 - 『樋口一葉』(筑摩書房)中野 翠
私は一葉が好きだが、ただもう楽しんでいるだけで研究的情熱には乏しい。詳しいわけでも何でもない。だから「解説」といったものは書けないのだが、…
解説 - 『ホット・ロック』(角川書店)中野 翠
知り合いの編集者Aは愉快なおしゃべり野郎で数かずの名言を残しているが、中でも私が気に入ったのは、「うちの会社、キレモノが居ませんがクセモノは…
解説 - 『新編 風の又三郎』(新潮社)中野 翠
宮沢賢治には興味がなかった。宮沢賢治といったら、何といったって「ミソとショーユの人」である。中学時代だったか教科書に「雨ニモマケズ 風ニモマ…
書評 - 『福田恆存全集〈第1巻〉』(文藝春秋)中野 翠
『福田恆存全集』半年ほど前、ついに決意して『福田恆存全集』(文藝春秋)を入手した(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は1992年)。気になる表題…
書評 - 『五重塔』(岩波書店)中野 翠
四、五年前から、にわかに古典落語に興味を持ち、カセットテープを次々に買って、集中的に聴くようになった。夜眠るときはテープをオートリバースに…
書評 - 『アメーバのように。私の本棚』(筑摩書房)中野 翠
文庫版あとがき平成の初めから今に至るまで――。約二十年の間に書いた書評の中から、特に「これは残したい」と思ったものを中心に選んで、一冊にまと…
後書き - 『ボロ家の春秋』(筑摩書房)中野 翠
『ボロ家の春秋』(『梅崎春生 (ちくま日本文学全集)』(筑摩書房)収録)空手だか柔道だか知らないが、「寸止め」というのがあるらしいじゃないか。相…
解説 - 『私の幸福論』(筑摩書房)中野 翠
不幸にたえる術としての幸福論福田恆存は一九九四年十一月二十日に亡くなった。オウム真理教の人びとによる地下鉄サリン事件も知らず、「援助交際」…
解説 - 『茗荷谷の猫』(文藝春秋)中野 翠
あんまり例のない、面白い趣向の小説だ。時代は江戸の終わりから東京オリンピックの昭和三十九年前後まで。場所は巣鴨に始まり千駄ヶ谷に終わる、二…
書評 - 『今戸心中―他二篇』(岩波書店)中野 翠
『変目伝』ヘメデン?! 思わず私は聞き返した。ニカ月ほど前、ある雑誌の仕事で久世光彦さんにお会いしたときのことだ(ALL REVIEWS事務局注:本書評…
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