1952年京都市生れ。京都大学名誉教授。『乱視読者の帰還』で本格ミステリ大賞、『乱視読者の英米短篇講義』で読売文学賞を受賞。主な訳書にナボコフ『透明な対象』、『ディフェンス』、『ナボコフ短篇全集』(共訳)、リチャード・パワーズ『ガラテイア2.2』など。もっと読む
- 『アラバスターの手: マンビー古書怪談集』(国書刊行会)若島 正
「好古家」という言葉をご存知だろうか。骨董品や稀覯(きこう)本を蒐集したり、史跡や碑文を調べたりする趣味の持ち主を指す。わたしはこの言葉を…
書評 - 『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選』(東京創元社)若島 正
魔法で輝きだす、おもちゃの劇場エリザベス・ハンドの作品集『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』の帯には、「珠玉の抒情SF選集」と謳われている。しかし…
書評 - 『耳のなかの魚: 翻訳=通訳をめぐる驚くべき冒険』(水声社)若島 正
すべては言語で表現できる本書『耳のなかの魚』は、イギリス生まれでアメリカ在住のフランス文学者であり、またジョルジュ・ペレックの傑作にして翻…
書評 - 『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』(フィルムアート社)若島 正
物語の海を旅する明晰なガイド『文体の舵をとれ』と題する本書は、『闇の左手』や『ゲド戦記』といった代表作で知られるSF・ファンタジー作家のアー…
書評 - 『ことばの番人』(集英社インターナショナル)若島 正
世界はすべて「校正」でできている俗に、「校正恐るべし」という。いくら目を凝らして文章の校正をしても、必ずどこかに誤植や間違いはひそんでいる…
書評 - 『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』(河出書房新社)若島 正
スキャンダラスな裏文学史『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』という題名を見て、ただちに思い出されるのは、ウラジーミル・ナボコフの『セバスチ…
書評 - 『月曜か火曜』(エトセトラブックス)若島 正
書物という「物」の中で生きている精神『月曜か火曜』は、今からおよそ百年前の一九二一年にヴァージニア・ウルフが夫のレナード・ウルフとともに始…
書評 - 『アカデミアを離れてみたら――博士、道なき道をゆく』(岩波書店)若島 正
「末は博士か大臣か」という文句が存在したのは遠い昔のこと。いまではどちらも希少価値がなくなっている。大臣はポストだからまだいい。博士のほう…
書評 - 『この道の先に、いつもの赤毛』(早川書房)若島 正
やわらかな光が包む人間の善良さ「マイカ・モーティマーのような男は、何を考えて生きているのかわからない」。アン・タイラーが八十歳に近づいたと…
書評 - 『運河の家 人殺し』(幻戯書房)若島 正
緊張感が快感に変わる「硬い小説」ジョルジュ・シムノンといえば、メグレ警視のシリーズが世界的に有名だが、「硬い小説(ロマン・デュール)」と呼…
書評 - 『「細雪」の詩学: 比較ナラティヴ理論の試み』(田畑書店)若島 正
著者の呼吸の変化まで、つぶさにまだ十代の頃に一九八四年度の文藝賞を受賞してデビューした作家の平中悠一が、谷崎潤一郎の『細雪』をナラティヴ理…
書評 - 『不死鳥と鏡』(論創社)若島 正
凝りに凝った歴史ファンタジーSF、ファンタジー、さらにミステリも書いたアメリカの大衆小説家アヴラム・デイヴィッドスンは、該博な知識をもとにし…
書評 - 『40歳から凡人として生きるための文学入門』(幻戯書房)若島 正
開き直って、地に足がついた読み方『40歳から凡人として生きるための文学入門』と題名にある。40歳以上、しかも凡人という二つの条件をクリアしてい…
書評 - 『アーサー・マッケン自伝』(国書刊行会)若島 正
言葉で作り出すもう一つの生本書は、怪奇幻想文学の巨匠として、我が国でも平井呈一の個人全訳による『アーサー・マッケン作品集成』全六巻などを通…
書評 - 『空想の補助線――幾何学、折り紙、ときどき宇宙』(みすず書房)若島 正
文系理系にまたがる世界著者の前川淳は、天文台のエンジニアであり、かつ折り紙の創作家でもある。その折り紙の代表作で、今から四十年以上も前に発…
書評 - 『愛蔵版 お楽しみはこれからだ』(国書刊行会)若島 正
名セリフの記憶、絵と文でつづる映画遍歴名著中の名著、和田誠の映画エッセイ『お楽しみはこれからだ』が、判型はそのままで、函入りの愛蔵版として…
書評 - 『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』(日経ナショナル ジオグラフィック)若島 正
愛すべき奇人が生んだ未踏の世界図書の分類にふつうそんな項目はないが、本が好きな人間ならきっと知っているはずの、「本の本」という隠れたジャン…
書評 - 『問題の女 本荘幽蘭伝』(平凡社)若島 正
破天荒で蛮勇のふるまいの軌跡本荘幽蘭(ほんじょうゆうらん)という女性をご存じだろうか。歴史に名前を残す人物ではないものの、いまから百年前な…
書評 - 『快楽の仏蘭西探偵小説』(インスクリプト)若島 正
「始まりはバルザック」から新たな展望本書『快楽の仏蘭西探偵小説』は、帯に「『北米探偵小説論21』別巻」とあるとおり、著者の探偵小説論としては…
書評 - 『ネイティヴ・サン: アメリカの息子』(新潮社)若島 正
黒人文学の金字塔、削除復元し新訳「ブルルルルルルリイイイイイイイイイン!」 一九四〇年に発表され、黒人文学の金字塔と讃えられてきた、リチャ…
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