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1952年京都市生れ。京都大学名誉教授。『乱視読者の帰還』で本格ミステリ大賞、『乱視読者の英米短篇講義』で読売文学賞を受賞。主な訳書にナボコフ『透明な対象』、『ディフェンス』、『ナボコフ短篇全集』(共訳)、リチャード・パワーズ『ガラテイア2.2』など。もっと読む
- 『真田啓介ミステリ論集 古典探偵小説の愉しみI フェアプレイの文学』(荒蝦夷)若島 正
愛好家による緻密で誠実な批評評者が初めて「真田啓介(まだけいすけ)」という名前を目にしたのは、一九九四年に国書刊行会で刊行が開始された<世…
書評 - 『エッシャー完全解読――なぜ不可能が可能に見えるのか』(みすず書房)若島 正
不可能が可能に見える手品を解剖美術にとりたてて関心がなく、エッシャーという名前に聞き憶えがなくても、彼の作品をどこかで目にしたことがある人…
書評 - 『1つの定理を証明する99の方法』(森北出版)若島 正
「文体」が主役の数学的証明この本を読んでいて、真っ先に思い出したのは、中学のときに幾何を教わった先生のことだ。その先生は変わった人で、持っ…
書評 - 『いかさま師ノリス』(白水社)若島 正
懸命な「悪人」弱さに共感かつて中野好夫は、「悪人礼賛」というエッセイで、こう書いた。「オセロとともに天国にあるのは、その退屈さ加減を想像し…
書評 - 『アラバスターの手: マンビー古書怪談集』(国書刊行会)若島 正
「好古家」という言葉をご存知だろうか。骨董品や稀覯(きこう)本を蒐集したり、史跡や碑文を調べたりする趣味の持ち主を指す。わたしはこの言葉を…
書評 - 『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選』(東京創元社)若島 正
魔法で輝きだす、おもちゃの劇場エリザベス・ハンドの作品集『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』の帯には、「珠玉の抒情SF選集」と謳われている。しかし…
書評 - 『耳のなかの魚: 翻訳=通訳をめぐる驚くべき冒険』(水声社)若島 正
すべては言語で表現できる本書『耳のなかの魚』は、イギリス生まれでアメリカ在住のフランス文学者であり、またジョルジュ・ペレックの傑作にして翻…
書評 - 『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』(フィルムアート社)若島 正
物語の海を旅する明晰なガイド『文体の舵をとれ』と題する本書は、『闇の左手』や『ゲド戦記』といった代表作で知られるSF・ファンタジー作家のアー…
書評 - 『ことばの番人』(集英社インターナショナル)若島 正
世界はすべて「校正」でできている俗に、「校正恐るべし」という。いくら目を凝らして文章の校正をしても、必ずどこかに誤植や間違いはひそんでいる…
書評 - 『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』(河出書房新社)若島 正
スキャンダラスな裏文学史『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』という題名を見て、ただちに思い出されるのは、ウラジーミル・ナボコフの『セバスチ…
書評 - 『月曜か火曜』(エトセトラブックス)若島 正
書物という「物」の中で生きている精神『月曜か火曜』は、今からおよそ百年前の一九二一年にヴァージニア・ウルフが夫のレナード・ウルフとともに始…
書評 - 『アカデミアを離れてみたら――博士、道なき道をゆく』(岩波書店)若島 正
「末は博士か大臣か」という文句が存在したのは遠い昔のこと。いまではどちらも希少価値がなくなっている。大臣はポストだからまだいい。博士のほう…
書評 - 『この道の先に、いつもの赤毛』(早川書房)若島 正
やわらかな光が包む人間の善良さ「マイカ・モーティマーのような男は、何を考えて生きているのかわからない」。アン・タイラーが八十歳に近づいたと…
書評 - 『運河の家 人殺し』(幻戯書房)若島 正
緊張感が快感に変わる「硬い小説」ジョルジュ・シムノンといえば、メグレ警視のシリーズが世界的に有名だが、「硬い小説(ロマン・デュール)」と呼…
書評 - 『「細雪」の詩学: 比較ナラティヴ理論の試み』(田畑書店)若島 正
著者の呼吸の変化まで、つぶさにまだ十代の頃に一九八四年度の文藝賞を受賞してデビューした作家の平中悠一が、谷崎潤一郎の『細雪』をナラティヴ理…
書評 - 『不死鳥と鏡』(論創社)若島 正
凝りに凝った歴史ファンタジーSF、ファンタジー、さらにミステリも書いたアメリカの大衆小説家アヴラム・デイヴィッドスンは、該博な知識をもとにし…
書評 - 『40歳から凡人として生きるための文学入門』(幻戯書房)若島 正
開き直って、地に足がついた読み方『40歳から凡人として生きるための文学入門』と題名にある。40歳以上、しかも凡人という二つの条件をクリアしてい…
書評 - 『アーサー・マッケン自伝』(国書刊行会)若島 正
言葉で作り出すもう一つの生本書は、怪奇幻想文学の巨匠として、我が国でも平井呈一の個人全訳による『アーサー・マッケン作品集成』全六巻などを通…
書評 - 『空想の補助線――幾何学、折り紙、ときどき宇宙』(みすず書房)若島 正
文系理系にまたがる世界著者の前川淳は、天文台のエンジニアであり、かつ折り紙の創作家でもある。その折り紙の代表作で、今から四十年以上も前に発…
書評 - 『愛蔵版 お楽しみはこれからだ』(国書刊行会)若島 正
名セリフの記憶、絵と文でつづる映画遍歴名著中の名著、和田誠の映画エッセイ『お楽しみはこれからだ』が、判型はそのままで、函入りの愛蔵版として…
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