1952年京都市生れ。京都大学名誉教授。『乱視読者の帰還』で本格ミステリ大賞、『乱視読者の英米短篇講義』で読売文学賞を受賞。主な訳書にナボコフ『透明な対象』、『ディフェンス』、『ナボコフ短篇全集』(共訳)、リチャード・パワーズ『ガラテイア2.2』など。もっと読む
- 『中野好夫論: 「全き人」の全仕事をめぐって』(法政大学出版局)若島 正
文学と市民活動、稀有な野人の生き方本書『中野好夫論』は、副題に「『全き人』の全仕事をめぐって」とある。それは決して、中野好夫の伝記ではなく…
書評 - 『無垢の時代』(岩波書店)若島 正
男女の物語に時代の変化くっきり一九九〇年代末からのいわゆるIT革命は、二十一世紀の社会を大きく変えてしまったが、アメリカの女性作家イーディス…
書評 - 『追憶の東京:異国の時を旅する』(早川書房)若島 正
街が忘れつつある記憶を探る幻視行東京に十年余り滞在した経験を持つ、英国在住のアメリカ人作家による紀行エッセイ――こう言われるだけで、読者はつ…
書評 - 『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』(国書刊行会)若島 正
世界をつかまえるために繰り返す中学生のときにパソコンを手にした人間が、ブログを開設してそこで書き続けた。十五年以上経ったいま、「ミック・エ…
書評 - 『指差す標識の事例 上』(東京創元社)若島 正
歴史とは何かを問う緻密な迷路英国人は歴史小説好きである。近年でも、トマス・クロムウェルを主人公にして十六世紀の英国史を描いたヒラリー・マン…
書評 - 『賢者たちの街』(早川書房)若島 正
ニューヨークの魅惑と幻滅描く秀作時は一九三八年。マンハッタンでタイピストとして働いていた、本書『賢者たちの街』の語り手であるケイト・コンテ…
書評 - 『大忙しの蜜月旅行』(東京創元社)若島 正
恋愛小説と推理小説の芳醇な結婚アガサ・クリスティと並んで、英国探偵小説のいわゆる黄金期を飾る作家の一人であるドロシー・L・セイヤーズに、ピ…
書評 - 『書をステディ町へレディゴー』(誠光社)若島 正
これ、読んでどうなるのか『書をステディー町へレディゴー』。このタイトルを見た瞬間に、評者は本屋へレディゴーした、というのはもちろんウソであ…
書評 - 『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた:二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』(白水社)若島 正
運命に抵抗し自由求めた「黒いロシア人」波乱万丈の一生を送った人間を形容する言葉として、「数奇な運命に弄ばれた」というのは常套句になっている…
書評 - 『幽霊島』(東京創元社)若島 正
古びぬ「名人芸」の味わい評者が怪奇小説に興味を持つようになったきっかけのひとつは、一九七三年から一年半続いた、『幻想と怪奇』という専門誌に…
書評 - 『三体』(早川書房)若島 正
世界文学として読まれるべきSFアメリカのオバマ前大統領が、ニューヨーク・タイムズ紙で書評家ミチコ・カクタニのインタビューに答えて、議会での日…
書評 - 『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた』(フリースタイル)若島 正
新しいことが最高だった幸福な時代「ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた。」――これが本書の、肩肘張らない、今風にいえばユルいタイトルだが…
書評 - 『ディオゲネス変奏曲』(早川書房)若島 正
不思議な文化相互交流現象借りた場所、借りた時間――わたしのような世代の人間には、この言葉はすっかり頭の中に刷り込まれている。ハン・スーインが…
書評 - 『全身芸人ーー本物たちの狂気、老い、そして芸のすべて』(太田出版)若島 正
遠くなった昭和の文化そのものここに集められているのは、戦後の芸能史を飾った芸人たちの、インタビューをもとにしたポートレートである。わたしの…
書評 - 『紫の雲』(書苑新社)若島 正
誇大妄想狂的な側面が臆面なく露出わたしたちがSFと呼んでいるジャンルは、一九二〇年代に、アメリカのパルプ雑誌から誕生した。そうした初期のSFは…
書評 - 『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』(インスクリプト)若島 正
決定版と言える書物『八十日間世界一周』『地底旅行』『海底二万里』といった、今でも読み継がれている作品の著者としてあまりにも有名なジュール・…
書評 - 『U & I』(白水社)若島 正
紆余曲折する文章のおもしろさ人が本とつきあい、その本の著者である作家とつきあう、そのありかたはさまざまだろう。ただ、たいていの人間にとって…
書評 - 『ソニア・ウェイワードの帰還』(論創社)若島 正
約束事を転倒 楽しさあふれる書きぶり本書の著者である英国のミステリ作家マイケル・イネスは、本名がJ・I・M・スチュアート。そちらのほうでは英文…
書評 - 『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』(DU BOOKS)若島 正
統計的処理から得られた「文体」「文は人なり」という言葉がある。書かれた文章は、書き手の人間性をおのずから反映してしまう、という意味だ。これ…
書評 - 『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社)若島 正
「頭脳的」な造形性の軌跡モダン・アートに多大な影響を与えたフランスの芸術家マルセル・デュシャンの作品群は、今なお鑑賞者の想像力を刺激してや…
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