
1952年京都市生れ。京都大学名誉教授。『乱視読者の帰還』で本格ミステリ大賞、『乱視読者の英米短篇講義』で読売文学賞を受賞。主な訳書にナボコフ『透明な対象』、『ディフェンス』、『ナボコフ短篇全集』(共訳)、リチャード・パワーズ『ガラテイア2.2』など。もっと読む
- 『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』(日経ナショナル ジオグラフィック)若島 正
愛すべき奇人が生んだ未踏の世界図書の分類にふつうそんな項目はないが、本が好きな人間ならきっと知っているはずの、「本の本」という隠れたジャン…
書評 - 『問題の女 本荘幽蘭伝』(平凡社)若島 正
破天荒で蛮勇のふるまいの軌跡本荘幽蘭(ほんじょうゆうらん)という女性をご存じだろうか。歴史に名前を残す人物ではないものの、いまから百年前な…
書評 - 『快楽の仏蘭西探偵小説』(インスクリプト)若島 正
「始まりはバルザック」から新たな展望本書『快楽の仏蘭西探偵小説』は、帯に「『北米探偵小説論21』別巻」とあるとおり、著者の探偵小説論としては…
書評 - 『ネイティヴ・サン: アメリカの息子』(新潮社)若島 正
黒人文学の金字塔、削除復元し新訳「ブルルルルルルリイイイイイイイイイン!」 一九四〇年に発表され、黒人文学の金字塔と讃えられてきた、リチャ…
書評 - 『パラディーソ』(国書刊行会)若島 正
これまでのどんな小説にも似ていない一九六〇年代から七〇年代にかけて、ラテンアメリカ文学の世界的な、いわゆる「ブーム」が起こった。日本でも八…
書評 - 『ジェイムズ・ボールドウィンのアメリカ:「もう一度始める」ための手引き』(白水社)若島 正
これまでとは異なる共存方法の探求へ一九六〇年代前半の長篇小説『もう一つの国』や評論『次は火だ』で知られ、人種差別問題に関わる社会的な発言で…
書評 - 『火星からの来訪者: 知られざるレム初期作品集』(国書刊行会)若島 正
巨人の根幹を形成した二十歳代SFのオールタイム・ベストとして定評がある『ソラリス』の作者である、ポーランドを代表する作家スタニスワフ・レムの…
書評 - 『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』(竹書房)若島 正
アメリカ史のグロテスクな戯画SF界の奇才ジョン・スラデックの作品には、どれもすぐにスラデックだとわかる独特の香りがただよっている。高度な知性…
書評 - 『中野好夫論: 「全き人」の全仕事をめぐって』(法政大学出版局)若島 正
文学と市民活動、稀有な野人の生き方本書『中野好夫論』は、副題に「『全き人』の全仕事をめぐって」とある。それは決して、中野好夫の伝記ではなく…
書評 - 『無垢の時代』(岩波書店)若島 正
男女の物語に時代の変化くっきり一九九〇年代末からのいわゆるIT革命は、二十一世紀の社会を大きく変えてしまったが、アメリカの女性作家イーディス…
書評 - 『追憶の東京:異国の時を旅する』(早川書房)若島 正
街が忘れつつある記憶を探る幻視行東京に十年余り滞在した経験を持つ、英国在住のアメリカ人作家による紀行エッセイ――こう言われるだけで、読者はつ…
書評 - 『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』(国書刊行会)若島 正
世界をつかまえるために繰り返す中学生のときにパソコンを手にした人間が、ブログを開設してそこで書き続けた。十五年以上経ったいま、「ミック・エ…
書評 - 『指差す標識の事例 上』(東京創元社)若島 正
歴史とは何かを問う緻密な迷路英国人は歴史小説好きである。近年でも、トマス・クロムウェルを主人公にして十六世紀の英国史を描いたヒラリー・マン…
書評 - 『賢者たちの街』(早川書房)若島 正
ニューヨークの魅惑と幻滅描く秀作時は一九三八年。マンハッタンでタイピストとして働いていた、本書『賢者たちの街』の語り手であるケイト・コンテ…
書評 - 『大忙しの蜜月旅行』(東京創元社)若島 正
恋愛小説と推理小説の芳醇な結婚アガサ・クリスティと並んで、英国探偵小説のいわゆる黄金期を飾る作家の一人であるドロシー・L・セイヤーズに、ピ…
書評 - 『書をステディ町へレディゴー』(誠光社)若島 正
これ、読んでどうなるのか『書をステディー町へレディゴー』。このタイトルを見た瞬間に、評者は本屋へレディゴーした、というのはもちろんウソであ…
書評 - 『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた:二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』(白水社)若島 正
運命に抵抗し自由求めた「黒いロシア人」波乱万丈の一生を送った人間を形容する言葉として、「数奇な運命に弄ばれた」というのは常套句になっている…
書評 - 『幽霊島』(東京創元社)若島 正
古びぬ「名人芸」の味わい評者が怪奇小説に興味を持つようになったきっかけのひとつは、一九七三年から一年半続いた、『幻想と怪奇』という専門誌に…
書評 - 『三体』(早川書房)若島 正
世界文学として読まれるべきSFアメリカのオバマ前大統領が、ニューヨーク・タイムズ紙で書評家ミチコ・カクタニのインタビューに答えて、議会での日…
書評 - 『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた』(フリースタイル)若島 正
新しいことが最高だった幸福な時代「ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた。」――これが本書の、肩肘張らない、今風にいえばユルいタイトルだが…
書評