本村 凌二RYOJI MOTOMURA
公式サイト: http://motomuraryoji.jp/
東京大学名誉教授。博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年一橋大学社会学部卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授を経て、2014年4月~2018年3月まで早稲田大学国際教養学部特任教授。専門は古代ローマ史。『薄闇のローマ世界』でサント…もっと読む
本書は、論点が明快簡潔に提示され、まさしく入門書にふさわしい。まずは、都市経済の構造が明晰(めいせき)に説かれ、次に伝統的な区分にもとづい…
「帝位は輝かしい死装束である」六世紀半ばといえば、日本では百済から仏像や経典が朝廷におくられ、仏教が伝わっている。ユーラシア西部では、すで…
国家の近代化に翻弄された貴族の生涯19世紀の偉大な歴史家ブルクハルトの代表作は『イタリア・ルネサンスの文化』、その第一章は「精緻な構築体とし…
ルーヴル美術館はもともと城だったが、16世紀、移動生活が多かったフランソワ一世が主たる居城として明示すべく大改修を始めたという。事業は、アン…
七〇億もの人類がいるのに、何をやっているの?という問いには、漱石『吾輩は猫である』の疑似版があらためて薬になる。時代を人類外の観点からなが…
初めてディープインパクトを見たのは、新馬戦後の若駒ステークスだった。後に「飛ぶ」といわれる怒濤の追い込みはひどく衝撃だった。三十数年前まで…
昨夏、昭和最後の大スターだった渡哲也さんが逝去したが、本書はさりげない自伝である(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆年は2021年)。「生まれつき…
創造の星雲、中心であり続けた「タイムレス」という表題はなぜか心魅かれるものがある。二千年前の古代史を専門にする評者には、現代はどこかタイム…
足元の自然、育んできた情動古代ローマの詩人ウェルギリウスの友人は、恋の深傷を癒すべく牧歌の鳴り響くアルカディアの草原に横たわっていた。詩人…
「欲望の主体」である自己を見つめるホラホラ、これが僕の骨だ、 生きてゐた時の苦労にみちた あのけがらはしい肉を破つて、中原中也の「骨」とい…
政治の舞台裏に通じた同窓の学者と記者の対談だから、面白くないわけがない。菅義偉首相の「行動パターンは中小企業の経営者」という指摘にゾクッと…
ローマ帝国末期をめぐって、たんなる衰退ではなく、むしろ発展と変容の歴史と理解しながら、斜めの視点でローマ史の再考を迫ってくる。ディオクレテ…
舞台は16世紀イタリア。かつての栄光に陰りが見えだしたヴェネツィア共和国には、西には欧州制覇を狙うスペイン帝国があり、東にはイスラムの盟主オ…
長年、夏の休暇をヨーロッパで過ごしてきたせいで、ロンドン大学内の研究所に近い大英博物館は昼休みの散歩道だった。1階の左奥にあるアッシリア回廊…
貴人というより奇人でもあるプリニウス。好奇心の強さなら並ぶべき者もいないから、何事につけ自分の目で確かめないと気がすまない。万巻の書に通じ…
トルコ人の料理といえば、まず頭に浮かぶのは、羊の串焼きシシュ・ケバブである。このシシュはトルコ語で「串」あるいは「小剣」を意味するという。…
旬な知性の出会いどころではない、古今東西の話題にあふれ、とにかく2時間もあれば一気に読める。もはや飢饉も疫病も戦争も消え去りつつあると思える…
「支配」生まれる基盤を描き出す歴史書この秋公開された巨匠リドリー・スコット監督の映画『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』のなかで、主人公ルシ…
1941年、47歳のルドルフ・ヘスはナチスの副総統でありながら、なぜ敵対するイギリスに単独飛行をし、落下傘で着陸したのか。その後、終身刑になり93…
ここで扱う「エゴ・ドキュメント」とは歴史学の史料としての価値を問題とする。形態としては、書簡、日記、旅行記、回想録、自叙伝、聞き語り、検診…