本村 凌二RYOJI MOTOMURA
公式サイト: http://motomuraryoji.jp/
東京大学名誉教授。博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年一橋大学社会学部卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授を経て、2014年4月~2018年3月まで早稲田大学国際教養学部特任教授。専門は古代ローマ史。『薄闇のローマ世界』でサント…もっと読む
「地中海文明」の理解に最適ひと昔さかのぼれば、欧米の教養人なら誰もがためらうことなく、まず読むべき本としてホメロスの『イリアス』と『オデュ…
万人の理解しあえる場としての倫理基盤海外旅行が珍しくなくなったせいか、現地の外国人にふれる機会も少なくない。イタリア人というと、陽気で明る…
観察で究めようとする知性と心性プリニウスは1世紀に実在した人物だから、まずは『世界史辞典』(角川学芸出版)の素描「ローマの軍人、政治家、学…
伝統という土壌がないところに学問は生まれない。まして歴史学となるとなおさらのこと。維新後、「お雇い外国人」が招かれ、ドイツ人歴史学教師L・リ…
古今東西の歴史に精通する博覧強記の歴史家による読書案内。国際関係史と中東・イスラーム地域研究を専門としながら、近著に『将軍の世紀』上下(文…
非業の死に凝縮された世界史二〇〇九年の映画≪アゴラ≫(邦題≪アレクサンドリア≫)は多くの人々に衝撃だったにちがいない。キリスト教徒が少ない日本…
<知>の伝達の神髄へいざなう人間がほかの動物と異なるのは、人類の過去の経験や知識を身につけられるからにほかならない。ヨーロッパでは、印刷術…
民主主義が独裁を生む危険孔子の言葉に「吾(わ)れ未(いま)だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり」がある。言いかえれば「最善のもの…
平和を実現するための計算高さ世に英雄とよばれる定番は、アレクサンダー大王、カエサル、ジンギスカン、ナポレオンなどである。なぜだか、ローマ帝…
帝位を諦めきれない皇女の執念11世紀末から12世紀前半といえば、わが国では源氏・平氏の武士団が勢力をもたげ、西ヨーロッパでは十字軍の活動が目立…
人間や社会を左右したイメージヨーロッパ中世について、日本人が思い浮かべるのは、強大なキリスト教会であったり勇ましい十字軍であったりする。昨…
将たるものの資質何を学ぶか今をときめく『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』の歴史家ユヴァル・ノア・ハラリは、人類はもはや飢饉も疫病も戦争も…
現在の人類の姿を白日に今さらながら、デルフォイのアポロン神殿に刻まれた二つの訓戒が思い出される。一つは名高い「汝(なんじ)自身を知れ」であ…
心の自由に目を向け、心豊かに生きる二世紀の五賢帝最後の皇帝マルクス・アウレリウスは奴隷あがりの哲学者エピクテトスから最も深い影響を受けたと…
少子高齢化時代を読む手がかりこの数年来、評者は現代日本の最大の問題は「少子化」だと思っていた。年金や労働力はもちろん、安全保障の問題にもか…
「天国」をめぐる心性史が語るもの前世紀末頃から、飢饉(ききん)よりも肥満で、疫病より老化で、戦死よりも自殺で亡くなる人が多くなったという。…
「万能人」史家による類稀なる名著もう四〇年以上も前のこと、ある西洋史研究会後の酒宴の席だった。古老の大家が「近ごろの若い研究者の論文は緻密…
現代の異民族問題考える手がかりにヨーロッパに行くと、しばしば冗談じみた話を耳にする。「ワイン愛好者は文明人、ビール愛好者は野蛮人」「ライン…
人類は自らの真の姿を見抜けるか一九六九年、アームストロング宇宙飛行士たちは月面探検の前にアメリカ西部の砂漠で訓練された。近隣に住むアメリカ…
心の遺物のパラダイム移行を鮮明に二〇世紀を代表する精神病理学者ユングは「精神のまともな人がいれば見せてもらいたい。その人を治してあげよう」…