
1948年神奈川県生まれ。ラテンアメリカ文学。東京大学名誉教授。主な訳書にガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』、プイグ『蜘蛛女のキス』、ボルヘス『七つの夜』、共訳書にボラーニョ『2666』、サンチェス・ビダル『ブニュエル、ロルカ、ダリー果てしなき謎』、著書に『マジカル・ラテン・ミステリー・ツアー』、編…もっと読む
- 『英国ガーデニング物語』(集英社)野谷 文昭
私も愛好するガーデニングが、一過性のブームを超え、都市生活にすっかり定着したように見えるこの時期に、タイムリーな本が出たと思ったら、いささ…
書評 - 『ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルスの生涯―信仰の罠』(土曜美術社出版販売)野谷 文昭
十七世紀、ゴンゴラに比肩するその詩才を早くから認められて、〈十人目のミューズ〉と称えられたメキシコ・バロック期を代表する存在尼僧フアナの謎…
書評 - 『ボゴタの人々の中で』(Grijalbo Mondadori)野谷 文昭
ジャーナリスト時代のガルシア=マルケスの記事を集めた作品集『ボゴタの人々の中で』が出版された(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1983年)。…
書評 - 『ジャーナリズム作品集』(現代企画室)野谷 文昭
マルケスの傑作ノンフィクションガルシア=マルケスに『ジャーナリズム作品集』というのがある。彼がまだ学生だったころにアルバイトで書いていた新…
書評 - 『輝ける碧き空の下で〈第2部 上〉』(新潮社)野谷 文昭
途方もない世界の年代記短篇「埃と燈明」で、まだ訪れてはいないメキシコの田舎をデジャヴュのように描いた北杜夫が、ラテンアメリカを舞台にした壮…
書評 - 『背負い水』(文藝春秋)野谷 文昭
思いきりブラックな嘘を「嘘に色があるならば、薔薇色の嘘をつきたいと思う」とは、なかなかしゃれた前口上だ。と同時に、読者に対する挑戦もしくは…
書評 - 『名づけられぬものの岸辺にて―日野啓三主要全評論』(出帆新社)野谷 文昭
今、東京という都市全体をレントゲン撮映したらどんな風景が生じるのだろうか。有機物は全部消えて、残るのは東京タワー、高層ビル、後楽園球場…。中…
書評 - 『武器の交換』(現代企画室)野谷 文昭
ラテンアメリカ小説が翻訳紹介される機会はずいぶん増えた。だが女性作家の作品となると、これはもう皆無に等しい(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆…
書評 - 『キャシーと河馬』(Planeta Pub Corp)野谷 文昭
最近、ラテンアメリカの中堅作家たちが戯曲を手がけているのが目につく(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1983年)。一昨年はバルガス=リョサが…
内容紹介 - 『カーテン―7部構成の小説論』(集英社)野谷 文昭
小説にしか言えないことクンデラの評論が翻訳紹介されるのは『小説の精神』と『裏切られた遺言』に続き本書が三作目ということになる。内容的には前…
書評 - 『継母礼讃』(中央公論新社)野谷 文昭
ラテンアメリカの代表的作家による実験的な官能小説ジョルジュ・バタイユの『眼球譚』について長篇エッセーを書いていることでも分るように、バルガ…
書評 - 『ジェニーの肖像』(早川書房)野谷 文昭
少女の幻『ジェニーの肖像』を読む気になったのは、ジャーナリスト時代のガルシア=マルケスが、トルーマン・カポーティについて書いたコラムの中で…
書評 - 『旅の遠近』(青弓社)野谷 文昭
時を駆けてきたモノたちを旅の道づれにして海外旅行が自由化される前の六〇年代初め、欧米を回ってきた父の旅行鞄から出てきた土産の数々。中でも誇…
書評 - 『パタゴニア・エキスプレス』(国書刊行会)野谷 文昭
文明への辛辣な批評と、口誦文芸的ユーモアとラテンアメリカの〈ポスト・ブーム〉世代に属するセプルベダの作風は、リアリズム回帰、エンターテイン…
書評 - 『報われた血の愛』(Lectorum Pubns)野谷 文昭
これまでの作品でも、インテリを登場させるコルターサルやサバトとは異なり、周縁と大衆にむしろ焦点を合わせてきたマヌエル・プイグだが、新作『報…
書評 - 『争いの樹の下で〈上〉』(新潮社)野谷 文昭
樹木の夢見る時——『争いの樹の下で』を読むある作家の「全短篇集」と銘打った本や、短篇、長篇はもとより評論・エッセーの類まで収めた「全集」とい…
書評 - 『エデンの園』(集英社)野谷 文昭
三角形の軽さとマチスモヘミングウェイに対しては、確かにぼくもマチョというイメージを持っていた。初めて読んだ作品、『老人と海』におけるサンテ…
書評 - 『継母礼讃』(中央公論新社)野谷 文昭
偏執的な性愛描写が見事なウルトラ・リアリズムもう二年以上前のことになるが、スペインの新聞に「バルガス=リョサの官能小説」というコピーととも…
書評 - 『中上健次集〈8〉紀伊物語、火まつり』(インスクリプト)野谷 文昭
『火まつり』鉄道の開通によって崩壊が始まり、今は道徳的にも堕落しているばかりか、人々の悪意に満ちた閉鎖的共同体の中で、崩壊劇の終幕ともいう…
書評 - 『ラテンアメリカ主義のレトリック』(エディマン)野谷 文昭
ラテンアメリカ主義というタームを日本では加茂雄三のような歴史研究者が、確か1970年代頃に盛んに使い出したという記憶がある。加茂の場合、シモン…
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