1953年、中国上海生まれ。明治大学国際日本学部教授。上海の華東師範大学を卒業、同大学助手を経て、日本留学。東京大学大学院総合文化研究科比較文化博士課程修了。國學院大学助教授、明治大学法学部教授、ハーバード大学客員研究員などを経て現職。著書は『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫/第45回読売文学賞)、『…もっと読む
- 『明治維新の意味』(新潮社)張 競
民意を反映する流れのきっかけ2年前、明治維新150周年を迎え、関連書物は数多く刊行されているが、本書は着眼の斬新さ、論述の明晰さ、目配りの広さ…
書評 - 『愚行の賦』(講談社)張 競
無我にたどりつく迷宮めぐり愚かな行為は政治の世界から日常生活まで、いたるところで目にすることができる。にもかかわらず、これまで正面から論じ…
書評 - 『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』(集英社)張 競
都市のあり方を思索するためにやや隠喩ふうの書名だが、副題が示したように街歩きの本である。しかし、従来の町案内や文学散歩と違って、街歩きを通…
書評 - 『外交官の文章 --もう一つの近代日本比較文化史』(筑摩書房)張 競
天下を考え、文雅を忘れない近代日本において、文学的才能に恵まれた駐日大使は事欠かない。外交の第一線で活躍しながら、詩人だったり、文筆家だっ…
書評 - 『新しい地政学』(東洋経済新報社)張 競
外交戦略を構想するための理論構築現代世界は多くの問題に直面している。米中対立はますます激化し、周辺地域の情勢も不安定である。中国やロシアは…
書評 - 『日中戦後外交秘史 1954年の奇跡』(新潮社)張 競
中立的な立場から束の間の友情を描く終戦直後、日本が直面していた大きな問題の一つは海外邦人の引き揚げである。中国に取り残された日本人の大半は…
書評 - 『石坂洋次郎の逆襲』(講談社)張 競
郷土愛の響きあい 情熱的な作家論石坂洋次郎は存命中に流行作家と見なされ、いまはすっかり過去の人となった。しかし、著者の見解はまったく違う。…
書評 - 『卍どもえ』(中央公論新社)張 競
仕掛け満載の意欲作瓜生甫(うりゅうはじめ)は東京・青山にオフィスを構え、七人のスタッフを抱える気鋭のデザイナーである。大手広告会社に勤務し…
書評 - 『脳内現象』(NHK出版)張 競
ロマン膨らむ脳内の自分探し長い歴史の中で、人類は意識という問題についてたえず思索を巡らしてきた。哲学は言うまでもなく、文学や芸術の領域でも…
書評 - 『俳諧の詩学』(岩波書店)張 競
世界文学の視野から短詩型文学再考俳句は日本にとどまらず、海外でも愛好者が多い。欧米の高校ではハイクが作られ、中国にも「漢俳」という短詩があ…
書評 - 『河東碧梧桐―表現の永続革命』(文藝春秋)張 競
西洋の発想から生まれない批評眼伝記を思わせるような書名だが、作家の生涯を幼少時から時系列に記述したものではない。本来、河東碧梧桐論として意…
書評 - 『黒い豚の毛、白い豚の毛: 自選短篇集』(河出書房新社)張 競
仲間たちへの鎮魂の音符劉根宝は呉家坡(ごけは)の貧しい農民で、二十九歳になってもまだ独身。劉という名字は村に一軒しかなく、親類縁者が助け合…
書評 - 『桃源の水脈―東アジア詩画の比較文化史―』(名古屋大学出版会)張 競
忘我の恬淡さで理想郷を語る古代中国では桃の木に霊力が宿ると信じられ、桃の実を食べると不老不死になるという伝説もあった。陶淵明が桃源郷の風景…
書評 - 『セレモニー』(藤原書店)張 競
AI技術が悪用される未来図描く息がつまるような筋の運びと、周到な計算にもとづく物語構成の妙に久々に昂奮した。主人公の李博は中国共産党中央国家…
書評 - 『クララ・ホイットニーが綴った明治の日々』(臨川書店)張 競
手堅い考証で日記を読む手本示す本書はクララ・ホイットニーという、一八六〇年生まれのアメリカ人女性の手になる日記を手掛かりに、明治史を読み直…
書評 - 『不意撃ち』(河出書房新社)張 競
円熟した技巧の新境地珠玉の短編を五つ収めた作品集で、いずれも神秘な陰翳(いんえい)を帯びながら、読み手の心を揺さぶる力を秘めている。運命の…
書評 - 『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の革命』(KADOKAWA)張 競
画家を通し美術史を照射伝記を思わせる書名だが、その内容はマネの生涯と作品世界の紹介にとどまらない。マネの創作活動を通して、古典から現代にい…
書評 - 『姫君たちの明治維新』(文藝春秋)張 競
些細な痕跡から事実掘り起こす化学反応の速度を変え、加速させる触媒と同じように、歴史という反応装置に「女性」という分析試薬を滴下すると、過去…
書評 - 『孤独の発明 または言語の政治学』(講談社)張 競
「俯瞰する眼」で批評の本質に迫る博覧強記の語りと批評的感性の力強さには圧倒された。文学評論の幅広い可能性を示すために、専門領域の境目をワー…
書評 - 『冬将軍が来た夏』(白水社)張 競
物語を運び去っていく言葉の霊力この作家の言語を駆使する能力には脱帽した。語りの輝きは一つ一つの細部描写から放射され、漂流する言語の鉱脈にま…
書評