作家・編集者。 1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。東京大学新聞研究所修了。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009年の終刊まで編集人を務める。専門は地域史、近代女性史、まちづくり、アーカイブ。98年に『鴎外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、03年に『「即興詩人」のイタリア』でJT…もっと読む
- 『語りつぐ田中正造―先駆のエコロジスト』(社会評論社)森 まゆみ
五千二十通の手紙田中正造は天保十二年に生まれ、『栃木新聞』を創刊し、自由民権運動に参加、第一回総選挙で衆議院議員となり、足尾鉱毒問題に生涯…
書評 - 『アグネス・スメドレー 炎の生涯』(筑摩書房)森 まゆみ
生が輝くために二十年前、大学に入ったころ、『中国のうたごえ』『偉大なる道』の著者アグネス・スメドレーの名は輝いていた(ALL REVIEWS事務局注…
書評 - 『ケストナーの「ほらふき男爵」』(筑摩書房)森 まゆみ
ケストナーの贈物エーリヒ・ケストナー。名前を聞くだけで胸が踊る。『ふたりのロッテ』『エーミールと探偵たち』そしてあの『飛ぶ教室』。戦後生ま…
書評 - 『フランダースの犬』(徳間書店)森 まゆみ
初めの一冊ある晩、酔った父が『フランダースの犬』の絵本を土産に帰ってきた。「開けてみなさい」といったくせに、開けて喜ぶ私の顔を見るや、「も…
書評 - 『アメリカの小さな町』(晶文社)森 まゆみ
カンザスの青い空たまたまテレビをつけるとクリントン氏の就任演説をやっていた。注目されたくだり、「自分や家族だけでなく、地域社会や国家にもも…
書評 - 『都市開発を考える―アメリカと日本』(岩波書店)森 まゆみ
東京の山手線の上野ー御徒町間の混雑率は二七四パーセント、四畳半にじつに七十二人が立っている勘定だ。都心のある開業医には〈痛勤〉で肋骨を折っ…
書評 - 『浦安の世間話―前田治郎助の語り (シリーズ・日本の世間話)』(青弓社)森 まゆみ
海に生きる町七月に羽田神社の祭を見に行ってから、東京湾岸の漁師町の運命に気が惹かれた。どこまでも低い家並みがつづく迷路のような町に、低く注…
書評 - 『東京の地霊(ゲニウス・ロキ)』(筑摩書房)森 まゆみ
東京の十三ヵ所の土地の運、不運をゲニウス・ロキという概念を用いて読み解き、制度やヴィジョンの歴史ではない「生きられた都市」の歴史を語る。あ…
書評 - 『夏空よりも永遠に』(東京書籍)森 まゆみ
世代論は嫌いだが、なんてマクラはふらないことにしよう。見上ぐれば団塊、ふり向けば新人類という、われら色のない谷間の世代にこれぞわれらがもの…
書評 - 『私説東京放浪記』(筑摩書房)森 まゆみ
東京グラフィティ東京中の新奇なモノを集めた本も、文学の記憶をちりばめた本も、知識は与えられてありがたいと思うけど、感性をゆすぶられた経験は…
書評 - 『宵越しの銭―東京っ子ことば 秋谷勝三老人聞き書き』(河出書房新社)森 まゆみ
あさししんぶん、ひおしがり暮れの三十一日まで駆け回っているくせに、正月二日となると谷中天王寺の門前で自分の雑誌の立ち売りをしたくなるのは、…
書評 - 『水辺のうた』(邑書林)森 まゆみ
水性の文学幸田露伴は、娘文が掃除するバケッの水の扱い方を見て、「水は恐ろしいものだから、根性のぬるいやつには水は使えない」と厳しく教えた。…
書評 - 『読書休日』(晶文社)森 まゆみ
活字中毒、といわれればそうである。子どものときから活字なら何でもよかった。フスマの裏の新聞紙でも、焼き芋の袋でも、電話帳でも。育った十五坪…
前書き - 『台所のおと』(講談社)森 まゆみ
表題作。静かな、しずかな小説である。佐吉とあきはたがいに何度目かの妻であり、夫である。二十も年の離れた二人は小さな料理屋をいとなんでいた。…
書評 - 『幸田露伴』(筑摩書房)森 まゆみ
幸田露伴――露一滴春以来、私の仕事かばんに入っていたのは、ちくま日本文学全集の『幸田露伴』である。持ち歩くに良い。文庫版にしては堅牢なつくり…
書評 - 『木』(新潮社)森 まゆみ
〈なみ外れた眼〉といわざるを得ない。えぞ松は一列一直線一文字に先祖の倒木のうえに育つ。どんなに知識のない人にも一目で、ああ倒木更新だ、とわ…
書評 - 『エヴァの時代―アウシュヴィッツを生きた少女』(新宿書房)森 まゆみ
生きのびたアンネ・フランク町で、空襲下を赤ン坊を背負って逃げまどった体験談に感銘したあと、同じ老婦人の口から「でもせっかくご先祖様が苦労し…
書評 - 『コメの話』(新潮社)森 まゆみ
コメ問題Q&A知識人の宿題とは内外に生起する、人々に切実な影響ある物事について、これはこうだと解説し、より良き道を探索、提起することであろう…
書評 - 『風の婚』(河出書房新社)森 まゆみ
別れること、一人で生きること朝、一はらのたらこを二つに分けようとするとき、ふと離婚を思う。たらこは薄い膜でしっかりくっついていて、無理に箸…
書評 - 『小さなメディアの必要』(晶文社)森 まゆみ
もう一つのメディア津野海太郎著『小さなメディアの必要』(晶文社)に出会ったのはたった三年前である。著者は知っていたが本は知らなかった。読ん…
書評