1927年3月東京に生まれる。東京大学経済学部卒。衆議院議長を務めた父・堤康次郎の秘書を経て、1954年西武百貨店入社。1963年、自ら設立した西友ストアー[現・西友]の社長に、1966年には西武百貨店の社長に就任。その後、クレディセゾン、良品計画、ファミリーマートなど多彩な企業群のセゾングループの代表となる。1991…もっと読む
- 『篠弘全歌集』(砂子屋書房)辻井 喬
いつの頃からか、短歌は身につまされる詩型だと僕は思っている。それは長い歴史のなかで培われてきた韻律が、独特な効果をもたらすからか、僕の母が…
書評 - 『妬心』(KADOKAWA)辻井 喬
この句集を読んで、妬心とはどのような心の動きなのだろうと考えた。仲間うちの競争心に源を持つ妬心と、愛する者の心を完全には所有していないと思…
書評 - 『わが父波郷』(白水社)辻井 喬
私は石田波郷に会ったことがない。作品を通じてその凝視の深さ、重さ、鋭さを享受しているだけである。しかし彼の病床俳句と言われている作品群は決…
書評 - 『檻: 句集』(朝日新聞出版)辻井 喬
鋭利な刃物で永遠を一瞬のうちに切ってみせるような詩、その時開かれる鮮やかな絵画的世界……というのが角川春樹の俳句についての長いあいだの私の印…
書評 - 『塚本邦雄の青春』(ウェッジ)辻井 喬
塚本邦雄 理解への手懸り「棺を覆うて後定まる」、という言葉があるが、塚本邦雄が他界した二〇〇五年六月九日から四年近い年月が経って、彼の評価…
解説 - 『童の唄風となる: ポエム・フォトグラフィ-』(オクターブ)辻井 喬
平山弥生の詩、写真集を読む直前、僕は『大和し美し』という本を見ていた。この本は川端康成記念会理事長の川端香男里、安田健一が監修し、川端康成…
書評 - 『夜の人工の木』(青土社)辻井 喬
受賞作の中に、「言葉」という作品がある。これ以上/喋らんとこう/これ以上 話をするとダメ人間に/なってしまう/だまっていよう/だまっていよ…
書評 - 『鉄幹と晶子 詩の革命』(筑摩書房)辻井 喬
九〇年代に入って、明治以後のいろいろな分野での指導者・開拓者の伝記や、彼等をモデルにした小説が書かれ、芝居が上演されるようになった。それは…
解説 - 『黄色いリボン』(幻冬舎)辻井 喬
主人公風子はボストン大学で勉強している。街には湾岸戦争に出征したアメリカ軍将兵の無事を祈る黄色いリボンがここかしこに結びつけられ、揺れてい…
書評 - 『自らを欺かず―泡鳴と清子の愛』(筑摩書房)辻井 喬
ヨーロッパには伝統的に伝記という文学のジャンルがある。しかし我が国の近代には、調査報告としての〝伝記〟死者を悼むオマージュとしての〝伝記〟…
書評 - 『世界認識の臨界へ』(深夜叢書社)辻井 喬
臨界点とは、辞書によれば、物質に或るエネルギーや運動が持続的に加えられた場合、それが異質の状態、たとえば固体から液体へ、液体から気体へと変…
書評 - 『くっすん大黒』(文藝春秋)辻井 喬
一年ほど前に出た町田康の小説『くっすん大黒』を読んだ(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1998年)。題名がピンと来なかったし知らない作家な…
書評 - 『身がわり―母・有吉佐和子との日日』(新潮社)辻井 喬
肉親のことを書くのは難しい。それは世間が見ている肉親と自分が見ている人との間に差異があるからである。親が有名であればあるほどこの乖離は大き…
書評 - 『土から生まれた―津軽の画家 常田健が遺したもの』(平凡社)辻井 喬
常田健は主に農民の生活と労働を描いた。青春の一時期を除いて青森に住み自分も農民として生きた。この無名であった画家の巡回展は五十五日間で一万…
書評 - 『茫々半世紀』(新潮社)辻井 喬
草野心平さんが「茫々半世紀」という自伝を書いた。「茫々」とは広大な光景であり、はてしない状態のことだ。茫という字は、もともと水が遠くへと続…
書評 - 『文芸誌譚―その「雑」なる風景1910‐1935年』(雄松堂出版)辻井 喬
文学は感じるものであって考えて分るものではないという主張がある。長い間、私はこの意見は文学についての素朴な感想ぐらいにしか考えていなかった…
書評 - 『わが小林一三―清く正しく美しく』(河出書房新社)辻井 喬
いわゆる阪急文化圏に生れた作者にとって、これはまさしく「わが小林一三」伝である。つとめて主観を押え、事実に則して記述した結果が、かえって阪…
書評 - 『武満徹 音・ことば・イメージ』(青土社)辻井 喬
この本の著者は少しも身構えず、気取らず、武満徹という稀有の才能を巡って観察されたことを平易に語る。そのなかから浮び上ってくるのは、この国の…
書評 - 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波書店)辻井 喬
自分は経営者に向いていないという考えはビジネスマンになってからも長い間僕を苦しめていた。ただ、小説家や詩人としてやっていく自信がないから、…
書評 - 『日本社会の歴史 上』(岩波書店)辻井 喬
網野善彦とゆっくり話したことはほとんどない。学者や文化人が多く集まる新聞社や出版関係の会などで挨拶をしたぐらいである。学生時代から顔見知り…
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