鹿島 茂SHIGERU KASHIMA

解説屋の解説三島由紀夫に言わせると、文庫本の「解説」は日本人の勉強癖が生んだ、いかにも日本的な産物だそうである。だが、私は、この解説という…

英文学、映画を味わうコード満載礼儀作法（マナー）やエチケットは何のためにあるのか？ 「社交界（ソサエティ）」に入ろうとする新参者を、それと…

最大の疑問が解かれる日日本人はどこから来たのか？ この問いは古くて新しい。柳田國男が内務官僚から民俗学者に転じたのも、網野善彦を歴史研究に…

大地震が日本人の特性を変える？ベンヤミンに「夢は目覚めの契機を自らのうちに含む」という名言がある。中世史の啓蒙（けいもう）書シリーズの一巻…

領土的拡大により地位が劇的に変化シャルル・フーリエは『四運動の理論』で最良の国民とは最高の自由を女に与えている国民であり、最悪の国民とは女…

熱い青春時代描く実名小説の傑作一九六八年の夏、ジャン＝リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」に熱狂した若い映画ファンは早くゴダールの新作が封…

トッドを150年先取りした畢生の大著ジュール・ミシュレ畢生（ひっせい）の大著『フランス史』の中世編の全訳の試みである。退屈なところもあるが、…

野党政治家必読の仏元大統領の伝記日本の政治家は概して本を読まないが、この本だけは読むようにお勧めしたい。最終的に権力を手に入れるためには何…

自堕落で奇矯な悪魔の想像力アナイス・ニンといえば、十一歳から七四歳まで続けられた四万ページの日記が有名である。しかし、日本で最初に訳出され…

橄欖（オリーブ）色の洋杯もうだいぶ前のことになるが、プリンストンに留学していた江藤淳が、朝日の文芸時評で、日本の小説家はなにかというと小道…

「劇的なる精神」の自伝歴史家が事件当事者に不明な部分を問いながら生涯を語らせるというオーラルヒストリーは渋沢栄一が旧主君の徳川慶喜に対して…

一行分の人生を生きぬいた男たち作品よりも人間が好き。川本三郎さんの批評態度をひとことで要約すれば、こういうことになるのではないか。もちろん…

さらば、夏の光よ川本さんにお目にかかってからまだ二年しかたっていないのに、なぜか、二十年来の友人のような気がする。おそらくそれは、『キネマ…

焦点なき収赦いまから十八年ほど前、約三か月間、時事通信社の外信部でアルバイトをしたことがある（ALL REVIEWS事務局注：本解説執筆時期は1993年…

私はショージ君にマインドコントロールされている思えばショージ君とは長い付きあいである。高校生のころ電車で拾った『漫画サンデー』で、ショージ…

解説無用東海林さだおの文庫本になぜ「解説」が必要なのか。東海林さだおの本は、それが文章であろうと漫画であろうと、いっさい「解説」を必要とし…

タイム・トラベラーなぎら健壱レイ・ブラッドベリイの『火星年代記』に「第三探検隊」の話というのがある。地球から火星にむかって、第一次と第二次…

コキュ文学の可能性十六世紀フランスには、マルグリット・ド・ヴァロワという名の有名な姫が少なくとも二人いて、ともに当時、南フランスにあった独…

「赤と黒」と「右翼の黒幕」私は、同世代のなかでは、いわゆる「やくざ映画」、すなわち東映や大映や日活が一九六〇年代から七〇年代の前半にかけて…

『幸福号出帆』と『鏡子の家』の関係なるほど、小説ってこうやって書けばいいんだ！そう、いかにも、『幸福号出帆』は、小説というものはどのように…