1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロー…もっと読む
- 『棕櫚の葉を風にそよがせよ』(文遊社)陣野 俊史
喧騒とは無縁の澄明な世界昔、野呂邦暢という作家がいた。亡くなったのは1980年。42歳という若さだった。30年以上の時間が過ぎたことになる。もっと…
書評 - 『双子は驢馬に跨がって』(河出書房新社)陣野 俊史
自前の言葉で挑む奇想金子薫の小説を読むと、自分が文学に接するときでさえ、いかに現実に毒されているか、はっとさせられる。言葉で織り上げる文学…
書評 - 『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)陣野 俊史
古層に眠る自己動かす言葉第54回文藝賞受賞作。話題の「玄冬」小説だ。玄冬、つまり、青春の対極。年を重ね、子育ても終わり、老いと向き合った女性…
書評 - 『のこった もう、相撲ファンを引退しない』(ころから株式会社)陣野 俊史
小説家・星野智幸さんの相撲エッセイ。なんというタイミングだろう! と思いながら読む。大相撲を眺め続け、貴乃花の引退とともにファン生活にピリオ…
書評 - 『時のながめ』(新潮社)陣野 俊史
戦争への深い後悔底に高井有一のエッセイ集。高井の小説は少なからず読んできたが、エッセイ集を読むのは初めてだった。エッセイ一つひとつがとても…
書評 - 『道の向こうの道』(新潮社)陣野 俊史
失われた文学の豊かさ80歳を越えた作家による自伝的作品集だが、単なる懐古趣味の文章ではない。失われた文学の環境の豊かさに触れる読者の内側に、…
書評 - 『星座と文学』(メディア総合研究所)陣野 俊史
エッセイ集、企画が満載福永信は、いまいちばん新作を待っている作家の一人だ。彼の書く小説は予想外のところからやって来る。面白い。そんな小説家…
書評 - 『詩集 独り大海原に向かって』(書肆侃侃房)陣野 俊史
自身の無力さ、世界の美しさ去年7月に亡くなった中国の詩人、劉暁波の詩集が刊行された(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は2018年)。第2詩集に…
書評 - 『独り舞』(光文社)陣野 俊史
台湾作家による日本語小説大げさな言い方になるけれど、日本語文学としか言いようのない作品はこれからますます多くなるだろう。日本語は国籍とは関…
書評 - 『男一代之改革』(河出書房新社)陣野 俊史
文人・松平定信を読ませる三島賞作家、青木淳悟の最新作は、江戸時代の寛政の改革でその名を歴史に留めている松平定信を扱う。まったく予想もしない…
書評 - 『日の出』(集英社)陣野 俊史
近代史に輝く家族の物語主人公の一人、馬橋清作(うまはしせいさく)は1894年生まれ。父親を日露戦争で亡くしたことで戦争を憎むようになり、徴兵忌…
書評 - 『天空の詩人 李白』(講談社)陣野 俊史
漢詩の形をした日記収録陳舜臣が亡くなったのは、2年前。晩年の仕事にこの本に収録されている「天空の詩人 李白」という連載があった。雑誌連載はし…
書評 - 『地球にちりばめられて』(講談社)陣野 俊史
移民時代の感覚を実践登場人物の一人、Hirukoは、留学中に自分の故国である島国が消滅、意図せずして移民になってしまう。ノルウェーのトロンハイム…
書評 - 『星野智幸コレクションI スクエア』(人文書院)陣野 俊史
ズバリ「新しい政治小説」星野智幸の作品をテーマ別に編集したアンソロジーが出た。全4巻。その最初の巻がこれだ。『在日ヲロシヤ人の悲劇』や『フ…
書評 - 『〆切本2』(左右社)陣野 俊史
まだ続く、達人たちの言い訳作家たちが迫りくる〆切を前にして(あるいは過ぎて)苦しみ抜いた果てに放った言葉を集めた『〆切本』。大きな話題を呼…
書評 - 『謀叛の児: 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)陣野 俊史
「革命」夢見た行動の人宮崎滔天(とうてん)は1870年に現在の熊本県荒尾市に生まれている。裕福な家で自由な気風に触れて育つ。長じて、自由民権運…
書評 - 『春の先の春へ 震災への鎮魂歌/古川日出男、宮澤賢治「春と修羅」をよむ』(左右社)陣野 俊史
魂を揺り動かす朗読古川日出男という作家は、いまの日本の作家には珍しい、声をともなった作家である。古川さんの小説を読んでいると、彼の声が聞こ…
書評 - 『指の骨』(新潮社)陣野 俊史
戦地にて、苛まれてゆく心話題の小説だ。戦争を知らない世代が描く「戦争小説」として、注目された。第152回芥川賞候補にもなった。とにかく描写が…
書評 - 『グラウンド・ゼロを書く-日本文学と原爆-』(法政大学出版局)陣野 俊史
原爆文学、世界での受容示す8月6日と9日。原爆が投下された夏がやってくる。原爆や核兵器を、日本語を使って文学として表現してきた人は多くいる。…
書評 - 『百万遍 青の時代〈上〉』(新潮社)陣野 俊史
転がり続ける凄絶な自伝自伝である。時は一九七〇年。三島由紀夫が割腹自殺を遂げた日、主人公の惟朔は高校を退学する。強引だったが可愛がってくれ…
書評