
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロー…もっと読む
- 『窓の外を見てください』(講談社)陣野 俊史
2作目に挑む作家の体験主人公は作家になったばかりの青年・日高。たまたま書いた短編小説を知人の編集者に見せたところ、運よくデビューできたのだ…
書評 - 『戯れの魔王』(文藝春秋)陣野 俊史
クマさんこと篠原勝之の短編を集めた小説集。たとえば最初に置かれた「蓮葬(はすおく)り」。もう何十年も「鉄」を溶かしたり叩いたりして暮らして…
書評 - 『前立腺歌日記』(講談社)陣野 俊史
ユーモアたたえた闘病記ドイツに長年住み続けている詩人・四元康祐さんが、タイトル通り、前立腺のガンに罹り、治療を受け、日常生活に戻ってくるま…
書評 - 『東京凸凹散歩――荷風にならって』(亜紀書房)陣野 俊史
荷風追って坂の魅力味わうタイトルにある「凸凹」は、起伏の意味だ。東京を歩き回るとき、坂と丘と谷を実感する、と著者の大竹さんは言う。起伏を経…
書評 - 『ショパンゾンビ・コンテスタント』(新潮社)陣野 俊史
堂々たる青春小説の王道音大には入ったものの、はっきりとした理由もなく中退し、小説を書き続けている「ぼく」。友達の「源元(げんげん)」は素晴…
書評 - 『狂狗集 Mad Dog Riprap』(左右社)陣野 俊史
犬目線、世界切り取る一行詩比較文学者で詩人の管啓次郎さんが句集を出した。しかし、これは「句」集なのかどうか、通読したいまも自信はない。句、…
書評 - 『はんぷくするもの』(河出書房新社)陣野 俊史
声上げぬ人々の震災経験第55回文芸賞受賞作。わずか十畳ほどのプレハブの仮設店舗。主人公の毅は、今日もそこにいる。訪れる客はまばらだ。いないわ…
書評 - 『骨踊り』(幻戯書房)陣野 俊史
多層化する語りの荒々しさ向井豊昭という作家をご存じだろうか。2008年に亡くなったが、没後、彼の小説をめぐって複数の批評家が可能性を掘り下げる…
書評 - 『平成遺産』(淡交社)陣野 俊史
神田うの的な姿勢こそ必要新元号が決まった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2019年)。この本が出たのは3月の初めだから、執筆者のみなさん…
書評 - 『獅子渡り鼻』(講談社)陣野 俊史
神話的自然と心に降る慈雨小野正嗣はこれまで、どこか土俗的な感じのする土地と、そこに暮らす素朴だが一風変わった人々を描いてきた。その一方で、…
書評 - 『井上靖 未発表初期短篇集』(七月社)陣野 俊史
デビュー前もさすがの筆力井上靖は、『敦煌』や『天平の甍(いらか)』といった歴史的傑作でいまも読まれている作家だろう。しかしその彼が、20代の…
書評 - 『幼な子の聖戦』(集英社)陣野 俊史
卑小な村社会、これが日本青森県の小さな村で村議をしている「おれ」が主人公。人妻との不倫の証拠を摑(つか)まれた主人公はそれをネタにゆすられ…
書評 - 『人類最年長』(文藝春秋)陣野 俊史
159歳の男が語るエロとグロ男が生まれたのは、1861年3月13日。年齢は、すでに159歳。人類で最年長だ。どうみても60代にしか見えない不老不死の男は…
書評 - 『異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論』(講談社)陣野 俊史
仏詩人の世界にどっぷりジェラール・ド・ネルヴァルは、19世紀中葉のフランスの詩人だ。大ロマン派の詩人たちに比して、やや影が薄い気もするけれど…
書評 - 『大岡昇平の時代』(河出書房新社)陣野 俊史
「昭和の作家」を冷静に語る大岡昇平は「昭和の作家」だったと、著者は語る。戦後派という括り方には馴染めない、と。ただし、親交のあった大岡を冷…
書評 - 『昭和40年男 ~オリンポスの家族~』(ホーム社)陣野 俊史
昭和40年男、奔放な「しらけ世代」の家族著者の佐川光晴は、家族をめぐって書いてきた。本作もそう。家族の大黒柱、山田三男は、昭和40年に生まれた…
書評 - 『戯曲 福島三部作』(而立書房)陣野 俊史
原発事故、前後紡ぐ問題作話題の劇団「DULL―COLORED POP」を率いる谷賢一。福島出身の彼が放つ脚本、問題作だ。原発をめぐる3つの時間が舞台を構成…
書評 - 『紋切型社会』(新潮社)陣野 俊史
「何となくそんな感じ」の風潮に斬り込むこの本の中にこんな文章がある。「今、あらゆる媒体に批評が介在しにくくなったのは『つながりすぎている』…
書評 - 『窓辺のこと』(港の人)陣野 俊史
季節を刻む文章、心にストン石田千さんの文章にはどれも季節が刻まれている。記憶の中の出来事でさえ、きちんと季節が顔をのぞかせている。本書は、…
書評 - 『完全版 山口百恵は菩薩である』(講談社)陣野 俊史
ひたすら歌を聴いた情熱が書かせた言葉この本が初めて世に出たのが1979年。山口百恵が引退したのは80年のことだった。平岡は引退の直前に、この革命…
書評