
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロー…もっと読む
- 『指の骨』(新潮社)陣野 俊史
戦地にて、苛まれてゆく心話題の小説だ。戦争を知らない世代が描く「戦争小説」として、注目された。第152回芥川賞候補にもなった。とにかく描写が…
書評 - 『グラウンド・ゼロを書く-日本文学と原爆-』(法政大学出版局)陣野 俊史
原爆文学、世界での受容示す8月6日と9日。原爆が投下された夏がやってくる。原爆や核兵器を、日本語を使って文学として表現してきた人は多くいる。…
書評 - 『百万遍 青の時代〈上〉』(新潮社)陣野 俊史
転がり続ける凄絶な自伝自伝である。時は一九七〇年。三島由紀夫が割腹自殺を遂げた日、主人公の惟朔は高校を退学する。強引だったが可愛がってくれ…
書評 - 『記憶の海辺 ― 一つの同時代史 ―』(青土社)陣野 俊史
生きてきた軌跡を辿るドイツ文学者でエッセイストの池内紀の最新エッセイ集。ドイツ文学者というよりも随想をまとめた色合いが強い。副題の「一つの…
書評 - 『神様の住所』(朝日出版社)陣野 俊史
短歌→散文→短歌の魅力九螺(くら)ささら、という歌人の名前を、いろんなメディアで眼にするようになったのはいつ頃のことだろう。気になる短歌を作…
書評 - 『グールド魚類画帖[新装版]:十二の魚をめぐる小説』(白水社)陣野 俊史
魚が語る複雑な歴史小説作家は、ある日偶然、魚の水彩画に出会う。描いたのは、ウィリアム・ビューロウ・グールド。描かれたのはもう二百年近くも前…
書評 - 『パリ南西東北』(月曜社)陣野 俊史
郊外像の源流知る手がかりにブレーズ・サンドラールという詩人がいた。生まれた国スイスを飛び出し、欧米を渡り歩いたが、サンドラールが居を構えた…
書評 - 『空港時光』(河出書房新社)陣野 俊史
母語と国語の間で悩む人々十の物語が詰まっている。ごく短い小説には、それぞれの主人公がいて、みな一様に空港で過ごし、そこから記憶が立ちあがる…
書評 - 『終りの日々』(みすず書房)陣野 俊史
自分の内部、諦念交えて洞察最初にこう書いてある。「死の日まで、と思って書く。いま七十四歳。でも、四十八歳としよう。パリへすっかり行ってしま…
書評 - 『あの頃 - 単行本未収録エッセイ集』(中央公論新社)陣野 俊史
武田百合子のエッセイを読むのが好きだった。なかでも『犬が星見た――ロシア旅行』は忘れがたい。夫・泰淳と竹内好との3人旅の記録。百合子のエッセイ…
書評 - 『文字の消息』(書肆侃侃房)陣野 俊史
文字が降る幻想的な世界文字が降ってくる町に住んでいる夫婦からの書簡が小説を構成している。え? 文字が降ってくるって? と読者は思われるだろう…
書評 - 『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社)陣野 俊史
垢抜けない天才を面白くゴシック文学研究者として名高い著者によるエンタメ小説。極上と言える面白さが光る。図書館に勤める「ゆたき」はブルックナ…
書評 - 『水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ』(集英社)陣野 俊史
気鋭のフランス文学者による井伏鱒二論、と紹介しようとして少し悩む。この本はたしかに井伏鱒二について書いてあるけれど、「論」というよりももう…
書評 - 『鏡のなかのボードレール』(共和国)陣野 俊史
著名翻訳家の思考の足跡翻訳家として名高い著者によるエッセイ集。こう書くと、仕事上のあれこれを書いているように思われるかもしれないが、まった…
書評 - 『愛すること、理解すること、愛されること』(河出書房新社)陣野 俊史
苦渋の周りを回る言葉著者の李龍徳は、シンプルそうに見える人間関係に、突然、深い亀裂を作り出して、読者を引き込む。デビュー作の『死にたくなっ…
書評 - 『ヨロコビ・ムカエル?』(白水社)陣野 俊史
演劇の「故郷」構成する戯曲小説家・小野正嗣が初めて挑戦した戯曲が、彼の故郷の大分で上演される前に、単行本になって我々の手元に届いた。小野に…
書評 - 『どこでもない場所』(左右社)陣野 俊史
まるで異星人との対話NHK在職中は、番組制作のかたわら、伝説的な広報ツイートを残し、退職後、小説『伴走者』なる佳作を発表した浅生鴨さん。今度…
書評 - 『不意撃ち』(河出書房新社)陣野 俊史
不意撃ち、事件に翻弄される人たち小説の名手による新しい短編集。5編を収めるが、そのどの小説にも「不意撃ち」というタイトルはついていない。5つ…
書評 - 『生還』(文藝春秋)陣野 俊史
滑稽さとすごみある闘病記生きるか死ぬかの1週間を経たあと、小林信彦は長く入院することになる。脳梗塞だった。面識もあった、好きな役者や作家た…
書評 - 『蓮田善明 戦争と文学』(論創社)陣野 俊史
戦地で自決した文人の肖像蓮田善明という国学者をご存じだろうか。三島由紀夫の『花ざかりの森』を世に送り出し(当時、三島は16歳)、日本ロマン派…
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